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ミニ番外編
他人性双生児
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順調な妊娠期間を経て、ハノンは無事に女児を出産した。
予定日より少しだけ早く、だけどルシアンよりもポレットよりも力強い産声を上げて生まれてきた女の子。
久しぶりに胸に抱く小さな我が子に、父親であるフェリックスは目に涙を浮かべながらこう言った。
「……可愛い天使……いや妖精だ……お前は絶対に嫁にはやらない。ずっと父さまと一緒に暮らそうな……」
その言葉を聞き、ハノンはお産でヘトヘトだったにも関わらず、吹き出して笑ってしまった。
もう力なんて入らないのに。
やっぱりフェリックスはどこまでもフェリックスで、ハノンは愛おしくて仕方なかった。
ーー貴方が望むなら、四人でも五人でも産んであげるわよ
ハノンは子煩悩な可愛い夫の為にそう思う。
フェリックスは生まれたその子に、
ノエルと名付けた。
そしてその同時刻……
「やだナニこのガキんちょ……」
時々暇つぶしに手伝っている友人の魔法調剤店の店先に置かれたバスケットを見て、メロディは呟いた。
「この大きめのバスケットの中で蠢いているイキモノ……どう見ても人間の赤ん坊よネ?」
メロディは調剤店の店主である友人に、確認するように尋ねた。
店主は頭を抱えながら答える。
「……猫には見えんからな」
バスケットの中には小さな赤ん坊と一枚の紙切れ。
そこにはスペル間違いの辿々しい文字で『薬代です』と書かれていた。
お人の良しの友人が営むこの調剤店。
貧しい者でも必要な魔法薬が手に入るように出来るだけ安価で提供、場合よってはツケで後支払いも認めている。
その所為で偶に、薬代と称してとんでもないものを店先に置き去りにする者がいるというが……
赤ん坊は初めての事だそうだ。
「当たり前デショ!!一体どこのバカ親ヨっ!生後間もない赤ん坊を外に放置するなんてっ!!」
当然メロディは激怒した。
友人店主は顧客の中に数名いた妊婦やその家族の中からある人物を特定するが、既に夜逃げをして行方を晦せているという。
「こンのボケカスがぁぁ……!」
思わず元々の地声で唸るメロディ。
それに驚いた赤ん坊が火がついたように泣き出した。
「わっ!?わわわっ……ど、どうしたらいいのヨっ!赤ん坊の世話なんて、ハノンの子の子守りくらいしか知らないわヨっ、ちょっヘルプミィィっ~!!」
「それでウチに来たのね」
ノエルを産んだ次の日。
産褥期に突入するも至って経過が順調なハノンがベッドボードにクッションを沢山置いた背もたれに座りながら言った。
腕の中には調剤店に置き去りにされた赤ん坊を抱き、乳を与えている。
すぐ側のベビーベッドには生後一日の我が子、ノエルがすやすやと眠っている。
メロディがハンカチで目元を抑えながら言った。
「だってサ、アタシってば聖母の如く慈悲深いオンナだけどサ、さすがに乳は出ないンですもの~」
「ふふ、メロディなら気合いで搾り出しそうな気もするけどね」
「やだハノンったら♡
白い液体なんて乳じゃなくチン「ストップ」
メロディが満面の笑みを浮かべ言おうとした言葉をハノンはピシャリと遮った。
「赤ん坊とはいえ、えげつない下ネタを赤ん坊の耳に入れないでエロディ」
「ンもうっ~~またエロディって言うぅ~~ぶはっ♡」
堪えきれず吹き出すメロディに、ハノンは尋ねた。
「それで……どうするの?この子……」
ハノンは腕の中で懸命に乳を含む赤ん坊を見つめた。
我が子ノエルと同じく可愛らしい女の子だ。
黒い髪がメロディと同じである事に奇縁を感じる。
可哀想におそらくまだ生後三日と経っていないだろう。
どのくらい外に放置されていたのかは分からないが、よく無事でいてくれたものだ。
我が子に向けるような優しい眼差しで赤ん坊を見つめるハノンを見ながら、メロディは逆に尋ねた。
「……この子、このままだとどーなると思う?」
「そうね……やはり孤児院に引き取られるのでしょうね……」
