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第5節 村上 正人 其の3
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解剖室では、溝口の立ち会いの元、久保寺医師と本多(ほんだ)医師による村上千里の解剖が始まっていた。
一連の流れが一曲の音楽のように、止まることなく華麗に進められていき、溝口は二人の仕事ぶりに目を奪われていた。
「溝口さんだっけ?」
久保寺が手を一切止めることなく、目線も千里の遺体から一時も反らさずに溝口に話しかけてきた。
溝口は距離をとって、久保寺が本多に板書させてる解剖結果をメモっていたが、久保寺の呼び掛けですぐ側まで近寄った。
「あなた、菅野茜の解剖にも立ち会ったんだって?池畑刑事から聞いたよ。」
「えぇ、はい。呪い事件のきっかけになった衝撃的な解剖結果でしたのでよく覚えています。」
「解剖を担当した勝俣先生と高橋先生も覚えてる?」
「えぇ、もちろん。あの後、二人とも違う病院に異動されたときいてますが。」
「ふっ、やっぱりね。」
久保寺が鼻で笑った。溝口は何で笑われたのかわからなかった。まだ若手の本多は、何の話だろうと耳を澄ましていた。
「勝俣先生も高橋先生も別の病院になんて異動してないわよ。」
溝口は固まり、久保寺の続きを待った。
「勝俣先生はね…菅野茜の解剖の一ヶ月後に亡くなったわ。」
「…え、亡くなった…!?」
久保寺は一旦手を止め、溝口の方を向き、話し出した。
「突然死だった。高橋先生は、勝俣先生は呪いのせいで死んだんだと発狂したわ。高橋先生は見てたらしいわよ、菅野茜の解剖時に、勝俣先生が脳の一部分を採取し持ち帰る姿を。」
「脳の一部分って…呪いによって焦げたような症状の部分ですか?」
溝口は何でそんな恐ろしいことをと顔を歪ませた。本多は二人の会話に口を挟まずに静かに聞いていた。
「勝俣先生の目的は不明なままだけど、その祟りだって高橋先生は周りに言ってたそうよ。」
「…自分も高橋先生の立場だったら、同じことを言ってたかもしれません。」
「それで、突然死だから司法解剖することになったのよ。執刀は高橋先生と私だった。死因は心筋梗塞。呪いによるものかどうかを見極めるため、高橋先生は脳も確認したの。」
溝口はゴクンと唾を飲み込んだ。久保寺が続けた。
「…でも、脳には例の症状はなく、異常はなかった。もしかしたら心臓に直接呪いが働いたのかと、心臓も事細かに調べたけど、単なる心筋梗塞以外の所見は見られなかったわ。」
溝口は思ってた結果と違ってポカンとした。久保寺は溝口のこの顔が見たかったのか、その顔を確認すると再び遺体に身体を向け、解剖作業を始めた。
「酷いのはここからよ。結局死因は心筋梗塞。原因は明らかだった。」
「原因ってなんです?」
今まで静かに聞いていた本多だったが、我慢できずに、つい口を挟んでしまった。
「…過労よ。」
「…過労…ですか。」
「そうよ、本多くんだって人事じゃないわよ。今もだけど、同じ医者でも解剖医になりたがる人は少ないわ。どうせなら生きてる人を治療したいってね。その考えもわかるけど、私は二度と話せない被害者の声を代弁して届けるこの仕事を誇りに思ってるわ。」
「それは僕もです。実習で久保寺先生の執刀を見て、この道に進むことを決めました。」
「えぇ、この道を選んでくれたのには感謝してるわ、本多くん。……話戻すわね。当時は今より遥かに解剖医は少なかったわ。しかも高齢化の世の中、亡くなる方は増える一方で、需要と供給のバランスは崩壊していた。
勝俣先生はこのセンターでもナンバーワンの腕を持っていて、多いときは1日10体もの遺体を相手にしていたわ。でも、勝俣先生は文句は言わず、亡くなった方の無念を晴らすために働き続けた。」
