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第二章
19 エクセル・ディ・アドラー
しおりを挟む(エクセル様?今エクセル様って言った!?)
皇宮に出入り出来るエクセルという名の人物は私の知る限り一人しかいない。
どうか人違いであって欲しい。だって明らかにこの茂みの向こう側にはイケナイ世界が広がっている。
しかし今生では知らぬ仲ではない。離宮からの帰り道、敵襲からルーと私の命を救っていただいた。
それだけではない。プルマの見せてくれた前世では、最後まで殿下のために尽くしてくれた尊い方だ。
できれば是非今後ともよろしくお願いしたいところである。
(……だからこれは覗きではないわ。確認よ、確認……。)
そして恐る恐る茂みから顔を出した私は、この行動を一生後悔する事となる。
「やあ!これは可愛らしいお嬢さんだね。どうしたの?迷子かな?」
こっそり、ほんの少しだけ顔を出しただけなのに。何故か私が顔を出すタイミングがわかっていたかのようにアドラー公爵……いや、今はまだアドラー公子は爽やかに声を掛けてきた。
「そんなに目を見開いてどうしたの?」
人というものは想像を絶する場面に出食わした時“無”になるらしい。
【どうしたの?】
そんな簡単な単語の意味もわからなくなるほど私の頭の中は真っ白になっていた。
目の前には芝生に仰向けに寝転ぶ女性が足腰を高く上げ、公子はそれを立ちながら支えつつ
脚を交差させるように合わさって……そんで挿入ってる……挿入ってるわよね!?
「あぁん♡♡頭がおかしくなっちゃう♡♡」
なるよ!そりゃそんな体位してたらなりますよ!!
え!?それどういう……どうなって……え!?
複雑怪奇すぎて色んな角度に頭を動かして見るがさっぱりわからない。
「あはは!ちょっと角度とか色々難しいよね!これは体力いるんだよ?準備運動に持ってこいなんだ!」
なんて……なんて爽やかなスマイル……
もう隠れたって意味ないですよね。
何だかよくわかんないけど私は絶賛まぐわり中のお二人の前に姿を見せた。
「やあお嬢さん。覗き見はよくないけど俺もあまり人の事は言えないからおあいこにしよう。で、どうしたの?迷子かな?」
公子の下で侍女の制服を着た方がめちゃめちゃ喘がれてますが、ここは平常心を保つ事にしましょう。
「初めてお目にかかりますアドラー公子。私はクローネ侯爵家のアマリールと申します。」
そして人生二周……いや通算三周目となる私が培った最高の礼を披露すると、瞬時に公子の目付きが変わった。
「これはこれは……噂には聞いてましたがあなたが殿下の……いやこれは素晴らしい。こんな出会い方で申し訳無かったね。」
ええそれはもう。できれば私も普通にお会いしたかったですけどね。
「もしかして今日は模擬戦を?」
「はい。初めての観戦なのでとてもワクワクしております。今日は公子も出場なさるのですか?」
「ああ勿論!よし!じゃあ一緒に会場に戻ろうか!ちょっと待っててね!」
そう言うなり公子はよいしょっと女性を持ち上げて
「ごめんね……良い時間を本当にありがとう……」
そう囁きながら最後まで導いてあげていた。
「さあ行こうか!」
そう言われ差し出された手を掴むのをかなり躊躇ってしまったのはここだけの話だ。
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