婚約者をNTRれた皇太子をNTRたい

りんごちゃん

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 むはー。皇宮のご飯おいしー。しあわせー。

「アスティってすごく美味しそうにご飯を食べるね」
「っ、あ、あんまり見ないでください……」

 見られてた。皇宮のご飯が美味しすぎて、目の前の皇太子のことほとんど忘れてた。
 だってそれぐらい美味しいんだもの、ご飯。

 デートもどきは順調に終わった。
 私の欲しかった瞳に合わせたイヤリングも買えたし、新しい夜会用のドレスも仕立てさせた。
 だけど何故かエメラルドのネックレスも増えたし、夜会用のドレスの他に普段着用のドレスも仕立てさせられた。
 全然順調じゃなかったわね……。
 だって皇太子って言葉が上手いんだもの。私が小さな宝石類を気に入って見てることに気づいた皇太子は、私が気に入りそうな宝石を次から次へとかわいいものを持ってくるんだもの。かわいかった。小さいサファイヤのついた指輪とか、キラキラ輝くダイヤモンドとかすごくかわいかったの。でも、そんなに宝石を増やしても必要ないし、我慢したわ。私偉い。
 ドレスも肌を晒すのが好きじゃないことに気付いたのか、途中皇太子がドレスのデザインをし始めてなんか色々大変だった。さすがに止めたわ。皇太子のデザインしたドレスとかどんな辱めよ。恥ずかしくて死ねるもの。

 そんなわけで順調にお出かけを終わらせて、皇宮にやってきました。美味しいご飯です。皇帝とカーシェ様はいらっしゃらない。皇太子と二人っきりの食事も微妙なんだけど、仕方ないわよね。
 それより皇宮にはでっかいお風呂もあるの。楽しみ。

「んーっ! ラズベリソースのチーズケーキおいしーっ!」

 ほっぺたがとろけ落ちてしまわないように、しっかりと手で押さえながらもぐもぐと口を動かす。
 これなら何個でも食べられる。
 ああもう、きりっとしながら食べたいのに、どうしても顔がにやけるわ。
 本当に何個でも食べられそうなんだけど、ここは我慢しなくちゃ。それでなくともいつもより食べてるのに、これ以上食べたら大変なことになっちゃう。
 それに今夜は皇太子を襲うのに、お腹がぽっこりなんてしてたら魅力的とは程遠くなるわ。私の美貌を持ってして、皇太子をあんあん言わせるんだから。
 そうよ。私のこのおっきな胸があれば挟むことだって余裕よ。見えなくなっちゃうんだから。まずは口であんあん言わせてやる。

「あ、アスティ」
「はい?」
「口元、ついてる」

 なんて思考がどこかへと行っていると、いきなり話しかけられて、唇の端を皇太子の親指で擦られた。しかもそれを皇太子はよりによってぺろっと舐めた。
 ぼふんっと顔から火が出た。気がした。

「な、ななななに、なにするのっ!」
「え? アスティの口元にソースがついてたから取っただけだよ」
「っ、っ、あ、う、く、口で言ってくれれば自分で取れるものっ!」

 ナプキンもあるのに、どうして先に言ってくれないの!
 そしてなんだか皇太子が余裕ぶってるのが腹立つ。どうせ皇太子はドルテラで慣れてるんだろうけど、って考えると余計腹立つ。
 絶対絶対あんあん言わせる。ごめんなさいって言わせる。
 幸いこの国は婚約者同士が性交することは禁止されてない。本当の意味でヤっちゃっても問題ない。
 皇太子も私とヤっちゃったら責任とって婚約破棄もしないだろうし。
 これは絶対絶対にやるしかない。
 最初はフェラだけで許してあげようかと思ったけど許してあげない。

 今日で身も心も全て私のものになるといいわ!

