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こんなの交渉なんかじゃないわ。
「恐喝じゃない」
「まぁこう捉えられることも承知の上だ。私から提示する案は二つ。そのどちらかに答えてくれるなら、これ以降の王国での行動は辞めるわ」
「続けて」
「賢明で助かるよ。一つは覚醒した魔装を提供する事。もし提供するなら今後は神国は王国の傘下に入ってもいいわ」
「魔装を解析されて下剋上されそうね」
「まぁそこはどう捉えてくれてもいい。魔装を提供されることはこの国のどの行動よりも得する情報源だもの」
「二つ目は?」
「ふむ、一つ目はキミの性格的にかなり安いし即答するかと思ったが、やはり覚醒した魔装には意志があるとは本当かい?」
「二つ目は?」
「否定も肯定もしない。表情も変えない。流石にキミも貴族令嬢か。では二つ目。薬品の実験台になって欲しい。コイツのね」
ルミシが出してきたのは得体の知れない注射器だった。
これを指せってこと?
「人体実験じゃない」
「えぇ。でも安心しなさい。ちゃんと魔導契約を施すわ。なんなら貴女が実行してもいい」
ハッタリだわ。
仮にコイツが契約を受理したとしても、何か裏道があるに決まってる。
「どちらも望まないって顔ね」
「貴女に抜け道がない保証がないわ」
「それはそうねぇ。でも貴女はそれでいいのかしら?」
「どういう意味?」
「魔装か貴女、どちらかが犠牲になれば虐殺は防げるとしたら?」
「どちらが犠牲になっても、こういう輩は約束を守りませんわ!今すぐ殿下に報告しますわよ」
マリアの言う通りね。
虐殺と口走ってしまった彼女のミスね。
その情報だけでも対策はいくらでもあるわ。
「ゴルドと同じことを言うわね」
「ゴルド?貴女まさか!!」
「ゴルドにも貴女にしたような内容を提案したわ。そして選んだのがグレンの誘拐ってわけよ」
「貴女、人としての矜持はないの!?」
じゃあゴルドはどんな気持ちで私と闘っていたって言うの?
ゴルドも何かを守るために行動を起こしたと言うのなら同情する余地はある。
「貴女の将来的にイガラシ家に仇なすものとして消しに動いたその時点で、私は彼を見限ったわ」
「わたしを殺そうとしたのは彼の意思なのね」
「えぇ。でも感謝してよねぇ。私が止めなきゃ彼は貴女を殺していた」
それは嘘ね。
マリアの話によると大きな音がしたら私が吹き飛ばされいたと言う。
「貴女の言葉が信用できないことばかりなのだけど?貴女と会話するごとにコイツは信用するなと私の勘が警告を促している」
「いい勘を持ってるわねぇ。でもここは信じてほしいわ」
「信用ならない事は認めた上で尚交渉してくる。タチが悪いわね」
「お褒めに預かり光栄だわ」
「もし私が断ったとしたらどうするのかしら?」
「別に?何か勘違いしているようだけど、私は貴女に善意でこの提案をしているのよ?ねぇ貴女、作戦が完遂しそうな時にそれをわざわざ止めて得が少ないことをする意味があるの?」
一見もっともな意見を言ってるように見える。
でもそれは彼女の目的が見えないからだわ。
もし見えたとしても、私が割に合わないと思う可能性だって否定はできない。
「私も暇じゃないのよ?ゴルドが死んだみたいだし、すぐにでも帰国するでしょうね」
なるほど、ゴルドは国から殿下を逃すための囮だったってわけね。
そのことから彼女が行おうとしていることを逆算することができれば、この交渉を有利に働かせる事はできるわ。
「さっきから黙ってて何か言いなさいよ!」
「ねぇ、貴女。目的は、マシバ様?」
確信はない。
でもゴルドを操ったり、グレンを誘拐したりする事でマシバ様を今の状態にするのだ目的だとすれば辻褄も合う。
「へぇ、流石に帝国の稲妻は叡智でついただけあるわ」
「貴女の目的がわかった以上」
「まぁもう手遅れだわ」
手遅れ?
まさか、目的を逆算したことで実行に移された!?
でも動揺を悟られれば向こうのペースになる。
「どうせ元からそのつもりだったくせによく言うわ」
「残念だわ。交渉は決裂ね。貴女は現状考えられる中で1番最悪の可能性を生んだわ」
そういうとルミシは自分の首に注射器を打ちつけた。
一体これは何!?
