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第三章
20 告白①
しおりを挟む「ではクロエ様、どうぞごゆっくりお休みなさいませ。」
侍女が明かりを消し退室すると、クロエは大きな窓の前に座り夜空を見た。
もう少ししたらこの空ともお別れだ。
ローランの空もエレンディールと似ているだろうか。いや、似ていなくたっていい。
空は続いている。どこにいたって同じ空の下にあの男は生きている。
元気でいてくれればそれでいい。子供の頃と変わらないあの笑顔のままでいてくれれば。
「不思議ね……ここを離れると決めてから、幼い頃の事ばかり思い出すわ。」
初めて出会った日。一緒に庭園を駆けて泥だらけになった日。初めて出陣していった日の背中。帰ってきた時の笑顔……。
どれも色鮮やかに頭の中に残っている。
できれば死ぬまで消えずにいて欲しい。
でも綺麗さっぱり消えて欲しいとも思う。
そうすればローランの王子の事も心から愛せるかも知れない。
コンッコンッ
その時不意に扉を叩く音が聞こえた。
(誰かしら……)
侍女ならば要件を言うはずだ。
しかしいつまで経っても扉の向こうからは何も聞こえない。
クロエは不審に思い、危険かと思ったが問い掛けた。
「誰?」
すると聞こえてきたのは予想もしない人物の声だった。
「俺です。」
「エクセル!?」
驚いたクロエはすぐに扉を開けた。
「エクセル何してるのこんな時間に。それにどうやってここまで?……とにかく早く中に入って。」
こんなところを誰かに見られでもしたら彼は罰を受ける事になる。クロエは急いでエクセルを中に引き入れた。
薄暗い室内でエクセルは立ったまま下を向いて何も言わない。
「一体どうしたの。何かあったの?」
エクセルは下を向いたまま口を開く。
「……叱られました。」
「叱られた?誰に?」
「自分よりもずっと年下の少女です。久々に思いっきりぶん殴られたような衝撃でした。」
この国で一番強いエクセルにそんな衝撃を与えられる少女なんてどこにいるのか。クロエは混乱した。
しかしエクセルはそんなクロエに向かってようやく顔を上げ、真っ直ぐにその瞳を見つめた。
「ローランへは行かないで下さい。」
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