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47(神国側)

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 トゥーン支社出資者総会。
 共和国のトゥーン支社に出資をしている者たちが、現在イハママ神国にて重鎮達が集まっていた。

「ミウォル、テメェの部下が共和国の経済大臣を唆したそうだろぉ。お陰でお陰で人柱候補が警戒心丸出しだぞ」

「ハハッ!それを言うなら君だってグレン・イガラシに対して不信感持たれる行動を取ってるじゃないか!僕たち仲間だねぇ!」

 その中には三人の天宮のうちのミウォル・ディッキー、そしてドナルド・グーフが居た。
 神国の最高責任者の天宮は商会を通じて、共和国の情報は常に仕入れている。

「責任の押し付けあいなんて見苦しいわよミウォル、ドナルド」

「わかってるよ僕ら流の冗談さ!待ってたよルミシ」

 ルミシ・フォン・ニーフェは帝国の剣婦であり子爵。
 そのあらゆる伝を使い、帝国から色々と横流しにしていた。
 しかし剣婦の中でも発言力は低いため、掌握までは行けてなかった。

「ルミシは子爵に慣れて贅沢三昧かもしれないけど、俺達はそんなの許されねぇからな」

「あら、私が子爵の金を横流しにしてるから商会が成り立ってるんじゃなくって?」

「テメェが雑魚だからそれしかできねぇんじゃねぇのか?」

 ルミシとドナルドはとても仲が悪く、国務に関わる事でなければ同じ空間には絶対にいない。

「二人とも黙れ」

「はっ!申し訳ありません閣下!」

「ラキビットもずいぶん偉くなったものね。神と呼ばれて天狗にでもなったのかしら?」

「ふんっ、我はここで身のある話をしたいだけだ」

 ラキビットと呼ばれた男はイハママ神国の神オズと呼ばれて国民から慕われている。
 しかしそれは仮初の姿であり、ラキビット・シリフォニアという名があった。
 ラキビットはイハママ神国の将軍文官に名を連ねている。

「ところでラキビット。王国にいるアイツとは連絡取れたのかい?」

「いや。だが王国軍のほとんどは今、大国ナンショウ人民国へと進軍をしているそうだ」

「ナンチョウって言えば婚約破棄騒動があった国だよなぁ」

「婚約破棄なら帝国でもあったわよ」

「ちっ、一々めんどくせぇな。マザーコアの女を国外追放にした国だろ。馬鹿なコトしたよな。その所為で王国に呑まれそうになってんだ」

「確かにそれに関してはあの国は馬鹿だけど、でもナンチョウは唯一間者が消されたのよ」

 イハママ神国は世界各地に間者を派遣している。
 そしてナンチョウはそんな中で唯一間者が消された国であり、イハママ神国でも警戒をしている相手だった。

「派遣してたのは誰かなー?」
 
「確かピートだったか?」

「あのバカか!ははっ!間抜けだから仕方ないねー!」

「笑える話でもあるまい。ナンチョウの侵略はともかく、今は王国の警備は手薄ということ。ひとまずは共和国、帝国、人民国への作戦は優先度を低くする。今このチャンスで王国に楔をもう一本打つ」

「王国国内にも間者が居ないからねー!王国の国力は完全実力主義だから、情報が食い込む責任者の立場は取れなかったけど、今なら取れるかなー?」

 帝国も基本的に実力主義で違うのは剣婦のみ。
 運良くルミシが国宝に適合した為に剣婦という立場を手に入れたが、王国はその運も向かなかった。

「派遣するにはまず、イガラシ財閥に人を食い込むのがよろしいですか閣下?」

「でも僕とドナルドの失敗でイガラシ家は警戒しちゃってるよー!」

「悔しいが事実だ。申し訳ありません」

「最も、我にも考えがある」

「閣下のお考えを我々にも聞かせてください!」

 ドナルドは背筋を整えて敬礼。
 どこまでもラキビットを慕っているのがわかる。

「イガラシは一枚岩じゃない。だからその隙を突く」

「隙なんかあるのかしら?」

「内側は案外脆いものなのだ」

「ふーん、勿体ぶって話さないから結婚できないのよあんた」

「結婚など負の財産に過ぎん。貴様も使うから覚悟しておけ」

「あーやだやだモテない男は。私みたいに優雅にいれば、モテるのよ」

「帝国の実権を握れていないのも、その奢りの所為だ違うか?」

「あ゛?」

 帝国は皇帝リリノアールが実験を握っていた時代は、剣婦の権力はかなり高かった。
 しかし現状はアハトが実験を握っており、アース以外の剣婦はリリノアールが選定した者達ばかり。
 その所為でルミシは帝国内で余り動けずにいる。
 ここに居るルミシも、剣婦の能力を使った人間で本人ではなかった。

「それだけの能力を持っていて、その体たらくはやはり貴様を使うのは少し不安に思ってきたな」

「てめぇどの口が聞いてんだい!私が居なければ神国はここまで発展しなかったのを忘れてはないだろうねぇ!」

「だったらとっとと働け」

「ちっ、わかったよ!作戦概要さっさと教えな」

「ミウォル、資料があるだろ。持ってこい」

 ミウォルはラキビットに言われて資料を持ってきた。

「ははっ!そういうと思って用意していたよー」

「これはイガラシ家の家系図かしら?」

「そうだよー!イガラシ家には分家があるんだ。そして分家にはグンジョーとモモという兄妹がいる」

「この子達を利用してイガラシ家を掌握するってことね」

「いや違うよー、狙うのは彼らの父親であるゴルドさっ!」

 ゴルドは代々イガラシ家を支える影の組織を出す分家の当主であり、今はグンジョーにその任の一部を任せていた。
 そしてゴルド自信はマシバの影として常に彼を守っている。

「細かい概要は資料を頭にいれてねー!」

「それでミウォル、その資料を用意していると言うことは作戦の成功率はもちろんーーー」

「もちろんさ!この作戦の成功率はー100%だよ!やったねー!」

「聞いたな。お前達が作戦通りに動けばこの作戦は成功する。これは確実だ」

 ミウォルが組む作戦にはいつも確率が提示される。
 そのほとんどが100%を回ることはないが、100%と提示された作戦はほぼ失敗したことがない。

「わかったよ。ミウォルのおかげで私は帝国に行ってこの地位を手に入れたわけだしね」

「ドナルド、実働部隊はトマスに頼む」

「チッペンデールの奴ですか?あいつは気まぐれですよ」

「奴がこの作戦の要らしい。もし奴の協力が得られなければ、作戦の成功率はどうなる?」

「んー60%くらいかなー!」

「だ、そうだ」

「・・・わかりました。閣下の頼みとあらば」

 神国は何百年も続く宗教国家である。
 その国家の中でもこの時代の神国はとても巧妙だった。
 そんな神国の魔の手がルルシア達に迫ろうとしている。
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