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第2節 拡散
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「池畑刑事たち、ここです、ここ。」
無言のまま間違い探しを続ける二人に、瀬古はポインターで該当部分を示しながら言った。
すると、瀬古のヒントで少しピンときたのか、自信なさげに池畑が答えた。
「………色?」
「そう!ほぼ正解です!こっちの画像の、この部分と他の部分、そして、こっちの画像の、この部分と他の部分。同じ白でも濃さが違いますよね。」
瀬古が二枚の画像をポインターで示しながら解説した。丁寧な説明に、溝口も頷いた。それを見た瀬古は、続きを説明した。
「そして、この二枚の画像の違いというのは、その濃い白の位置です。そもそも、この色の濃さは以前から気にはなっていたんですが、サンプル数が少なくなかなか検証が出来なかったんです。ただ、この2体のサンプルが増え、ひとつの仮説を立てることができ、実験の結果、その謎が解けました。」
「…具体的には?」
工藤が目を光らせながら質問をした。
「はい。まず、いくつかのサンプルなんですが、これをご覧ください。」
瀬古がキーボードを押し画像を変えた。映し出されたのは、さっきの2体に加え、焦げていたり、溶けているような症例のもの、全部で6体の脳の該当部分を並べた画像だった。さっきよりもグロい内容に、溝口が目を反らしたのは言うまでもない。
瀬古は、その姿にクスリと笑いながらも、淡々と説明を続けた。
「これは、さっきの2体に加えて、もっと症状の酷いものも含めたものですが、焦げているものも、特に酷い部分があるです。ほらこことここ、違いがわかりますよね。」
ポインターで丁寧に設定する瀬古に対し、画像を見れていない溝口以外の聴衆者は皆頷いた。
「必ずこういった特に酷い部分があるんです。でも、この6体に言えることは、症状の出てる部分は皆場所も範囲も同じなんですが、特に酷い部分というのは、位置がバラバラなんです。これで私たちは一つの仮定を立てました。では、続きは志澤先生から。」
そう言うと瀬古は、スクリーンから離れてパイプ椅子に座り、代わりに志澤がスクリーンの横に立った。
「一応三人でやった実験なんで、報告も三人で分担してのプレゼンにさせてもらいました。私からは、本題の部分を。その立てた仮定というのが、この特に酷い症状が現れている部分は、呪いの根源……つまりは、呪いが最初に触れた部分ではないかと言うことです。」
志澤の説明に対し、漸く画像に慣れ始めた溝口が、首を傾げながら質問した。
「す、すみません。呪いが最初に触れたっていう言葉が理解出来ないんですが。」
「…言い方が悪かったですかね。呪いとは、今わかっている方法としては、とある場所で装置や紙を使用して行うものです。そして、その呪いは、その場所から被害者の脳に目掛けて届けられる。その届いた部分が最初に触れた部分ってことです。」
志澤は、溝口にも分かりやすいように、ジェスチャーを交えながら説明した。
「…つまり、その方向から呪いは届けられた…ってこと…か。」
工藤が理解したように、冷静な声で言った。
「所長、その通りです。逆に言えば、その部分が分かれば被害者がどの方向から呪いを掛けられたかが分かるんですよ。」
志澤は、スクリーンの画像を変えた。
「これは身動きが出来ないように固定されたマウスです。睡眠剤により居眠り状態になっています。この状態で何体かのマウスにあらゆる方向から簡易的な呪いを掛けてみました。…そして結果がこれです。」
切り替えられたスクリーンの画像には、呪いを掛けた方向、つまり装置を置いた方向と、脳の画像がセットになって映し出された。
その画像は、仮説通りに、呪いを掛けた方向と酷く症状が出ている部分が、分かりやすく一致していた。
「…ほんとだ、同じだ。」
溝口がボソリと呟いた。
志澤はニヤリとし、声を張って言い放った。
「はい、ご覧の通り仮説は実証されました!」
「素晴らしい発見だ!」
工藤は一人立ちあがり拍手を送った。池畑と溝口も座ったまま拍手をし、溝口が池畑だけに聞こえるように囁いた。
「池畑さん、これは大きな手掛かりになるかもしれませんね。」
「あぁ。戻って千代田の件調べるぞ。」
拍手をしていた工藤は、興奮した様子で質問をした。
「このまま、呪いの全容が解明できるんじゃないか!?」
すると、興奮している工藤に対して、ばつが悪いような困った表情で瀬古が答えた。
「…いや、それが…そもそも何故、脳のこの部分に共通して症状が現れるのか。更には、呪いの症状は脳のみに出ているようですが、何故あらゆる物体、他の人間、被害者の脳以外の部分には一切何も影響がないのか。諸々の謎はまだ解けていません。」
