感じさせて……。

紫倉 紫

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ゆめ5

十一

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 奥村さんが、私の膝のあいだから、手を差し込んだ。私はその手を、手で押さえた。
「待ってください」
 奥村さんに見据えられる。
「まだ、心の準備が……」
「お前、それ、好きだな。で、心の準備とやらは何分でできる?」
 そんなことを訊かれても……
「どうせ、できないんだろ」
 奥村さんが、後ろを振り返った。砂時計の砂を落とし始めた。
「俺も、長時間はしたくないしな」
 今度のは、短縮して貰えるようだ。
 奥村さんが、私の太ももに手のひらをのせた。温かい。
「とは言えだ。やるしかない」
 えっ?  と思った時には、右足をソファに上げさせられていた。
 慌てて、巻いたバスタオルの裾をひいて、隠そうとした。引っ張りすぎて、はだけてしまった。
手で隠そうとしたけど、上手くいかない。
「何度もみてる」
 初めてでなかったら恥ずかしくないってわけじゃない。
「わかった。俺のも見せるから」
「いりません」
 手で、目を覆った。
「そうしとけ、俺も、見られたくない」
 見られたくないなら、見せないでほしい。
「ほら、こっちも上げろ」
 左の太ももを軽く叩かれた。
「目をつぶって、教授にされてるとでも思っとけ」
 相手が教授であっても、恥ずかしい。私は、頭を横に振った。
「お前……」
 奥村さんが、立ち上がったのがわかる。また、怒らせてしまった。でも、できないものは、できない。
「耳まで、真っ赤だぞ」
 突然、耳元で、奥村さんの声が響いた。
「乗り気じゃなかったが、お前がどんな反応をするか、楽しみになってきた」
 耳たぶに軽く歯をたてられた。
「んんっ……」
「そのまま、目をつぶっとけよ」
 奥村さんが、足下に戻った。
 もう抵抗はしなかった。
 左脚も、ソファに、あげさせられた。
 目を、手で覆った上に、きつく閉じて堪えていた。
「震えることないだろ……」
 怖いわけではない。
「もう、十五分ない。我慢しろ」
 まさか……
 この状態で……
 眺め続けられるんだろうか……
 私は、息までとめた。
 奥村さんが、テーブルに眼鏡を置いたのがわかった。
 指先が、脚の付け根をかすめる。恥骨のあたりを撫でられた。見やすいようによけられている気がする。
 苦しくなってきて、息継ぎをした。
 診察だと思おう。でないと、耐えられない。
 奥村さんが、私の内腿をグッと外側へ拡げようと力を加えてくる。
 そこまでしなくても……
 泣きそうだ。
 次の瞬間、体の芯に熱い感覚が走って「あっ」と声を出していた。
 今のは何だったのだろうと、考える側から、次の感覚が押し寄せる。否応なく声がもれる。
 身をよじろうとしたけれど、しっかりと押さえつけられていた。
「そんなにいいか?」
 奥村さんの息が、敏感な場所にかかる。
 驚いて目をあけた。
 脚の間から私を見上げる奥村さんと、目があった。
 ショックすぎて言葉がでない。
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