その温かな手を離す日は近い

キムラましゅろう

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ミルル、行動する

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夫ハルジオの元恋人であったリッカの涙を見てしまってから三日目の朝、ミルルはリビングのサイドボードの引き出しからとある魔法薬を取り出した。

夫婦の営みがあった翌朝には必ず服用している避妊薬だ。

丸く白い小さな粒。
この中にハルジオへの罪悪感がぎゅぎゅっと詰まっているのだ。

この薬を処方してくれた魔法薬剤師には錠剤だけど、舌に触れると苦いから気を付けるようにと言われた。
が、実際には苦さを感じた事はない。
まるで砂糖菓子のような甘さで、水がなくてもこのまま舐めて服用出来そうなほどに甘露だ。

ーー薬にも個人の味覚の差ってあるのね

と、ミルルは変に感心した。

でも薬は甘くても気持ちの上では苦く、胸苦しいものがある。

ハルジオを騙しているという行為が堪らなく辛いのだ。

まぁそれももうすぐ終わるのだが。

結婚式の翌日からミルルはさっそく離婚に向けて動き出した。

貸し家屋へ行ってアパートを探したり、就職斡旋所へ行って職を探したり。

幸い、町の中心からは少し外れるが丁度良い条件のアパートが見つかった。

築四十年の1DK。
古いけど手入れが行き届いた趣のあるアパートだ。
古い分だけ家賃が安い。

なので即決して賃貸契約を結んだ。

ーーなんて運がいいの!

この調子で職探しも……と思っていたら、次の日に貸し家屋の主人から連絡があり、訳あって急に貸せなくなったと言って来たのだ。

ひどいわ、何故?どうして?と思ったが、貸せなくなったというものを駄々を捏ねても仕方ないので「そうですか」と諦めた。

また振り出しに逆戻りである。

とりあえず先に仕事を探そうと思い、就職斡旋所へと足を運んだ。

掲示板に張り出された求人情報に隈なく目を通す。

ほとんど良くなった言っても若干足を引き摺るミルルに出来る仕事といえば……

ーー出来れば事務員とかがいいのだけれど……あ、でも家事は得意だから家政婦でもいいわね。

そこで二、三件の求人票を持ち帰り、熟考する事にした。

斡旋所の時計を見てそろそろ帰る時間だと気付く。

ハルジオは残業かもしれないし、定時上がりかもしれない。

だからどちらでも良いように食事の用意をしておきたいのだ。

ーー帰りに市場に寄って帰りましょ。
お肉屋さんが特売してくれてるといいのだけれど。
ハルさんにポークチョップを作ってあげたいわ。

そんな事を考えながら斡旋所を出て市場へと向かう。

もう少しで市場へ着くという所ら辺で、ふいに声をかけられた。

「あら、ミルルちゃんじゃない?」

「え?リッカ先輩?」

偶然か必然か、何故かそこにはリッカが居て、ミルルに笑顔を向けて立っていたのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



短めでゴメンナサイ。゚(゚´ω`゚)゚。





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