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4章
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しおりを挟む「マリーは傷付いた雛鳥のようだったよ。お前のせいでね……。
でもとても美しかった。流れる白金の髪も、淡い空色の瞳も、見た目は勿論だが何よりその心の美しさが………出会った瞬間から私を惹き付けて離さなかった。
マリーはどんなに虐げられようとも己の心だけは見失わなかった。大切に育てられ、そしてたくさん愛されたのだろう。シモンと…亡くなってしまった母君にね……。ヘルマン、お前さっきマリーはシモンの意志を受け継がなかったと言ったがそれは間違いだ。マリーは正しくシモンの意志を受け継いでいる。
そしてアランとアニーも、マリーのお陰で生きる希望を失わずに今日に至っている。アニーはマリーと共に王宮に迎え入れるつもりでいる。次期王妃付きの侍女としてね。
それにしても残念な事だねマチルド。
私の妃になりたいがために相当な努力をしてきたようだが、お前の資質で王妃になれるとでも思ったかい?
私も人殺しの妃なんて冗談じゃないよ。」
ユリシス様の言葉に私は涙が止まらなかった。
彼は私を侮辱する人間に言ってくれたのだ。私は両親に愛され、その心をちゃんと受け継いでいると。そして、アニーの将来までも考えてくれていたなんて……。平民の命を軽く考える貴族達が大勢存在する中、王族で…しかも次期国王となる第一王子が平民出身のアランとアニーの事をこれほどまでに大切に考えてくれていたなんて。
本当に、何て素晴らしい人なんだろう。
マチルド様は下を向いたまま動かず、ヘルマン侯爵は……おそらく娘の犯した過ちを本当に知らなかったのだろう。
まさかと言う顔で娘とユリシス様を交互に見ながらオロオロとしている。
「マチルド!!何とか言いなさい!!お前じゃないんだろう!?何かの間違いだよな?な?」
何も言わない娘に痺れを切らしたヘルマン侯爵は、必死に娘に問い掛ける。
しかし、マチルドは黙ったまま微動だにしない。
「ヘルマン。貴族による平民の虐殺にはどのような刑罰が下る?ただの殺人じゃない。虐殺だ。」
「そ、それは………。」
虐殺に下される刑罰………。耳にした事が無い。
おそらくマチルド様に限らず貴族が平民を殺害する事件は山ほどあるだろう。しかしそのほとんどは貴族の持つ力によって表に出ることなく処理される。今回の事だって本来なら明るみに出ることなどなかったはずの事件だ。
一体彼女にどんな罰が下されるのだろう。
「まぁ、公開処刑で斬首あたりが妥当なところだろうね。そしてヘルマン一族は爵位剥奪の上平民として生きる事になる。
そうそう、首を斬るのに邪魔だからその髪は切り落とさなければね。」
ユリシス様はマチルド様の髪を指差して言った。
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