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五話 大、英雄?
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「……貴様、俺の様な端者がそんな事を出来るとでも思うのか? 貴様の言うお偉い様方とは、この『エリアルム』の冒険者……五年前の大災害から都市を守った英雄達、その物だぞ?」
「……へぇ」
(お偉い様が元冒険者……? 私の知り合い達は……ダンジョンから都市に繋がる一本道なんかを造って、ここに住んでいる人達の命を危険に晒すような事をする程……馬鹿じゃないッ! いや、馬鹿だったかな? ……馬鹿だったかも)
「しかし、確認を取れとまで言うのであれば……貴様の言っている事に対して、少しは信憑性が出てくるな。今回はここを通す、俺の上司に確認をとった後……もしそれが嘘だと発覚した場合、お前は指名手配される事となる」
えぇ、そんな事でッ!? ……と、驚愕の表情を浮かべる彼女を無視して、門番は話を続ける。
「何せ、尊敬する英雄達の知り合いだ……などと言う妄言を吐いて己を偽った上に、ダンジョンと都市を繋ぐ道を破壊する程の速度で移動できるような人物が都市に潜んでいるという事になるのだからな。安心しろ……通常であれば、厳重注意で済む。このような事になるのは貴様だけだ」
「……はいはい、そうなんですね~。ありがとうございま~す」
シエルは途中から門番の話を聞き流し、その横を通り抜ける様に歩き始める。
「待てッ! ……先程、貴様に渡された身分証の中身に目を通す事無く突き返した為、俺はまだ貴様の名前を知らない……上司に確認する為にも、それを知る必要がある。……貴様の名は何という?」
「それって、ただの確認不足じゃ……? あっハッハッハ……私、貴方の事嫌いだ~! はぁ……でもまぁ、いいよ。それだけ警戒してるって事は、ちゃんと……ここの人達の安全を考えてくれてるって事だしね」
それを聞いた門番は……呆れたようにため息を吐いた後、一瞬だけシエルを見つめ……不満気な顔をして目を逸らす。
「……確認もせずに突き返したのは申し訳ないと思っている」
「ふふっ……す~ぐ謝っちゃって真面目だね~! やっぱ、嫌いっていうのは嘘! 私、そういう人好きだよ~!」
「ぐっ、早く名を名乗れッ! でなければ、今すぐこの俺が牢屋へ連行する事になるぞ!」
からかわれた事に苛立ちを覚えた門番は照れ隠しなのか、彼女を脅す様に……手に取った手錠をかけようとする。それをひょいと避けて、クルリと背中を向けるシエル。
「シエル」
そう言って振り返った彼女は……再度、自身の身分証を門番へと手渡す。シエルという名を聞いて……門番は身体を硬直させながら、手渡された身分証を受け取った。
「シエル・ヴェストだよ」
「……は?!」
門番は取り乱した様子で、手元の身分証にある名前の欄に視線を向ける。
「貴女が、貴女様が……五年前都市を救ってくださった、大英雄シエル様だったのですか!?」
「……ダサッ! だ、大英雄? そんなキッツい肩書き誰が付けたのッ!?」
「……へぇ」
(お偉い様が元冒険者……? 私の知り合い達は……ダンジョンから都市に繋がる一本道なんかを造って、ここに住んでいる人達の命を危険に晒すような事をする程……馬鹿じゃないッ! いや、馬鹿だったかな? ……馬鹿だったかも)
「しかし、確認を取れとまで言うのであれば……貴様の言っている事に対して、少しは信憑性が出てくるな。今回はここを通す、俺の上司に確認をとった後……もしそれが嘘だと発覚した場合、お前は指名手配される事となる」
えぇ、そんな事でッ!? ……と、驚愕の表情を浮かべる彼女を無視して、門番は話を続ける。
「何せ、尊敬する英雄達の知り合いだ……などと言う妄言を吐いて己を偽った上に、ダンジョンと都市を繋ぐ道を破壊する程の速度で移動できるような人物が都市に潜んでいるという事になるのだからな。安心しろ……通常であれば、厳重注意で済む。このような事になるのは貴様だけだ」
「……はいはい、そうなんですね~。ありがとうございま~す」
シエルは途中から門番の話を聞き流し、その横を通り抜ける様に歩き始める。
「待てッ! ……先程、貴様に渡された身分証の中身に目を通す事無く突き返した為、俺はまだ貴様の名前を知らない……上司に確認する為にも、それを知る必要がある。……貴様の名は何という?」
「それって、ただの確認不足じゃ……? あっハッハッハ……私、貴方の事嫌いだ~! はぁ……でもまぁ、いいよ。それだけ警戒してるって事は、ちゃんと……ここの人達の安全を考えてくれてるって事だしね」
それを聞いた門番は……呆れたようにため息を吐いた後、一瞬だけシエルを見つめ……不満気な顔をして目を逸らす。
「……確認もせずに突き返したのは申し訳ないと思っている」
「ふふっ……す~ぐ謝っちゃって真面目だね~! やっぱ、嫌いっていうのは嘘! 私、そういう人好きだよ~!」
「ぐっ、早く名を名乗れッ! でなければ、今すぐこの俺が牢屋へ連行する事になるぞ!」
からかわれた事に苛立ちを覚えた門番は照れ隠しなのか、彼女を脅す様に……手に取った手錠をかけようとする。それをひょいと避けて、クルリと背中を向けるシエル。
「シエル」
そう言って振り返った彼女は……再度、自身の身分証を門番へと手渡す。シエルという名を聞いて……門番は身体を硬直させながら、手渡された身分証を受け取った。
「シエル・ヴェストだよ」
「……は?!」
門番は取り乱した様子で、手元の身分証にある名前の欄に視線を向ける。
「貴女が、貴女様が……五年前都市を救ってくださった、大英雄シエル様だったのですか!?」
「……ダサッ! だ、大英雄? そんなキッツい肩書き誰が付けたのッ!?」
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