サスカッチ
「安斎が死んだ。誰かに殺されたんだ」
市来賢介は大手電機メーカー勤務の三十二歳。仕事、恋人、すべてにおいて順風満帆だったが、旧友・堂本義則からの一本の電話により、過去の後始末をつけに行かねばならなくなる。
中学時代、強いものに巻かれる形で、賢介は不良グループの一員となった。すべては保身のためである。絶対的リーダー安斎誠、ナンバー2の万代真也の言いなりになり、弱い者いじめを強制される日々。
安斎は、いじめ甲斐のある者をペットとして飼う。彼らペットは様々なゲームをさせられ、安斎たちのオモチャにされるのだが、その中に彼はいた。
彼。サスカッチと呼ばれたその男は、佐橋雪男という。ちょっと学習障害を抱えており、小学校時代は賢介がそのお世話係のようなことを先生から押し付けられていた。
雪男は、賢介に呼ばれるままに安斎グループの溜まり場に来させられ、様々なひどい仕打ちを受け続けた。そしてそれは、賢介が家庭の事情で転校した後も、高校に進学してからも、しつこく続いたらしい…
時は流れて現在。専門学校時代に単身でベンチャー企業を立ち上げた雪男は、今やIT業界において巨大な影響力を持つ人物に成り上がっていた。しかし元モデルの妻と結婚後、自社株の一部を売却し、リタイアをメディアで公表した。その後は時折SNSをアップするだけで、表舞台には顔を出してはいないが…
「あいつが、仕返しに来たんだ」
安斎に続き、万代をはじめとする他のメンバーたちも次々と謎の死を遂げたり、行方が分からなくなっていることを知る賢介。それらの人物の共通点は、佐橋雪男をいじめていたということ。間違いない。あいつの仕返しだ。
「やられる前にやるか」
あるいは、
「雪男に謝りに行こう」
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