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チューリップ
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体育服を受け取るだけのつもりであったが話し込んでいたらしい。皆着替え終わったのか更衣室はすでに無人だった。蒲田から借りた体育服は上はそうでもないのに、下は裾が余って憎たらしかった。どこまでも容姿に恵まれている。
それから購買に行き、昼食を買った。すでに昼休みが半分終わってしまっているため、食べ応えのあるパンはすでに完売していて、仕方なくクリームパンとメロンパンを買った。購買からの帰り、人がまだらな廊下の先で気怠そうに歩き、柔らかな黒髪を揺らす見覚えのある後ろ姿を見つけた。
一瞬の逡巡の後、意を決して声をかける。
「環!」
無視をされるのではないかと恐れていたが、杞憂に終わった。足を止め、顔を振り向かせた環に胸を撫で下ろし駆け寄れば、手に下げた購買の袋と顔を交互に見た後こてんと首を傾げた。
「どこ行ってたの」
「体育服忘れたから借りに行ってた」
「……誰に?」
「蒲田先輩」
折れ曲がっていたジャージを除けた環の指が、隠れていた胸元のネームを晒した。
「わざわざ?」
「うん」
「ふぅん」
指先で撫でるようにジャージに施された名前をなぞられる。なんてことない仕草だ。ただ、その刺繍がちょうど胸の先端の付近で体が強張った。
息が詰まって、環に触れられている部分からじわじわと熱が広がっていく。その変化を悟られないように体を丸めた。
「わざわざねぇ」
「っ、環っ」
「他のクラスでもよかったんじゃない?」
「知り合いいないから……」
「どーだか」
不意に指先が側面に触れた。意識していただけに体を大袈裟に跳ねさせてしまった。しまったと顔を上げた時にはもう遅い。見開いた環の目と視線が交わり、かぁっと顔が熱くなる。
引こうとした体は環の手に止められ、今度は確かな意思を持った親指に押し潰された。
「環っ、ここ学校だから」
「そーだね」
「誰が来るか分かんないしっ」
「分かんないね」
「たまきぃ」
環の手を両手で掴み縋るように見つめた。それでも環は動きを止めず、むしろ反応を楽しむかのように捏ね始める。
ジャージ越しの小さな刺激でも、誰かに見られるかもしれないという緊張と学校という場所から来る背徳感で、体の芯が疼き始めた。口から溢れる吐息には熱が篭り、環もまた興奮したように顔を赤く染めている。その時だ。
「冬休みに補習ってマジかよ。聞いてねぇんだけど」
「それな。知ってたらもうちょい本気出したって」
廊下に響いた生徒の声に緊張が走った。項がチリチリと痛み環の腕を握る両手に力が入って白く滲んでいた。
もどかしい刺激を受けていたせいで甘く勃ち上がっている下半身を一瞥すると、胸に仕掛けていたイタズラを止め、俺の手を取った。手を引かれている間は反応している下半身を隠すことに必死で、借り物だということも忘れてジャージの裾を引っ張っていた。
生徒や教師とすれ違うたび体が強張った。見られているような気もした。しかし、誰かに声をかけられることはなく、利用者の少ない離れたトイレの個室に押し込まれる。
狭い個室の中、扉に凭れるように俺を立たせた環は、再び俺の胸元へと手をの伸ばした。
「学校だから、これ以上はっ」
「でも、気持ちいいでしょ。さっきより硬くなってるよ」
「それは……!」
胸を掻き集めるように覆う手のひらを掴んだ。先程よりも硬く上を向いている性器を刺激するように、環の腿が俺の下半身に押し付けられている。
止めるべきだ。バレてしまえば、環にまで火の粉がかかる。しかし、性感を煽られた体はその先を求めて、環の脚に押し付けるように腰を押し付け始めるのだ。環の手を掴む腕も、その抵抗は形ばかりで力は入っていない。本能に正直な体を止める術は見つからなくとも、こんな場所ではしたない行為をねだってしまうほど理性を捨て切ることもできておらず、口からはぽろぽろと言い訳ばかりが飛び出した。
「人来るから!」
「見られる前に治めないと。見られたら恥ずかしいでしょ?」
「後ろの準備だってしてないし」
「うん、前だけで気持ちよくなろーね。ほら、早くしないと掃除始まっちゃうよ」
「環ぃ……」
泣き出しそうに震えた声で名前を呼ぶと、環の目が恍惚そうに細まった。裾から忍び込んだ手がゆっくりと腹を登っていき、胸のすぐ下で焦らすように止まる。そして、頷けと言わんばかりに目を覗き込まれる。押し付けられた下半身から、環もまた興奮していることが分かった。互いを擦り合わせるように動く、いつの間に頭を擡げていた熱に刷り込まれた快感が引き摺り出される。ダメだと分かっていても、そこから目を離すことができず、咥内に溜まった唾液を嚥下した。
「だ、だめだってぇ……」
「きっと気持ちいいよ」
「あっ……!」
不意に乳首を摘まれた。もどかしい刺激から一転して、直接的な強い刺激に体が跳ね上がり、緩んだ口元からは鼻にかかった声が漏れた。大きな声ではなかった。しかし、狭い個室の中では壁に反響して、実際より大きな音として鼓膜を揺らした。熱を帯び始めていた体からは須臾にして血の気が引く。気をよくして更に弄ぼうとする環の指に自分のそれを絡ませて声を上げた。
