誰が悪いって、父！貴様だ！
被害者面した独りよがりな自省話は本当に失笑ものでした。
息子は苛烈ですが、何だかんだとよく出来た貴族男子すぎた！ノン暴力だったのが偉いですけど、息子として足腰立たなくなるくらいは殴っててもOKだったよ！
そうしたら、ブラックカーソンさんの崇拝得てたかもですね笑

この捻れまくった人たちの拗れまくった生き様を、こんなに良い感じにまとめあげる作者さま、すごい！

親の因果を受けまくった子供たちに少しでも幸い多い事いのりながらの終わりになるとは思わなかった。
作者さまの筆力にやられました！

侯爵夫妻のやった事は許される事ではないし、赦されるべきでないと本人達も自覚している。…人として当たり前の人達。時間をかければ多分妥協点を自ら探し出せた普通の人達。

その全てをぶち壊し最悪にしたのは忠義面した家宰(ストーカー)。見てるだけで本当の意味で何一つ助けずに自分の復讐をしただけ。しかも最後には全て捨てて逃げた。
本気で主を諫めることも、諍いの素となる手紙の杜撰な扱いを注意することも、使用人達の愚行を戒めることもせず放置した。そして女主人に毒を盛り続けた。
主家の子供達の歪な環境を正さず歪んでゆくのを嘲笑い、想い人の子供が虐待され、気紛れに助ける自分を自画自賛する厭らしさ。

最後の朴訥で素直な侍女の言動にホッとしました。そうですよね、生きてるんだから、現実を見なきゃいけない。そして貴族は裕福な生活を享受できるその責任を負わなきゃいけない。
その事実を思い出させただけでもお手柄です。
息子、結構この娘掘り出し物だぞ？　変わらない子なら、ずっと側に置くべき。人としての指針となってくれるから。

侯爵家の最大の不幸は、能力だけは高いサイコパス(兼ストーカー)が家宰であった事かもしれない。

侯爵夫人の「謝ったんだからいいでしょ！」が許せないなぁと思います。
もし自分の息子が、想い合う女性以外の女から薬を盛られて夢も未来もズタズタにされたら、許せるのか。自分の娘が、かつて自分がしたように卑怯な手段で恋人や婚約者を奪われたら相手の女を許せるのか。
たとえ侯爵自身が後々夫人を見直して、惹かれて幸せを得たとしても、ひとつの、二人の幸せを壊したことは事実で。あとで幸せになれたからいいなんてことには絶対ならない。報いが自分以外に降りかかることだってある。自分のマイナスの行いが、プラスの行いで帳消しになるなんて、私は思わない。9年尽くしたからなんだというのだろう。侯爵を責める夫人の神経がわからない。いつだってこの人の頭には、相手の気持ちや幸せのことなど微塵もない。
確かに侯爵は弱かったのかもしれないけれど、それでもある意味では強くて優しかったのだと思う。そうでもなければ、憎んでも憎みきれない所業をしでかした女を愛するなんて、絶対に無理だから。