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序章

プロローグ

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 人生は不平等だ。

 スタートは同じなのに優劣が付くのは、努力が足りなかったからと言う奴がいる。
 あれは嘘だ。
 たしかに人によっては、努力が足りない部分がある場合もある。
 しかし現実的に努力では到底補えない、才能や運に恵まれたやつが無能を簡単に凌駕していくのだ。

 全く前提知識のない二人に、試験問題を1時間の勉強時間を設けて、試験を行えば同じ点数になるだろうか?
 そんな事はお互いが満点でも取らない限り、滅多に同じにはならない。
 それは元から持つ才能が左右するだろう。

 更に環境も整わなければ、努力することすらままならないこともある。
 食い扶持に困れば、自分の時間を削ってでもやりたくないことをしなければならないのだ。

 人には向き不向きがあり、時間も有限だ。
 努力に勝る才能がない?
 才能がある奴が怠けないなんて誰が決めた。
 才能と無能が限られた時間の中で、同じような努力をすれば、才あるものが勝つのが自明の理。
 結局のところ、スタート地点が同じなんてことはないのだ。

「ちっ、俺はこんなにも苦労してるのによ!」

 そんなことを俺は目の前の「花咲く季節☆君に愛を注ぐ」、略して花そそと言う、女性が楽しむギャルゲーの通称乙女ゲーのアクションバトルゲームをプレイしながら口にしていた。
 ちょうど攻略キャラと主人公ヒロインがくっついたウェディングシーンをみたからだ。
 くそっ、リア充爆発しろ。
 このゲームはアクション性が高いがシナリオが独特過ぎて、男子からはもちろん女子からもあまり人気がない。
 しかしアクション性が高いこのゲームは俺は気に入っていた。
 この家で煙たがられてる俺の唯一の安らぎだ。
 もっとも攻略キャラにも、主人公にもイライラしっぱなしだ。
 このゲームの舞台は魔素の豊かな幻想郷。
 ほとんどの登場人物は魔法が使うことができ、主人公も例外じゃない。
 花そその主人公は15歳で学園に入学する。
 この学園はそれぞれの貴族が、家の中で最も魔力の高い人間を入学することが義務付けられており、皇太子や宰相の子息、英雄の息子などと言った様々な攻略キャラが入学する。
 主人公はその中で唯一の平民出身だ。
 このゲームの世界では、精霊と魔法契約をすることで魔術を行使することができる。
 主人公は聖女が使役する聖獣と幼い時に契約しており、平民でありながら特待生として入学が許された。
 そしてそんな平民の娘である主人公に、貴族である学園の生徒達は家族に囲まれて育ったため、侮蔑の目を向けたり、物珍しがって必要以上に構ったりと評価は良し悪しだが目立っていた。
 その中で主人公はハッピーエンドを見るために攻略キャラの評価を上げていくのだ。
 まぁここまでならよくある乙女ゲーの設定だ。
 このゲームにもエンドロールを迎えた後、物語のスタートから始まる2周目と言うものが存在する。
 そこが花そそが人気の出ないポイントだ。
 攻略対象の誰か一人が好感度をマックスになると、攻略対象と二人でラスボスのフィールドへと行くことができる。
 このラスボスと言うのが食わせ物で、とてつもなく強い。
 ラスボスを倒すと置き土産として世界が破滅させる核撃魔法を発動させて主人公諸共帝国をを破壊させて二周目に突入する。
 もちろんラスボスに負ければBADENDだ。
 攻略対象の誰を選んでも一周目ではハッピーエンドにすることができず、二周目に突入した時点で一周目で好感度マックスにしたキャラは攻略対象から外れる。
 何故外れるかって、それがラスボスに関係ある。
 ラスボスは一周目の物語の中盤で断罪した悪役令嬢なのだ。
 主人公は自身を虐めていたことで断罪された悪役令嬢のそれが濡れ衣だったことを知る。
 そもそも悪役令嬢は口調こそ強いが間違ったことは言っておらず、貴族としての正しい振る舞いを主人公にもするようにと、親切心で教えていただけだった。
 しかし取り巻き達が、悪役令嬢の名前という大義名分かも疑わしい理由を掲げて、主人公に暴力を加えたことで、攻略対象達が主人公を守るために悪役令嬢を断罪、斬首刑にしたのだ。
 そのことに恨みを持った悪役令嬢が、ラスボスとして立ちはだかるのだが、帝国が滅ぶ前に恨み言を放ち、一度も自分の言い分を聞かなかった婚約者の恨み辛みを吐き出す。
 その婚約者というのが、好感度をマックスにした相手なのだ。