「…それで、過労死。でも、何で公表してないんですか?それ以前に何故異動したことに…。」
「…竈山(かまどやま)センター長よ。」
「センター長が?…隠蔽ですか?」
何かとんでもない話になりそうだと危惧した溝口は眉間にシワを寄せた。
「センター長は祖父と父親が元国会議員で、センター長自身も国のお偉いさんとの繋がりも深く裏では何やってるかわからないような人でさ。まぁ、明確な理由は私にはわからないけど、いずれは国政界にでも手を出そうとしてたのかもしれない。職員を過労死させたなんて公になったら、彼にとっては大痛手よ。」
「…そんな理由で…」
本多は愕然とした。
「センター長は、勝俣先生は呪いによる死だと認定し、世の中の混乱を招かないためとの理由付けをして、職員には口外しないように言い聞かせた。
特に私と高橋先生には真実を隠せと厳しく言ってきたわ。悔しかったけど、呪いについて全くわからない私は、センター長に反抗することができずに、まんまと言いくるめられてしまった。
勝俣先生の遺族にも、呪いによって死に至ったと嘘の説明をし、親族間だけの密葬にさせたのよ。そして、溝口さんのような部外者には勝俣先生は違う病院に異動したことにしろとのお触れも出たわ。まぁ、知ってる人は知ってるんだと思うけどね。」
溝口はセンター長の身勝手な判断と行動に怒りが収まらなかった。とても難しい表情をしている溝口の姿をチラリと見た久保寺が忠告をした。
「溝口さん、余計な考えはしない方がいいわよ。私は、自分の罪を感じて、勝俣先生と関わっていた人には真実を教えておいてあげたかっただけ。特にあなたは、勝俣先生の世紀の解剖に立ち会った人だから。」
「あの…高橋先生は?」
「彼は依願退職したわ。センター長に絶望したのか、呪いが怖くなったのかは理由はわからないけど。勝俣先生の解剖した日から三日後にはもう来なくなっちゃって。」
「悪いことがあると、何でもかんでも呪いのせいにされてしまう世界になったら、もう終わりですね。」
溝口は呪いという言葉は、本当に恐ろしいと改めて実感した。
「…でも、勝俣先生も高橋先生も、結局は呪いによって人生が変わったんですよね。勝俣先生なんて、亡くなった後にまで真実をねじ曲げられて。…結果、全て呪いのせいですよ。」
本多は呪いというものに対して、恐怖より憤りを覚えていた。
「さ、話してるうちにいよいよ本丸よ。」
久保寺は千里の頭部にメスを入れ、次に特殊な道具で頭蓋骨に穴を開けていく。溝口と本多も久保寺の後ろ側に回り込み、要所を確認しようと覗き込んだ。
ー 栃木県某所 ー
18時55分
池畑は、セレモニーホールの外にある喫煙所でタバコを吸っていた。
ブーッ、ブーッっとズボンの右ポケットに入れていたスマホのバイブレーションが鳴った。溝口からだった。
「もしもし、池畑だ。出たか?結果。」
「…はい。千里さんの解剖結果ですが…」
18時58分
正人は、絵美子と通夜振る舞い会場にいた。
ブーッ、ブーッと背広の内ポケットに入れていたスマホのバイブレーションが鳴った。父からだった。正人は急いでホールの外に出て電話をとった。
「もしもし。千里の解剖終わったのか!?どうだった?犯人の手掛かりは何か無かったのか?」
「…正人。あぁ、千里さんの解剖終わったよ。…それでな………千里さん………自殺だってよ。…呪いは一切関係ない……自らの意思の自殺だって。」
正人は、予想外の武志の言葉に、「そう。」の一言すら返答できなかった。正人が耳に当てたままのスマホからは、武志が、無反応の正人に「大丈夫か?」と繰り返し聞いている声が音漏れしていた。