薬代にもなれず、親に捨てられた哀れな赤ん坊。
しばし考え込んでいたメロディが膝をスパァンッと叩いて告げた。
「決めたわハノンっ!この子はアタシの子として育てるワっ!」
「養子として引き取るというの?」
「そう!これも何かの縁ヨ、ガキんちょのいっぴきやにぴき、育ててやろうじゃないのっ!だってこの子に罪はないんだもんネ♡」
「メロディ……」
「でもサ、手続きとかどーしたらイイのかしら?」
「きちんと役所に届けた上での養子縁組となるんでしょうね……そこら辺の手続きは、フェリックスに頼みましょう」
「アラ、じゃあお願いしようかしら。貴族の権力はこういう時に使わなきゃネ♡」
「貴族の権力なんて使わないわよ、ただ普通に正規の手続きを執るだけよ」
「アハハハハっ!」
「……」
ハノンは再び、赤ん坊を見た。
そしてしばし思案した後に、メロディに告げた。
「メロディ、赤ん坊が離乳するまでウチに住みなさいよ。一緒に子育てしましょう。おかげさまでわたしの乳の出はかなり良いからノエルと共に母乳で育てられるし」
「ハノン……いいの?」
「良いも何も、わたしがそうしたいの」
ハノンが微笑んでそう答えると、メロディが眩しそうに目を細めた。
「ヤダなんかアンタの背中から後光が差してる!マジ聖母サマじゃないっ!有りがたや~っ♡」
両手を擦り合わせて拝むメロディに、ハノンはジト目で告げた。
「……ただのベッドボードのライトが後ろで光ってるだけだから……」
こうしてメロディは捨てられていた赤ん坊を引き取り、そのまましばらくワイズ伯爵邸で暮らす事となった。
メロディは養子となったその赤ん坊に、“リズム”と名付けた。
ハノンの子ノエルとメロディの子リズム。
二人は乳姉妹となり他人性双生児と言われながら育つ事になる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メロディの養子となったリズムちゃん。
壮年となり、リズム女史と呼ばれる彼女は、『不用品令嬢だと思って婚約者の元を去ったのに何故か連れ戻されるお話』で読めます。
お暇な時にお読みいただけますと幸いです♪
次回の更新は木曜日です。
予定日より少しだけ早く、だけどルシアンよりもポレットよりも力強い産声を上げて生まれてきた女の子。
久しぶりに胸に抱く小さな我が子に、父親であるフェリックスは目に涙を浮かべながらこう言った。
「……可愛い天使……いや妖精だ……お前は絶対に嫁にはやらない。ずっと父さまと一緒に暮らそうな……」
その言葉を聞き、ハノンはお産でヘトヘトだったにも関わらず、吹き出して笑ってしまった。
もう力なんて入らないのに。
やっぱりフェリックスはどこまでもフェリックスで、ハノンは愛おしくて仕方なかった。
ーー貴方が望むなら、四人でも五人でも産んであげるわよ
ハノンは子煩悩な可愛い夫の為にそう思う。
フェリックスは生まれたその子に、
ノエルと名付けた。
そしてその同時刻……
「やだナニこのガキんちょ……」
時々暇つぶしに手伝っている友人の魔法調剤店の店先に置かれたバスケットを見て、メロディは呟いた。
「この大きめのバスケットの中で蠢いているイキモノ……どう見ても人間の赤ん坊よネ?」
メロディは調剤店の店主である友人に、確認するように尋ねた。
店主は頭を抱えながら答える。
「……猫には見えんからな」
バスケットの中には小さな赤ん坊と一枚の紙切れ。
そこにはスペル間違いの辿々しい文字で『薬代です』と書かれていた。
お人の良しの友人が営むこの調剤店。
貧しい者でも必要な魔法薬が手に入るように出来るだけ安価で提供、場合よってはツケで後支払いも認めている。
その所為で偶に、薬代と称してとんでもないものを店先に置き去りにする者がいるというが……
赤ん坊は初めての事だそうだ。
「当たり前デショ!!一体どこのバカ親ヨっ!生後間もない赤ん坊を外に放置するなんてっ!!」
当然メロディは激怒した。
友人店主は顧客の中に数名いた妊婦やその家族の中からある人物を特定するが、既に夜逃げをして行方を晦せているという。
