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第二章
41 皇后の茶会
しおりを挟むタミヤに案内されたのは隣の部屋。
「殿下が私のためにわざわざ衣装部屋を……?」
「はい。中の物はすべて殿下がお選びになったお品ですよ。」
殿下が選んでくれた品……。
そう言えばルーも私のためにたくさんの品を選んでくれた。
(ドレスを選んだのは初めてなのによく見もしないで……!って怒られたっけ……)
部屋の中には何着ものドレスとそれに合わせた靴。そして宝石に髪飾りなどが置かれていた。
「……これ、全部私に……?」
タミヤは“はい!”と笑顔で言うが、こんな上質な品をこんなにたくさん……しかもまだ成長途中の私に与えるなんて……。
(身体だってこれからどんどん大きくなるからすぐ着れなくなってしまうのに……。)
「これから殿下と一緒にたくさんの行事にも出席されるようになります。ですから……もしかしたらこれでも足りないかもしれませんよ?」
そっか……。
これからは公式行事も一緒に出席するのか……。
前世彼の婚約者であった時はとても“一緒に出席した”とは言い難い状況だった。
始まる前から歓迎されていない雰囲気がすごく伝わってきて居場所が無くて……会話も無いまま彼の後ろでただひたすら目立たぬよう立っていただけだった。
でもきっと……きっと今の殿下なら私を孤独の中一人にさせたりはしない。
そうよ。茶会がなんだ!ハニエル様がなんだ!もう負けないんだから!
よし。殿下の贈ってくれたこの戦闘服に身を包んで頑張るぞ!!
「タミヤさん、どうか私を思いっきり綺麗にして下さい!」
「はい!精一杯やらせていただきます!」
**
その頃皇后マデリーンの主催する庭園での茶会は賑わいを見せていた。
なんと言っても今日の茶会に招待されるのは選ばれた貴族だけ。そして主役は将来を担うその子らだ。
皆がこれでもかと我が子を着飾らせ、何とか高貴な方の目に留まろうと血眼になっていた。
「皇后陛下!本日はお招きありがとうございます!バルビエ伯爵家のアルマンでございます。」
アルマンと名乗る男は隣に鮮やかな赤いドレスを来た娘を連れていた。
「お久しぶりねアルマン卿。ジゼルも大きくなったわね。」
ジゼルと呼ばれた娘は十三になるアルマン伯爵家の長女だ。
(……年頃はルーベルとちょうどいいけれど……)
マデリーンは頭の中でアルマン伯爵家との縁で皇家と自分にどれほどの利があるのかを考える。アルマンだけではない。この会場のすべての人間をそうやって判断しているのだ。
(……長く続いてきた名家というだけでこれと言って何もないのよね……)
それではルーベルの妃には……皇妃にだって据えることはできない。いや、させない。
(それにしても……ここにアマリールがいてくれたら良かったのに……。)
マデリーンにはある企みがあったのだ。
それはアマリールの存在をこの茶会で示す事だ。
この場には選ばれた者しかいない。近い将来エレンディールの要職を担うであろう貴族。そして未だ婚姻を結んでいない独身者のみ。
当然出席者の狙いも皇族との縁だ。どの貴族も死にものぐるいで媚びて来る。例えどんな手を使ってでも皇太子か皇女との縁をと。
(……そこでアマリールなのよ……)
アマリールが現在一番有力な皇太子妃候補であると知れれば、他の貴族達は負けじと財力を見せつけてくるだろう。他の誰でもない、皇后マデリーンに。
自分に貢がれるものの量と質を跳ね上げさせるためにはクローネ卿の存在を示す事が不可欠だ。
マデリーンは今日この場でそれが叶わないことをとても憂えていた。
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