「一周目が胸糞な終わり方で、そのままゲームから離れてくやつが多いんだよな」

 エンドロールを迎えるからこれでゲームは終わりだと勘違いする奴も多い。
 一度タイトルに戻るからだ。
 レビューでもクソストーリーと辛口評価が目立った。
 ちゃんと二周目をしろよと思う。
 まぁ二周目は街中にいるモブキャラとの会話も必要になっていて攻略難易度が上がる。
 なにせゲーム内のワールドの広さが、世界で最も広いゲームとして世界的に受賞されるほど広いからだ。
 二周目の主人公は一周目の記憶が残っている状態で始まる。
 まぁ気持ちはわかるけど、それがイライラするんだよな。
 人付き合いに対して一種のトラウマのようなものを抱えていて、攻略パートではとにかく卑屈な選択肢しか出てこない。
 まぁやることは一周目と大差ないんだが。
 攻略対象の好感度を上げて、ラスボスに挑むというもの。
 しかし一つ違うのが、二周目では悪役令嬢の断罪イベントを発生させないために、イベント発生までに悪役令嬢の婚約相手を見つけなければいけない。
 悪役令嬢の婚約相手を見つけると物語終盤までは、一周目同様に攻略対象達との甘ったるいラブコメに変わる。
 それまでの卑屈さが嘘のように、主人公は陽キャラに戻るからだ。
 同じように好感度をマックスにすると、ウェディングイベントが発生するのだが------

「爆発しろとは思ったけど、実際に爆発するなよな」

 挙式会場で爆発が巻き起こり、最終イベントへと突入する。
 そのイベントは様々な思惑の交差により、かなり難しいイベントとなっており、俺もクリアするのにひと月もかかった。
 最終イベントをクリアすることでウェンディングエンドを迎える。
 ちなみに悪役令嬢の婚約者を見つけられなければ二周目で、再び悪役令嬢が立ちはだかりストーリーを繰り返す。
 二周目以降は、ラスボスを倒しても二周目のスタートからやり直しだ。
 恨み辛みの台詞の名前だけ二周目の攻略対象の名前に変わっているだけ。
 まぁ二周目までいかないといけない大増量だから予算が合わなかったとか、そんな大人の都合だろう。
 しかし全てシナリオをコンプリートするまで3年も掛かるとは。

「主人公補正の効いてるゲームですら、何度も繰り返して事件を解決してくんだ。人生は理不尽だらけで、常に家に入れることが最上の幸せと言える」
 
 隣にいる妹がジト目を向けながら、冷たく俺の方を見ながら料理をしている。

「そんなのフィクションじゃん。お兄ちゃんの言い訳でしょ。暴力沙汰で会社をクビになったんじゃない。チンピラもいいところね」

 そう、3年も前になるが、俺は会社を暴力沙汰を起こして辞めた。
 とは言っても、俺は一切暴力は振るっていないけどな。
 一言で言えば運がなかった。
 最低賃金を半分以上下回る大手企業に5年ほど勤めていた俺。
 最低賃金を下回るだけでなく、年功序列の激しい大手企業で、仕事が全くできない上司が、後輩に指導という名目に日々暴力を振るっていた。
 俺も新入社員の時同じことをされたが耐えていた。
 しかし可愛い後輩を無能上司の暴力から守るため、ついに社長に直談判してしまった。
 結果はこれだ。
 上司の暴力沙汰を、うまい具合に押し付けられてトカゲの尻尾切り。
 上司は社長の息子で、社長が息子可愛さに俺を切り捨てたのだ。
 当然裁判を起こすが、後輩が上司に脅されて俺に暴力を振られたと証言して、裁判では惨敗。
 お互いに状況証拠しかないため、懲役こそつけられなかったが、俺の社会への信用は完全に失墜してしまった。
 こんなことあるぅ?

