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4章
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しおりを挟む「さぁお掛け。一緒にお茶を飲もう。」
フランシス様は車椅子の自分の隣にあるソファーを勧めてくれた。遠慮がちに座ると、目の前に香ばしい匂いのするお茶が置かれる。
「昨日いただいたのとはまた違った香りですね。」
「そう。これは原料をよく炒ってあるからいい香りがするでしょう?血圧を下げたり、ストレスを緩和する効き目があるんだ。私とシモン用だね。もうおじさんだから。」
そう言って笑うフランシス様のお顔は全然おじさんとは程遠い。昨夜お会いした時も美しい方だとは思ったが、こうして昼の光の下で見るフランシス様は女性と見紛う程にお美しい。
いけないとわかっていてもついまじまじと見てしまう。そしてフランシス様もニコニコと微笑み返してくれるものだから、見つめあってるようなおかしな状況である。
「………叔父上………」
背後から背筋の凍るような怒気を含んだ声が聞こえたと思った瞬間身体がフワリと宙に浮く。
「ユリシス様!?」
ユリシス様は私を抱き上げ膝に乗せる。
しかも何故かフランシス様に背を向けるように向きを変えられている。
「やぁ、遅かったねユリシス。マリーちゃんの方が先に来ちゃったから一緒にお茶してたんだよ。」
呑気なフランシス様をユリシスさまはギッと一睨みしてから私に視線を移す。
「マリー……ゆっくり休んでてって言ったのにもう起きたの?部屋に居ないから心配したよ。身体は大丈夫?………その……ごめんね、昨日はたくさん無理させちゃって……。」
顔を近付け愛おしそうに私の頬を撫でてくれる。唇が触れそうな距離だ。
しかしはにかむ姿はとっても可愛いのですが一体何を言ってるのかしら!?
「ちょっ、ちょっ、ユリシス様!!」
慌てる私にユリシス様は拗ねたようにして
「どうして昨日みたいに呼んでくれないのマリー?これからはずっとそう呼んでくれるって約束したのに……。」
いや約束はしてない。て言うか今はそれどころじゃない。皆の目が生ぬるいのがわかりませんかユリシス様!!
はっ!!まずい!!お父様!!!
お父様が死ぬ!!
「ユ、ユリシス様!その話は今は……父もいますからちょっと………!!」
「あぁ、そうだったね!私としたことが!」
ユリシス様は忘れてたと言うように私を膝に抱えたままお父様の方へ向き直る。
「シモン。私とマリーは昨夜お互いの気持ちを確認し合い、深く結ばれた。王都に戻り次第正式に婚約の儀を行いたいと思う。」
ちがーーーーう!!!!!
そうじゃない!そうじゃないのよユリシス様!
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