「こンのボケカスがぁぁ……!」
思わず元々の地声で唸るメロディ。
それに驚いた赤ん坊が火がついたように泣き出した。
「わっ!?わわわっ……ど、どうしたらいいのヨっ!赤ん坊の世話なんて、ハノンの子の子守りくらいしか知らないわヨっ、ちょっヘルプミィィっ~!!」
「それでウチに来たのね」
ノエルを産んだ次の日。
産褥期に突入するも至って経過が順調なハノンがベッドボードにクッションを沢山置いた背もたれに座りながら言った。
腕の中には調剤店に置き去りにされた赤ん坊を抱き、乳を与えている。
すぐ側のベビーベッドには生後一日の我が子、ノエルがすやすやと眠っている。
メロディがハンカチで目元を抑えながら言った。
「だってサ、アタシってば聖母の如く慈悲深いオンナだけどサ、さすがに乳は出ないンですもの~」
「ふふ、メロディなら気合いで搾り出しそうな気もするけどね」
「やだハノンったら♡
白い液体なんて乳じゃなくチン「ストップ」
メロディが満面の笑みを浮かべ言おうとした言葉をハノンはピシャリと遮った。
「赤ん坊とはいえ、えげつない下ネタを赤ん坊の耳に入れないでエロディ」
「ンもうっ~~またエロディって言うぅ~~ぶはっ♡」
堪えきれず吹き出すメロディに、ハノンは尋ねた。
「それで……どうするの?この子……」
ハノンは腕の中で懸命に乳を含む赤ん坊を見つめた。
我が子ノエルと同じく可愛らしい女の子だ。
黒い髪がメロディと同じである事に奇縁を感じる。
可哀想におそらくまだ生後三日と経っていないだろう。
どのくらい外に放置されていたのかは分からないが、よく無事でいてくれたものだ。
我が子に向けるような優しい眼差しで赤ん坊を見つめるハノンを見ながら、メロディは逆に尋ねた。
「……この子、このままだとどーなると思う?」
「そうね……やはり孤児院に引き取られるのでしょうね……」
薬代にもなれず、親に捨てられた哀れな赤ん坊。
しばし考え込んでいたメロディが膝をスパァンッと叩いて告げた。
「決めたわハノンっ!この子はアタシの子として育てるワっ!」
「養子として引き取るというの?」
「そう!これも何かの縁ヨ、ガキんちょのいっぴきやにぴき、育ててやろうじゃないのっ!だってこの子に罪はないんだもんネ♡」
「メロディ……」
「でもサ、手続きとかどーしたらイイのかしら?」
「きちんと役所に届けた上での養子縁組となるんでしょうね……そこら辺の手続きは、フェリックスに頼みましょう」
「アラ、じゃあお願いしようかしら。貴族の権力はこういう時に使わなきゃネ♡」
「貴族の権力なんて使わないわよ、ただ普通に正規の手続きを執るだけよ」
「アハハハハっ!」
「……」
ハノンは再び、赤ん坊を見た。
そしてしばし思案した後に、メロディに告げた。
「メロディ、赤ん坊が離乳するまでウチに住みなさいよ。一緒に子育てしましょう。おかげさまでわたしの乳の出はかなり良いからノエルと共に母乳で育てられるし」
「ハノン……いいの?」
「良いも何も、わたしがそうしたいの」
ハノンが微笑んでそう答えると、メロディが眩しそうに目を細めた。
「ヤダなんかアンタの背中から後光が差してる!マジ聖母サマじゃないっ!有りがたや~っ♡」
両手を擦り合わせて拝むメロディに、ハノンはジト目で告げた。
「……ただのベッドボードのライトが後ろで光ってるだけだから……」
こうしてメロディは捨てられていた赤ん坊を引き取り、そのまましばらくワイズ伯爵邸で暮らす事となった。
メロディは養子となったその赤ん坊に、“リズム”と名付けた。
ハノンの子ノエルとメロディの子リズム。
二人は乳姉妹となり他人性双生児と言われながら育つ事になる。
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メロディの養子となったリズムちゃん。
壮年となり、リズム女史と呼ばれる彼女は、『不用品令嬢だと思って婚約者の元を去ったのに何故か連れ戻されるお話』で読めます。
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