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第12話:見えそうで、見えなくて

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ぶくぶくぶくぶく





僕は清掃の行き届いた広めの湯船に鼻までつかり、ぶくぶくと息を吐く。魔法で片づけをするからお風呂に入っててというカエラさんのご好意に甘え、僕は先にお風呂をいただいている最中だ。


ゆっくりと湯船につかりリラックスした僕は、一日の出来事(寝過ごして二日たっているが)を整理してみる。



(わかっているのはここが異世界で、もといた世界じゃないってこと。そしてもといた世界での僕の記憶はまったくなくて、リセットされて新しい人生をこの異世界でスタートさせている)





そして僕は恨めしい気持ちで手首に記された刺青のようなマークをにらむ。



(特殊スキル…。エッチによる経験値取得なんてまるで中学男子の妄想設定だ。しかも僕の成長で開花していくのはこの特殊スキルに関するものばかり。これからずっとこんな調子なのかな・・・)




最初はスライム。次は人食い妖精。種族は人ではないが、性別というものがあったのだろうか。もしオスの魔物がいた場合は、いったい僕はどう戦えば…




(できることなら早く特殊スキルを使わない戦い方を身につけたいんだけど、何で特殊スキルばっかり取得するのかなぁ)




スキルで戦えなきゃ、武器でも装備しようかな。そういえばこの世界には街とかあるのかな。あ、この世界についてカエラさんに話を聞くのを忘れていた。





そんなこんなでいろいろな情報を頭の中でめぐらせている時だった。脱衣所の扉を開ける音が耳に飛び込んでくる。




「ユウ君、お湯加減は大丈夫かしら?」




カエラさんの声だ。びっくりした僕はとっさに返事をする。



「あっ!は、はい!大丈夫です、ありがとうございます」




(ま、まさか入ってきたりなんて・・・)




なんて考え終わる前にもう行動は終わっていた。がらりと戸を開けカエラさんが入ってくるではないか!思わず僕は目を伏せる。




視界の向こうでふふっと笑うカエラさんの声。





「あら、大丈夫よ。タオルを巻いているもの。背中を流してあげるから、こっちにいらっしゃいな」



恐る恐る目を上げると、確かにそこにはバスタオルを体に巻いたカエラさんの姿があった。


最初に会ったときに着ていた服もそこそこ露出のあるものだったので、今の格好と比べても露出は変わらないかもしれないが、バスタオルで巻いた裸体はまた別のエロさというものがある。



きつく巻いたバスタオルは豊満な胸をきゅっと押し上げ、体のラインを見事に強調している。湯煙にしっとりしたふとももの根元からは見えてはいけない秘部が見えてしまいそうだ。


だがこういうものは大体見に行こうとしない限り見えない。それがまたいいのだが。







などというしょうもないことを考えながら、このままずっと湯船に沈んでいるのも変に思われるので、僕は半立ちになった男根をばれないように押さえつけながらイスに座ったのだった。
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