 ふきふきと口元をナプキンで拭きながら、私は心の中で大笑い。
 負ける気がしないもの。


「……ねむいわ」

 美味しいご飯を食べて、お風呂にも入ったらなんだか身も心も満足しちゃって眠くなってしまった。
 でも寝たら終わりだから寝ない。
 今は部屋に一人。外にも見張りは特にいない。行くなら今よねぇ。

「アスティ様」
「ん、あら。ジュン?」

 うっとうとしていたら、城に潜入しているメイド姿のジュンがいつのまにか来ていた
 さすがジュンね。隠密行動がすごい。
 ちなみにジュンは前に紹介した通り、線の細くてかわいい男の子。女装をしてメイドとして隠密してる。かわいいのよ。女か男かわからなくなるくらいかわいいの。
 うん、性格はマーズに似たり寄ったりで残念なんだけどね。顔はかわいいし、たまに謎の男前が発揮されるから見てて癒されるわ。だから問題ないの。信者系男子って需要あるのかしら。さすがにピーターから、ジュンが毎日私のいる方角へ向けて頭を下げてるってことを聞いたときは、私って神様になったのかしらと悩んだものだわ。

「はい。急ぎご報告したいことが」
「どうしたの?」
「皇太子が媚薬を盛られました」
「…………なんですって?」

 びやく? 媚薬って、男性にじゃなくて女性に盛るものでしょ?

「おそらくあの異世界人の仕業だと思われます」
「ああ、あのキモオタ。どうして? どうしてそう思ったの?」
「はい。アスティ様に言われ、あの男を観察していましたが、あの男はなにか幻影効果のあるものを身に纏い、催淫効果のあるものを作り出せるのだと思います」

 ふむ……。それってハーレムチートってやつ?
 そういえばリンが『今まで会ったやつはみんなチートを持ってた』なんて言ってたわね。それがあの男はそっち系のチートだったってこと?
 えー、待って待って。そしたらドルテラが婚約破棄した理由がチートのせいってことになっちゃうじゃない。そんなのダメよ。もう私のものだもの。
 絶対絶対ユージンは渡さない。ユージンがドルテラが良くても、もう私のものだもの。
 あれ、でもどうして私やカーシェ様には効かないのかしら。

「効かない人たちの共通点は? わたくしもカーシェ様も、それからカーシェ様が仲良くしている婦人方にも、あの男が絶世の美男子に見えてないわ。ジュンもそうよね?」
「はい。男はみなそのようです。仮説にはなりますが、あの男が美男子に見える幻影がかかる人間は心から愛する人がいない人間だと思います」
「ああ、なるほど……」

 カーシェ様は心底皇帝を愛してらっしゃる。カーシェ様と仲良くしているご婦人方も旦那様を。そして私は自分を心底愛してる。それならかからない理由がつくわ。
 そういえば恋愛の末に婚約した人たちはほとんど破棄には至ってないわね。破棄に至ったのは政略結婚の人間が多数。
 ……あら? それじゃあドルテラはユージンのことは愛してなかったっていうこと? どちらにしろユージンの片想いだったの? それは泣けるわね。

「催淫効果を作り出せるっていうのは?」
「はい。あの男を観察していたところ、あの男がよく小さな錠剤を作り出し、それを女が飲むとたちまち淫乱になってましたのでそのように考えました」
「うわぁ……」

 ドン引きだわぁ。

「ん? でも、どうして今回ユージンが狙われたの? 男よ?」
「その、皇太子はお顔が……」
「なるほど。方法はわかってるの?」
「おそらく皇太子付きのメイドを陥落させ、運ばせたのだと思います」
「ふぅん」

 ユージン、女顔だものね。狙われても仕方ない。
 それならジュンも危ないじゃない。
 膝を立てて頭を下げながら報告してるジュンの頭を撫でる。冷静を装いながらも耳が真っ赤ね。かわいい。

「ユージンのことはわたくしがなんとかするわ。もともとそのつもりだったし。ジュン、ジュンこそ気をつけなさいね。あんな男に触れられたらダメよ」
「はい、アスティ様。重々承知しております」
「なにかあったらピーターに。厄介ごとに巻き込まれる前に帰ってきなさいね」
「はいっ! アスティ様!」

 うむ。なかなかいい返事。偉いわ。
 最後にジュンの頭を撫でて、私は媚薬を盛られた噂の皇太子に会うため行動を開始した。

 なんか予定とは違ったけど……。
 オールオッケーよ、問題ないわ。
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