ある考え事で頭がいっぱいだった正人は武志に返事をしないまま電話を切った。
正人は、ホール入口のガラス越しに、数十メートル先の通夜振舞い会場の入口から、心配そうな顔でこちらを見ている絵美子に伝える言葉を必死に考えていた。
一連の流れが一曲の音楽のように、止まることなく華麗に進められていき、溝口は二人の仕事ぶりに目を奪われていた。
「溝口さんだっけ?」
久保寺が手を一切止めることなく、目線も千里の遺体から一時も反らさずに溝口に話しかけてきた。
溝口は距離をとって、久保寺が本多に板書させてる解剖結果をメモっていたが、久保寺の呼び掛けですぐ側まで近寄った。
「あなた、菅野茜の解剖にも立ち会ったんだって?池畑刑事から聞いたよ。」
「えぇ、はい。呪い事件のきっかけになった衝撃的な解剖結果でしたのでよく覚えています。」
「解剖を担当した勝俣先生と高橋先生も覚えてる?」
「えぇ、もちろん。あの後、二人とも違う病院に異動されたときいてますが。」
「ふっ、やっぱりね。」
久保寺が鼻で笑った。溝口は何で笑われたのかわからなかった。まだ若手の本多は、何の話だろうと耳を澄ましていた。
「勝俣先生も高橋先生も別の病院になんて異動してないわよ。」
溝口は固まり、久保寺の続きを待った。
「勝俣先生はね…菅野茜の解剖の一ヶ月後に亡くなったわ。」
「…え、亡くなった…!?」
久保寺は一旦手を止め、溝口の方を向き、話し出した。
「突然死だった。高橋先生は、勝俣先生は呪いのせいで死んだんだと発狂したわ。高橋先生は見てたらしいわよ、菅野茜の解剖時に、勝俣先生が脳の一部分を採取し持ち帰る姿を。」
「脳の一部分って…呪いによって焦げたような症状の部分ですか?」
溝口は何でそんな恐ろしいことをと顔を歪ませた。本多は二人の会話に口を挟まずに静かに聞いていた。
「勝俣先生の目的は不明なままだけど、その祟りだって高橋先生は周りに言ってたそうよ。」
「…自分も高橋先生の立場だったら、同じことを言ってたかもしれません。」
「それで、突然死だから司法解剖することになったのよ。執刀は高橋先生と私だった。死因は心筋梗塞。呪いによるものかどうかを見極めるため、高橋先生は脳も確認したの。」
溝口はゴクンと唾を飲み込んだ。久保寺が続けた。
「…でも、脳には例の症状はなく、異常はなかった。もしかしたら心臓に直接呪いが働いたのかと、心臓も事細かに調べたけど、単なる心筋梗塞以外の所見は見られなかったわ。」
溝口は思ってた結果と違ってポカンとした。久保寺は溝口のこの顔が見たかったのか、その顔を確認すると再び遺体に身体を向け、解剖作業を始めた。
「酷いのはここからよ。結局死因は心筋梗塞。原因は明らかだった。」
「原因ってなんです?」
今まで静かに聞いていた本多だったが、我慢できずに、つい口を挟んでしまった。
「…過労よ。」
「…過労…ですか。」
「そうよ、本多くんだって人事じゃないわよ。今もだけど、同じ医者でも解剖医になりたがる人は少ないわ。どうせなら生きてる人を治療したいってね。その考えもわかるけど、私は二度と話せない被害者の声を代弁して届けるこの仕事を誇りに思ってるわ。」
「それは僕もです。実習で久保寺先生の執刀を見て、この道に進むことを決めました。」
「えぇ、この道を選んでくれたのには感謝してるわ、本多くん。……話戻すわね。当時は今より遥かに解剖医は少なかったわ。しかも高齢化の世の中、亡くなる方は増える一方で、需要と供給のバランスは崩壊していた。
勝俣先生はこのセンターでもナンバーワンの腕を持っていて、多いときは1日10体もの遺体を相手にしていたわ。でも、勝俣先生は文句は言わず、亡くなった方の無念を晴らすために働き続けた。」
「…それで、過労死。でも、何で公表してないんですか?それ以前に何故異動したことに…。」