「明里ぃ~。お兄ちゃんはなぁ、勇者になるために仕事を辞めたんだ」

「はいはい。日本ではチンピラも勇者も大して変わりませんよー」

「そうよ。もう3年も職についてないじゃない。来年であなた30歳よ?また暴力沙汰で追い出されないか心配だけど、いい加減新しい仕事を見つけなさいな」

 母さんがマッサージチェアに座りながら、横目で俺にそう言ってくる。
 この通り家族にも信用されてない始末である。
 当然だ。
 俺は裁判に勝てなかったからだ。
 本気で勝つためには、後輩を全力で会社から隔離すべきだったのだ。
 俺はしなかった。
 後輩にも生活があり、会社に出勤するなとは言えなかったのだ。
 しかし母の言ってることで、一つだけ間違いがある。
 俺は今、在宅でフリーランスでそこそこ稼げてるのだ。
 それなりに努力したんだ。
 裁判を起こして敗訴した経歴は、思いの外足枷になり、就活に失敗した。
 最早フリーで生きていく道しかなかったのだ。

「母さん、俺はフリーランスって言ってちゃんと収入あるんだって」

「でもずっと家にいてゲームしてるじゃない」

「だから家でできる仕事しかないんだって。それにゲームは空いた時間にしかしてない」

「はいはい自宅警備員ね。わかってるわかってる。これだからゆとり世代は」

 昔から父さんと母さんは頭が固すぎて、昭和のバブル時代を忘れられずにいる。
 だから終身雇用という制度をいまだに信じているし、働けばそれだけ金が入ると思ってる。
 現実、退職金制度がまともに機能してる会社は少ないし、残業なんかしてもサービスだ。
 だからフリーランスで最低賃金の二倍くらいは稼いでる俺も、家でただ飯食らってるうんこ製造機にしか思われてない。

「はい、チンピラさん。晩御飯」

 そう言いながら明里が食卓に持ってきたのは、米粒が一つだけ置かれた皿だった。
 どうしよう。
 妹の頭がおかしくなってしまったようだ。

「明里よ。お兄ちゃんこれだけじゃ死んじまうよ」

「働かざる者食うべからず。深い言葉よね」

 おかしい、俺は家に生活費も入れてるし、まだまだ貯金もあるはず。
 最低賃金を大幅に下回っても部長給金をもらっていたし、今では前よりも給料は高いのに。
 更に言えば、フリーランスになってからこのゲームを買うまで贅沢はしてなかった。
 そんな俺は、決してこんな言葉をかけられるはずがないんだ!

「明里さん?なんの冗談です?」

「冗談じゃないよ?」

「貴方には構成してもらういます。これから就職するまではご飯抜きです」

 出たよ母さんの更生してもらう。
 しかし今回ばかりは、母さんに更生してもらいたい!
 だって父さんも母さんもバブルが弾けた時に、負の遺産を抱えて、四人分の生活費と明里の学費は全て俺が出してるんだから。

「まったく悲しいわ。ちょっとは明里を見習いなさい。貴方みたいな穀潰しのために、部活以外の時間に稼いだバイト代を使って、四人の生活費を賄ってるんだから」

「は?」

「聞いたわよ。貴方がいつも出す生活費は、あなたが定職に就きたくないから、明里が出してるのに今まで黙っていたのでしょう?」

 俺は明里の方を向く。
 舌をチョロっと出して、悪戯のつもりみたいな顔をしてる。
 このクソ愚妹!
 度々この手のいたずらをしてきてたけど、今回はたまったもんじゃない!
 在宅勤務に理解のあるこいつが俺の味方じゃないと、クソ両親は説得ができない!
 しかもこの愚母も、どうしてあいつの言うことを信じられるんだ!
 バイト代で稼げる額じゃねぇだろがボケ!
 おかしいと思ったんだ。
 いくら時代錯誤があろうとも、金を出してる俺がどうしてニート扱いされるのか。
 俺が抗議の文句を言おうとすると、リビングの扉が開く。
 リビングに入ってきたのは、親父だった。