心臓の鼓動音が耳にも聞こえるように木霊する。
「これは人類を進化させる薬。名前を神薬と言うわ」
「神薬・・・」
「人類の叡智はここにある!さぁ楽しましょうダンスパーティの始まりよ」
その声と共に部屋が爆発し、私とマリアは外へと弾き出された。
そして病室の方を見ると、ベニスンが巨大化した姿で、血走った目を向けていた。
「マリア、闘える?」
「もちろんですわ」
正直魔装もなしでどこまでやれるかわからない。
でも私達にはやるしか道がないことも確かだった
「恐喝じゃない」
「まぁこう捉えられることも承知の上だ。私から提示する案は二つ。そのどちらかに答えてくれるなら、これ以降の王国での行動は辞めるわ」
「続けて」
「賢明で助かるよ。一つは覚醒した魔装を提供する事。もし提供するなら今後は神国は王国の傘下に入ってもいいわ」
「魔装を解析されて下剋上されそうね」
「まぁそこはどう捉えてくれてもいい。魔装を提供されることはこの国のどの行動よりも得する情報源だもの」
「二つ目は?」
「ふむ、一つ目はキミの性格的にかなり安いし即答するかと思ったが、やはり覚醒した魔装には意志があるとは本当かい?」
「二つ目は?」
「否定も肯定もしない。表情も変えない。流石にキミも貴族令嬢か。では二つ目。薬品の実験台になって欲しい。コイツのね」
ルミシが出してきたのは得体の知れない注射器だった。
これを指せってこと?
「人体実験じゃない」
「えぇ。でも安心しなさい。ちゃんと魔導契約を施すわ。なんなら貴女が実行してもいい」
ハッタリだわ。
仮にコイツが契約を受理したとしても、何か裏道があるに決まってる。
「どちらも望まないって顔ね」
「貴女に抜け道がない保証がないわ」
「それはそうねぇ。でも貴女はそれでいいのかしら?」
「どういう意味?」
「魔装か貴女、どちらかが犠牲になれば虐殺は防げるとしたら?」
「どちらが犠牲になっても、こういう輩は約束を守りませんわ!今すぐ殿下に報告しますわよ」
マリアの言う通りね。
虐殺と口走ってしまった彼女のミスね。
その情報だけでも対策はいくらでもあるわ。
「ゴルドと同じことを言うわね」
「ゴルド?貴女まさか!!」
「ゴルドにも貴女にしたような内容を提案したわ。そして選んだのがグレンの誘拐ってわけよ」
「貴女、人としての矜持はないの!?」
じゃあゴルドはどんな気持ちで私と闘っていたって言うの?
ゴルドも何かを守るために行動を起こしたと言うのなら同情する余地はある。
「貴女の将来的にイガラシ家に仇なすものとして消しに動いたその時点で、私は彼を見限ったわ」
「わたしを殺そうとしたのは彼の意思なのね」
「えぇ。でも感謝してよねぇ。私が止めなきゃ彼は貴女を殺していた」
それは嘘ね。
マリアの話によると大きな音がしたら私が吹き飛ばされいたと言う。
「貴女の言葉が信用できないことばかりなのだけど?貴女と会話するごとにコイツは信用するなと私の勘が警告を促している」
「いい勘を持ってるわねぇ。でもここは信じてほしいわ」
「信用ならない事は認めた上で尚交渉してくる。タチが悪いわね」
「お褒めに預かり光栄だわ」
「もし私が断ったとしたらどうするのかしら?」
「別に?何か勘違いしているようだけど、私は貴女に善意でこの提案をしているのよ?ねぇ貴女、作戦が完遂しそうな時にそれをわざわざ止めて得が少ないことをする意味があるの?」
一見もっともな意見を言ってるように見える。
でもそれは彼女の目的が見えないからだわ。
もし見えたとしても、私が割に合わないと思う可能性だって否定はできない。
「私も暇じゃないのよ?ゴルドが死んだみたいだし、すぐにでも帰国するでしょうね」
なるほど、ゴルドは国から殿下を逃すための囮だったってわけね。
そのことから彼女が行おうとしていることを逆算することができれば、この交渉を有利に働かせる事はできるわ。
「さっきから黙ってて何か言いなさいよ!」
「ねぇ、貴女。目的は、マシバ様?」
確信はない。
でもゴルドを操ったり、グレンを誘拐したりする事でマシバ様を今の状態にするのだ目的だとすれば辻褄も合う。
「へぇ、流石に帝国の稲妻は叡智でついただけあるわ」
「貴女の目的がわかった以上」
「まぁもう手遅れだわ」
手遅れ?
まさか、目的を逆算したことで実行に移された!?
でも動揺を悟られれば向こうのペースになる。
「どうせ元からそのつもりだったくせによく言うわ」
「残念だわ。交渉は決裂ね。貴女は現状考えられる中で1番最悪の可能性を生んだわ」
そういうとルミシは自分の首に注射器を打ちつけた。
一体これは何!?
心臓の鼓動音が耳にも聞こえるように木霊する。
「これは人類を進化させる薬。名前を神薬と言うわ」
「神薬・・・」
「人類の叡智はここにある!さぁ楽しましょうダンスパーティの始まりよ」
その声と共に部屋が爆発し、私とマリアは外へと弾き出された。
そして病室の方を見ると、ベニスンが巨大化した姿で、血走った目を向けていた。
「マリア、闘える?」
「もちろんですわ」
正直魔装もなしでどこまでやれるかわからない。
でも私達にはやるしか道がないことも確かだった
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