「…竈山(かまどやま)センター長よ。」
「センター長が?…隠蔽ですか?」
何かとんでもない話になりそうだと危惧した溝口は眉間にシワを寄せた。
「センター長は祖父と父親が元国会議員で、センター長自身も国のお偉いさんとの繋がりも深く裏では何やってるかわからないような人でさ。まぁ、明確な理由は私にはわからないけど、いずれは国政界にでも手を出そうとしてたのかもしれない。職員を過労死させたなんて公になったら、彼にとっては大痛手よ。」
「…そんな理由で…」
本多は愕然とした。
「センター長は、勝俣先生は呪いによる死だと認定し、世の中の混乱を招かないためとの理由付けをして、職員には口外しないように言い聞かせた。
特に私と高橋先生には真実を隠せと厳しく言ってきたわ。悔しかったけど、呪いについて全くわからない私は、センター長に反抗することができずに、まんまと言いくるめられてしまった。
勝俣先生の遺族にも、呪いによって死に至ったと嘘の説明をし、親族間だけの密葬にさせたのよ。そして、溝口さんのような部外者には勝俣先生は違う病院に異動したことにしろとのお触れも出たわ。まぁ、知ってる人は知ってるんだと思うけどね。」
溝口はセンター長の身勝手な判断と行動に怒りが収まらなかった。とても難しい表情をしている溝口の姿をチラリと見た久保寺が忠告をした。
「溝口さん、余計な考えはしない方がいいわよ。私は、自分の罪を感じて、勝俣先生と関わっていた人には真実を教えておいてあげたかっただけ。特にあなたは、勝俣先生の世紀の解剖に立ち会った人だから。」
「あの…高橋先生は?」
「彼は依願退職したわ。センター長に絶望したのか、呪いが怖くなったのかは理由はわからないけど。勝俣先生の解剖した日から三日後にはもう来なくなっちゃって。」
「悪いことがあると、何でもかんでも呪いのせいにされてしまう世界になったら、もう終わりですね。」
溝口は呪いという言葉は、本当に恐ろしいと改めて実感した。
「…でも、勝俣先生も高橋先生も、結局は呪いによって人生が変わったんですよね。勝俣先生なんて、亡くなった後にまで真実をねじ曲げられて。…結果、全て呪いのせいですよ。」
本多は呪いというものに対して、恐怖より憤りを覚えていた。
「さ、話してるうちにいよいよ本丸よ。」
久保寺は千里の頭部にメスを入れ、次に特殊な道具で頭蓋骨に穴を開けていく。溝口と本多も久保寺の後ろ側に回り込み、要所を確認しようと覗き込んだ。
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池畑は、セレモニーホールの外にある喫煙所でタバコを吸っていた。
ブーッ、ブーッっとズボンの右ポケットに入れていたスマホのバイブレーションが鳴った。溝口からだった。
「もしもし、池畑だ。出たか?結果。」
「…はい。千里さんの解剖結果ですが…」
18時58分
正人は、絵美子と通夜振る舞い会場にいた。
ブーッ、ブーッと背広の内ポケットに入れていたスマホのバイブレーションが鳴った。父からだった。正人は急いでホールの外に出て電話をとった。
「もしもし。千里の解剖終わったのか!?どうだった?犯人の手掛かりは何か無かったのか?」
「…正人。あぁ、千里さんの解剖終わったよ。…それでな………千里さん………自殺だってよ。…呪いは一切関係ない……自らの意思の自殺だって。」
正人は、予想外の武志の言葉に、「そう。」の一言すら返答できなかった。正人が耳に当てたままのスマホからは、武志が、無反応の正人に「大丈夫か?」と繰り返し聞いている声が音漏れしていた。
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