「あなた。おかえりなさい。今日からこの愚息を更正するためのプログラムを始めようと話していたところよ」

「あぁ、やっとか。このバカ息子はもう30に差し掛かろうとしていると言うのに、職につかず妹の脛齧りをして3年だ。いい加減、親としての責任を果たさなきゃいかんな」

「責任?金を払ってる俺より、高校生の明里を信じるってのか?」

「当たり前だ。暴力沙汰を起こした人間をどうして信じれる?」

「はっ!俺は確かに証拠を持ち合わせずに、裁判に負けた。けど俺は一度も手を出してない!家族まで俺を信じてくれないとは思ってなかったよ!」

 心のどこかで家族はわかってくれると思っていたと何度思ったことか。
 衝突こそいつもするけど、どこか信じてくれてると思ってたのに。

「ふんっ!父に対してその態度はいかんな。指導してやる!」

 すると警棒を持ち出してくる。
 父は元警察官だ。
 それも頭が固い自分ルールを持って、誤認逮捕するような理不尽な方の警察だ。
 だから街の交番で定年を迎えるんだよ。

「流石はダメダメ警察官!殴る蹴るしか能がない!」

「これは指導だ」

「程々にしてくださいね」

 止めろよクソババァ!
 なんで一家を支えてる俺が悪者にされてんだよくそったれ!
 ダメだ、家を出よう。
 こんなところいたらストレスで禿げる。
 家族だと思って今まで我慢してたが、誰も俺のことを信じない家なんているだけ無駄だ。
 精々俺がいなくなって苦労すりゃいいさ。

「もういい出て行く。それでいいだ------」

 ボキボキッ。
 頭からなってはいけないような音が鳴る。
 警棒は殺傷能力が落ちてるとは言え棍棒だ。
 警察や警備員でも、基本的に首から下をように指導されてるはずなのに、こいつ頭部をやがった。
 ヤバっ!気持ち悪っ。

「お、オェェェ」

 俺は胃にあった物をぶちまけた。
 あまりの吐き気に我慢ができなかったからだ。

「えっ!?お兄ちゃん!?」

「ちゃんと掃除しなさいよ。新入社員が最初にする仕事は掃除ですからね?」

 明里は心配してくれたが、心配するそぶりを見せない母に怒りを感じる余裕はない。
 それだけ俺は、頭痛と目眩で頭がおかしくなっていた。
 ダメだこれ以上立ってられない。
 俺はうつ伏せでその場に横になる。

「ふんっ、情けない奴め。明日からみっちり指導してやるから覚悟しておけ」

「これくらいで根をあげるなんて。わたし達が子供の頃はねぇ!」

「ね、ねぇお父さん、ちょっとやりすぎじゃない?お兄ちゃん動かないよ?」

「明里は優しいな。男は丈夫だからこのくらい平気だ」

「何言ってるの?吐いた上に倒れてるんだよ!?ねぇ、お兄ちゃん!大丈夫!?」

 明里が俺の身体を揺する。
 あぁ、何も頭に入ってこない。
 なんかクソどもがなんか喚いているが、なんも考えられない。
 こりゃ死んだか。
 あのくそったれ親父、最後の最後で手を出してきやがった。
 普段は家族には手を出さないからか、加減を間違えやがって。
 定年退職して工事現場の作業員で働く父に、専業主婦の母、そして私立高校に通う女子高生の妹。
 俺の収入なしでどれだけ生きていけるのかね。
 ははっ、ざまぁみろ。
 そして俺はそのまま意識を手放した。



「痛ぇ・・・」

 なんだ今のは。
 たしか僕は、いやは母上に折檻という名の暴力を受けていた。
 理由は妹のお気に入りの宝石を盗んだという、身に覚えのない濡れ衣を着せられて。
 そこで杖で思い切り頭部を殴られて、頭の中に色々な記憶が流れ込んできた。
 いや、思い出したというべきか?