「ふ、服!」
「ん?」
首筋に這わそうと出した舌をそのままに、俺を見上げる環を真っ直ぐに見つめ、熱に浮かされた頭で必死に続きを考える。
「服、先輩のだから、だめ」
それから購買に行き、昼食を買った。すでに昼休みが半分終わってしまっているため、食べ応えのあるパンはすでに完売していて、仕方なくクリームパンとメロンパンを買った。購買からの帰り、人がまだらな廊下の先で気怠そうに歩き、柔らかな黒髪を揺らす見覚えのある後ろ姿を見つけた。
一瞬の逡巡の後、意を決して声をかける。
「環!」
無視をされるのではないかと恐れていたが、杞憂に終わった。足を止め、顔を振り向かせた環に胸を撫で下ろし駆け寄れば、手に下げた購買の袋と顔を交互に見た後こてんと首を傾げた。
「どこ行ってたの」
「体育服忘れたから借りに行ってた」
「……誰に?」
「蒲田先輩」
折れ曲がっていたジャージを除けた環の指が、隠れていた胸元のネームを晒した。
「わざわざ?」
「うん」
「ふぅん」
指先で撫でるようにジャージに施された名前をなぞられる。なんてことない仕草だ。ただ、その刺繍がちょうど胸の先端の付近で体が強張った。
息が詰まって、環に触れられている部分からじわじわと熱が広がっていく。その変化を悟られないように体を丸めた。
「わざわざねぇ」
「っ、環っ」
「他のクラスでもよかったんじゃない?」
「知り合いいないから……」
「どーだか」
不意に指先が側面に触れた。意識していただけに体を大袈裟に跳ねさせてしまった。しまったと顔を上げた時にはもう遅い。見開いた環の目と視線が交わり、かぁっと顔が熱くなる。
引こうとした体は環の手に止められ、今度は確かな意思を持った親指に押し潰された。
「環っ、ここ学校だから」
「そーだね」
「誰が来るか分かんないしっ」
「分かんないね」
「たまきぃ」
環の手を両手で掴み縋るように見つめた。それでも環は動きを止めず、むしろ反応を楽しむかのように捏ね始める。
ジャージ越しの小さな刺激でも、誰かに見られるかもしれないという緊張と学校という場所から来る背徳感で、体の芯が疼き始めた。口から溢れる吐息には熱が篭り、環もまた興奮したように顔を赤く染めている。その時だ。
「冬休みに補習ってマジかよ。聞いてねぇんだけど」
「それな。知ってたらもうちょい本気出したって」
廊下に響いた生徒の声に緊張が走った。項がチリチリと痛み環の腕を握る両手に力が入って白く滲んでいた。
もどかしい刺激を受けていたせいで甘く勃ち上がっている下半身を一瞥すると、胸に仕掛けていたイタズラを止め、俺の手を取った。手を引かれている間は反応している下半身を隠すことに必死で、借り物だということも忘れてジャージの裾を引っ張っていた。
生徒や教師とすれ違うたび体が強張った。見られているような気もした。しかし、誰かに声をかけられることはなく、利用者の少ない離れたトイレの個室に押し込まれる。
狭い個室の中、扉に凭れるように俺を立たせた環は、再び俺の胸元へと手をの伸ばした。
「学校だから、これ以上はっ」
「でも、気持ちいいでしょ。さっきより硬くなってるよ」
「それは……!」
胸を掻き集めるように覆う手のひらを掴んだ。先程よりも硬く上を向いている性器を刺激するように、環の腿が俺の下半身に押し付けられている。
止めるべきだ。バレてしまえば、環にまで火の粉がかかる。しかし、性感を煽られた体はその先を求めて、環の脚に押し付けるように腰を押し付け始めるのだ。環の手を掴む腕も、その抵抗は形ばかりで力は入っていない。本能に正直な体を止める術は見つからなくとも、こんな場所ではしたない行為をねだってしまうほど理性を捨て切ることもできておらず、口からはぽろぽろと言い訳ばかりが飛び出した。
「人来るから!」
「見られる前に治めないと。見られたら恥ずかしいでしょ?」
「後ろの準備だってしてないし」
「うん、前だけで気持ちよくなろーね。ほら、早くしないと掃除始まっちゃうよ」
「環ぃ……」
泣き出しそうに震えた声で名前を呼ぶと、環の目が恍惚そうに細まった。裾から忍び込んだ手がゆっくりと腹を登っていき、胸のすぐ下で焦らすように止まる。そして、頷けと言わんばかりに目を覗き込まれる。押し付けられた下半身から、環もまた興奮していることが分かった。互いを擦り合わせるように動く、いつの間に頭を擡げていた熱に刷り込まれた快感が引き摺り出される。ダメだと分かっていても、そこから目を離すことができず、咥内に溜まった唾液を嚥下した。
「だ、だめだってぇ……」
「きっと気持ちいいよ」
「あっ……!」
不意に乳首を摘まれた。もどかしい刺激から一転して、直接的な強い刺激に体が跳ね上がり、緩んだ口元からは鼻にかかった声が漏れた。大きな声ではなかった。しかし、狭い個室の中では壁に反響して、実際より大きな音として鼓膜を揺らした。熱を帯び始めていた体からは須臾にして血の気が引く。気をよくして更に弄ぼうとする環の指に自分のそれを絡ませて声を上げた。
「ふ、服!」
「ん?」
首筋に這わそうと出した舌をそのままに、俺を見上げる環を真っ直ぐに見つめ、熱に浮かされた頭で必死に続きを考える。
「服、先輩のだから、だめ」
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