おや? 婚約者の様子が……

りんごちゃん

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「な、な、なにそれ、本気で言ってるの?」

 オスカー様が床に座りながら、私を見上げて首をかしげる。こんなに動揺してるオスカー様を見るのは初めてで、思わずきょとんとしてしまう。

「だって、抱き合ってたじゃないですか。それに最近アステルと二人きりで会ってますし……」
「僕はソフィー一筋だよ!」

 ……え?

「わたくし、婚約破棄されるのではないのですか?」
「そんなことありえない!」

 オスカー様が立ち上がって私を抱き締める。
 あの、その、私は全裸のままだし、オスカー様は上半身裸なので、肌と肌が触れ合うんですけど。なんだか、その、すごく恥ずかしいんですけど……。
 それに、オスカー様が婚約破棄を考えてないって本当なの? それに私一筋って……。
 え、やだ。そんな私に都合のいいことってあり得るの?

「でも、だけど、アステルが」
「君の妹だから、会っていただけだから! ソフィーのことで話があると言われたら断れなかったんだよ……。ごめん、ごめんね、ソフィー。君をそんなに悩ませていたなんて知らなかった……。嫉妬していたなんて……」

 あ、オスカー様の心臓、すごくドキドキしてる。私と一緒。
 信じて、いいのかな。

「嫉妬するソフィー、すごくかわいい……」
「………」

 なんか複雑。かわいいって言われたのに、なんか複雑。
 複雑だけど、オスカー様とアステルのことが誤解だってわかったんだし、早く私の誤解も解かなくちゃ。解かなくちゃ、本気で大変なことになる。結婚式前にお腹ぽっこりなんて冗談じゃない。
 二人きりの部屋。足首には足枷。まだ危険を脱してはいない。

「あの、わたくし、すっかり婚約破棄されると思って、そしたら勘当されちゃうだろうし、修道院に入るか、娼婦になるかだと思って。そしたらアルドルフ兄様が心配してくれたから、その、」
「うん、もういいよ。僕も悪かったから他の男に求婚したことは許してあげる」

 ホッと息を吐く。なら、これで解放される。よかった。

「じゃあ続きをしよっか。優しくするね」
「……え」

 そう優しく微笑んだオスカー様にまた押し倒された。
 なんか、思ってたのと違う。
 てっきり私は仲直りして、誤解も解けて、相思相愛になって、半年後の結婚式を幸せな気持ちで迎えて、初夜を迎えることになると思ってたのに。
 にこにこと笑うオスカー様は私の谷間に唇を当て、そこに吸い付いて赤い花びらを作る。

「あ、の、オスカーさま……?」
「なぁに、ソフィー。愛してるよ」
「オスカー様……」

 初めて言われた愛の言葉にポッと頬が赤く染まった。
 愛してる、愛してる。その言葉が頭の中で何度も繰り返される。嬉しすぎる。ほんとに、ほんとに、夢じゃないんだ。オスカー様が好きなのは私なんだ。
 悪役令嬢でも、ちゃんと更生できれば大丈夫なんだ。
 ポーッとオスカー様を見ていると、どんどんオスカー様の顔が近付いてきて、唇が塞がれる。
 相思相愛って確かめてからのはじめてのキス。幸せ。嬉しい。けど、あれ?

「んーっ! ふっ、ぅ、んんっ!」

 手が、手が! 私の胸を揉み始めた手を止めようと動くと、にゅるりとオスカー様の舌が入ってきた。
 な、なんか違う! キスされながら、胸を弄られるって、なんか違う!
 オスカー様の舌が私の舌を引っ張り出し、吸う。苦しさに喘ぐと、目を開いたままのオスカー様が楽しそうにしているのがわかった。

 そうだ、思い出した。
 乙女ゲーム攻略対象メインヒーローのオスカー様は、僕様にっこり穏やか系ドSだった……!

「ふっ、ぁっ、おすかー、しゃ、ゃ、んっ」

 興奮からか尖り始めた乳首を指で捏ねくり回し、オスカー様は私の反応を楽しそうに観察する。
 唇が離れると私たちの間を銀の糸が引いた。
 はぁはぁ、と肩で息をする私を楽しそうに見下ろすオスカー様の目に、止めると選択肢は見当たらない。それはまずい。

「おすかー、しゃ、しゃ、さ、ま、」
「かわいいソフィー。どうしのかなぁ?」
「あ、の、こども、とか、は、けっこんしてから、その、しょやで……」
「大丈夫だよ」

 オスカー様の言葉に一縷の希望を抱いて、オスカー様を見る。

「王にも王妃にも許可はもらってるから。ロマンス公爵もふふ、君の妹のことを持ち出したらすぐに許可をくれたよ。君の妹、ずいぶん色んなところに迷惑をかけてるみたいだねぇ。拗れてしまった関係を取り持つって言えばすぐだよ。もちろん、君の妹の始末もさせたよ」
「し、しまつって……」
「ああ。安心して? 殺してはないから」

 オスカー様の言葉にホッと息を吐く。
 よかった。始末なんて言うから殺されちゃったかと思った……。さすがにそれは夢見が悪い。
 ……違う。安心しちゃダメだ。このさいアステルがどうなったかはまあいい。今は私の貞操の危機を乗り越えなくちゃいけないのに、オスカー様、ヤる気満々。

「まずは優しく解してあげるね」
「へ、ぁっ、!!??」

 太ももを掴まれたと思ったら、そのまま開脚させられた。いきなりのことでもう声が出ない。そんな私を無視して、オスカー様は両足首を私の頬近くまで持って押さえつける。
 まるで大事なところを見せつけるような形になった。
 なんなの、なんなの、なにするの? ちがうっ! ダメなんだってば!

「ああ。さっき耳でイッたからかな。結構濡れてるねぇ。乾いてないや」
「あっ、あっ、あっ………」

 なに? なにを見てるの? え、おかしくない? 私の太ももを思いっきり開かせてるのよ? 顔が近いのよ? 息がかかってるのよ? 全裸なのよ? 私、全裸で、手だってほら、私の顔の近くにあるのよ? 隠す事ができてないのよ?

「綺麗なピンク色。あ、ここにかわいらしい粒もあるね」
「~~~~~~~~~~ッッッ!!!!」
「ぃたっ!」

 あまりにも非日常過ぎて、気がつけば私はオスカー様の手を振り払い、思いっきりオスカー様の頭に蹴りを入れていた。
 ハッとしたときにはすでに遅い。

「……ソフィー?」
「ひぃっ!」

 にっこり笑顔で目が笑ってないオスカー様がそこにはいらっしゃった。

「だ、だって、でも、」
「ソフィー、僕にされるのが嫌なら、自分で開いてよ」
「……は?」

 まって。うそだ。聞き間違いだ。
 私のオスカー様はそんなこと言わない。相思相愛になったオスカー様はそんなこと言わない。

「自分で開いて、ソフィーの中を僕に見せなさい」

 ──聞き間違いじゃなかった。
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