「ふんっ!卑しい平民の血が混じった貴様を、高貴なる男爵である私が引き取ってやったんだ!痛い?ちょっと魔力が高いからと言って舐めたことをして!」

 耳がキンキンするような怒鳴りつけてくるババァが杖を振り上げた。
 この身体で経験した記憶が、条件反射的に弱気な態度を取ってしまう。

「ご、誤解です母上」

「言い訳するでないわ!」

 その暴力は夜になるまで続き、全身がアザだらけになっていた。



 今日は食事抜きと言われて、一日鍵のかかった部屋に閉じ込められてしまう。

「いってぇ、あのババァ・・・子供相手に容赦なく蹴りを入れてきやがって」

 こっちとしても、殴られた時に流れ込んできた記憶を早く整理したかったし、まぁちょうどよかった。
 あれはおそらく俺の前世の記憶ってことでいいんだよな?

「でも前世の名前が思い出せないな。死んだ時に頭部を傷つけられたからか?他のことは結構思い出せるのにな。それにしても今回はいつにも増して酷かったな」
 
 今世の俺の名前はリアス・フォン・アルゴノート、明日9歳を迎える男爵家の長男だ。
 アルジオ・フォン・アルゴノート男爵、俺の父が作った愛人である母さんとの間にできた息子だ。
 母さんに俺がお腹に生まれるや否や、追い出しやがった。
 一年前までは男爵領の辺境にある小さな村で母と一緒に、貧しくも幸せな生活を送っていた。
 しかしその幸せな生活は一年前、8歳の誕生日を迎えた時に終わる。
 俺の母親ターニャは流行病で命を落とした。
 引き取り手のいない俺は、母の葬儀の日に魔力が高いからと、養子としてアルゴノート家に引き取られた。
 それからというもの、俺の存在が気に入らない義母グレコと、義妹アルナに、嫌がらせなどでこの一年暴力を受けていた。
 更に今日のグレコはいつもより気が立ってやがった。

「生まれ変わっても俺は家族に悩まされるのかよ。かーっ!いくら俺に平民の血が流れてるからって、子供にする暴力じゃねぇぞこれ!あれでも誇り高きライザー帝国の貴族かよ!いや待て、ライザー帝国・・・?」

 なんか聞いた覚えがある。
 ライザー帝国ってたしか「花咲く季節☆君に愛を注ぐ」、花そそに登場する国の名前じゃないか?
 じゃあ俺は花そその世界に転生したってことか?
 たしかこの国の皇帝の名前はエルーザ。
 うん、確実にここは花そその世界だ。
 最悪だ。
 花そそはほとんどの攻略キャラのウェディングエンド迎える時点ではもう貴族制度は撤廃されてるし、そもそも一周目ならどのルートになろうと世界の破滅だ。
 貴族な時点で何しても主人公以外は破滅ルートだ。
 特にこの家は民の為に、基本的に何もしないなんちゃって貴族だからな。
 それにしてもアルゴノートなんて家出てきたっけ?
 思い出せ、思い出せ。
 たしか少しだけ出てきた記憶がある。

『主人公を虐める声と共に、ジャガーヒルデ伯爵、ヘルナーリット子爵、アルゴノート男爵、ブリュンヒルデ騎士爵の令嬢達は、皆一斉にそうよそうよと責め立てた』

 たしか悪役令嬢の取り巻きに主人公が虐められてるシーンでそんなのがあった。
 マジかよ。
 数あるモブが登場する花そそのモブの中でも、顔面を明確に模写されないような、ガヤポジションの家の養子に転生したのかよ!
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