それを聞くと工藤は、拍手を止めてゆっくりと着席した。
無言のまま間違い探しを続ける二人に、瀬古はポインターで該当部分を示しながら言った。
すると、瀬古のヒントで少しピンときたのか、自信なさげに池畑が答えた。
「………色?」
「そう!ほぼ正解です!こっちの画像の、この部分と他の部分、そして、こっちの画像の、この部分と他の部分。同じ白でも濃さが違いますよね。」
瀬古が二枚の画像をポインターで示しながら解説した。丁寧な説明に、溝口も頷いた。それを見た瀬古は、続きを説明した。
「そして、この二枚の画像の違いというのは、その濃い白の位置です。そもそも、この色の濃さは以前から気にはなっていたんですが、サンプル数が少なくなかなか検証が出来なかったんです。ただ、この2体のサンプルが増え、ひとつの仮説を立てることができ、実験の結果、その謎が解けました。」
「…具体的には?」
工藤が目を光らせながら質問をした。
「はい。まず、いくつかのサンプルなんですが、これをご覧ください。」
瀬古がキーボードを押し画像を変えた。映し出されたのは、さっきの2体に加え、焦げていたり、溶けているような症例のもの、全部で6体の脳の該当部分を並べた画像だった。さっきよりもグロい内容に、溝口が目を反らしたのは言うまでもない。
瀬古は、その姿にクスリと笑いながらも、淡々と説明を続けた。
「これは、さっきの2体に加えて、もっと症状の酷いものも含めたものですが、焦げているものも、特に酷い部分があるです。ほらこことここ、違いがわかりますよね。」
ポインターで丁寧に設定する瀬古に対し、画像を見れていない溝口以外の聴衆者は皆頷いた。
「必ずこういった特に酷い部分があるんです。でも、この6体に言えることは、症状の出てる部分は皆場所も範囲も同じなんですが、特に酷い部分というのは、位置がバラバラなんです。これで私たちは一つの仮定を立てました。では、続きは志澤先生から。」
そう言うと瀬古は、スクリーンから離れてパイプ椅子に座り、代わりに志澤がスクリーンの横に立った。
「一応三人でやった実験なんで、報告も三人で分担してのプレゼンにさせてもらいました。私からは、本題の部分を。その立てた仮定というのが、この特に酷い症状が現れている部分は、呪いの根源……つまりは、呪いが最初に触れた部分ではないかと言うことです。」
志澤の説明に対し、漸く画像に慣れ始めた溝口が、首を傾げながら質問した。
「す、すみません。呪いが最初に触れたっていう言葉が理解出来ないんですが。」
「…言い方が悪かったですかね。呪いとは、今わかっている方法としては、とある場所で装置や紙を使用して行うものです。そして、その呪いは、その場所から被害者の脳に目掛けて届けられる。その届いた部分が最初に触れた部分ってことです。」
志澤は、溝口にも分かりやすいように、ジェスチャーを交えながら説明した。
「…つまり、その方向から呪いは届けられた…ってこと…か。」
工藤が理解したように、冷静な声で言った。
「所長、その通りです。逆に言えば、その部分が分かれば被害者がどの方向から呪いを掛けられたかが分かるんですよ。」
志澤は、スクリーンの画像を変えた。
「これは身動きが出来ないように固定されたマウスです。睡眠剤により居眠り状態になっています。この状態で何体かのマウスにあらゆる方向から簡易的な呪いを掛けてみました。…そして結果がこれです。」
切り替えられたスクリーンの画像には、呪いを掛けた方向、つまり装置を置いた方向と、脳の画像がセットになって映し出された。
その画像は、仮説通りに、呪いを掛けた方向と酷く症状が出ている部分が、分かりやすく一致していた。
「…ほんとだ、同じだ。」
溝口がボソリと呟いた。
志澤はニヤリとし、声を張って言い放った。
「はい、ご覧の通り仮説は実証されました!」
「素晴らしい発見だ!」
工藤は一人立ちあがり拍手を送った。池畑と溝口も座ったまま拍手をし、溝口が池畑だけに聞こえるように囁いた。
「池畑さん、これは大きな手掛かりになるかもしれませんね。」
「あぁ。戻って千代田の件調べるぞ。」
拍手をしていた工藤は、興奮した様子で質問をした。
「このまま、呪いの全容が解明できるんじゃないか!?」
すると、興奮している工藤に対して、ばつが悪いような困った表情で瀬古が答えた。
「…いや、それが…そもそも何故、脳のこの部分に共通して症状が現れるのか。更には、呪いの症状は脳のみに出ているようですが、何故あらゆる物体、他の人間、被害者の脳以外の部分には一切何も影響がないのか。諸々の謎はまだ解けていません。」
それを聞くと工藤は、拍手を止めてゆっくりと着席した。
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