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4.博物館見学
⑥
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行かないでエルランド様。もう逃げて。私のことなんて放っておいていいから。貴方が死んでしまうわ。
自力で脱出しようともがくが、蔓はすでに私の体にしっかり巻き付いていて離れない。ああ、私が捕まったせいでエルランド様が……。
「大人しく眠ってろ!!!」
エルランド様は植物の口のすぐそばまで行くと、片手をその口に突っ込んで魔法を放った。途端、植物は苦しそうにギィッと鳴くと、蔓の動きが止まって地面に落ちる。私に巻き付いていた蔓も力をなくし、体を動かしたら簡単に外れた。
「エルランド様!!」
「フェリシア!!」
私は一目散にエルランド様の方まで駆けていく。けがはありませんか、私のせいでごめんなさいと謝ろうと手を伸ばすと、ぎゅっと強く抱きしめられた。
「フェリシア、ごめん。怖かっただろう。すぐに追いかければよかった」
「どうしてエルランド様が謝りますの……?勝手な行動をしてエルランド様を危険な目に遭わせたのは私の方なのに……」
エルランド様の腕に力が入る。
「いいや。僕の意気地がないからだ。追いかけて拒絶されたらと思うと怖かった」
「エルランド様……」
「婚約破棄を聞き入れてしまったのもそうだ。しつこくして君に呆れられるのが嫌だった。
でも、やっぱり駄目だ。諦められない。僕は例え君に嫌われようと、どんな手を使ってでも結婚に持ち込んでやる。君が新たな婚約者を見つけようとしたって、絶対に阻止してやる」
エルランド様は今まで聞いたことがないくらい強い声で言った。私を抱きしめる腕は力を込め過ぎて痛いくらいだ。
私は嬉しいのと、自分が情けないのとで感情がいっぱいになった。
「フェリシア、君は嫌かもしれないが絶対に逃がさないからな。今まで散々僕に好きだと言って、縋りついてきた君が悪いんだ」
「嫌なわけないじゃないですかぁ!!」
私が叫ぶようにそう言うと、エルランド様は腕を緩めて驚いた表情で私の顔を見た。
ぽかんとしているエルランド様に向かって私は叫ぶ。
「私がエルランド様を嫌うわけないじゃないですか。私は初めて会った日からずっと貴方のことが好きなんですもの!
皆に意地悪そうな子だとか、もっと優しい顔立ちだったらとか言われてきた私に、貴方は笑顔が可愛いねと微笑みかけてくれました。あの日からずっと私は貴方が大好きでした。今だってそうです。ずっと変わりません!」
「フェリシア……!」
「大体前世の私だってエルランド様以外の攻略キャラに興味が持てなくてずっとエルランド様ルートをやってたくらいなんですよ!?二つの人生に渡ってエルランド様に恋してる私が、貴方を嫌うわけないじゃないですかぁ!!」
「フェリシア??」
胸を打たれた顔でこちらを見ていたエルランド様の顔が、何を言っているんだという表情に変わる。
不思議そうな様子のエルランド様に構わず、私は続けた。
「エルランド様、ずっと私に婚約破棄なんてしないと言っていてくれたのに、信じられなくてごめんなさい。夢を信じるあまり、現実のエルランド様が見えなくなっていたんです……」
「いいよ。フェリシア。ちゃんとわかってくれたんだろ?」
「はい!私はもう身を引いたりしません!エルランド様と結婚するのは私ですから!」
そう言って今度は私の方からエルランド様に抱き着いた。エルランド様はちょっと驚いていたみたいだったけれど、嬉しそうに笑って私の頭を撫でてくれた。
自力で脱出しようともがくが、蔓はすでに私の体にしっかり巻き付いていて離れない。ああ、私が捕まったせいでエルランド様が……。
「大人しく眠ってろ!!!」
エルランド様は植物の口のすぐそばまで行くと、片手をその口に突っ込んで魔法を放った。途端、植物は苦しそうにギィッと鳴くと、蔓の動きが止まって地面に落ちる。私に巻き付いていた蔓も力をなくし、体を動かしたら簡単に外れた。
「エルランド様!!」
「フェリシア!!」
私は一目散にエルランド様の方まで駆けていく。けがはありませんか、私のせいでごめんなさいと謝ろうと手を伸ばすと、ぎゅっと強く抱きしめられた。
「フェリシア、ごめん。怖かっただろう。すぐに追いかければよかった」
「どうしてエルランド様が謝りますの……?勝手な行動をしてエルランド様を危険な目に遭わせたのは私の方なのに……」
エルランド様の腕に力が入る。
「いいや。僕の意気地がないからだ。追いかけて拒絶されたらと思うと怖かった」
「エルランド様……」
「婚約破棄を聞き入れてしまったのもそうだ。しつこくして君に呆れられるのが嫌だった。
でも、やっぱり駄目だ。諦められない。僕は例え君に嫌われようと、どんな手を使ってでも結婚に持ち込んでやる。君が新たな婚約者を見つけようとしたって、絶対に阻止してやる」
エルランド様は今まで聞いたことがないくらい強い声で言った。私を抱きしめる腕は力を込め過ぎて痛いくらいだ。
私は嬉しいのと、自分が情けないのとで感情がいっぱいになった。
「フェリシア、君は嫌かもしれないが絶対に逃がさないからな。今まで散々僕に好きだと言って、縋りついてきた君が悪いんだ」
「嫌なわけないじゃないですかぁ!!」
私が叫ぶようにそう言うと、エルランド様は腕を緩めて驚いた表情で私の顔を見た。
ぽかんとしているエルランド様に向かって私は叫ぶ。
「私がエルランド様を嫌うわけないじゃないですか。私は初めて会った日からずっと貴方のことが好きなんですもの!
皆に意地悪そうな子だとか、もっと優しい顔立ちだったらとか言われてきた私に、貴方は笑顔が可愛いねと微笑みかけてくれました。あの日からずっと私は貴方が大好きでした。今だってそうです。ずっと変わりません!」
「フェリシア……!」
「大体前世の私だってエルランド様以外の攻略キャラに興味が持てなくてずっとエルランド様ルートをやってたくらいなんですよ!?二つの人生に渡ってエルランド様に恋してる私が、貴方を嫌うわけないじゃないですかぁ!!」
「フェリシア??」
胸を打たれた顔でこちらを見ていたエルランド様の顔が、何を言っているんだという表情に変わる。
不思議そうな様子のエルランド様に構わず、私は続けた。
「エルランド様、ずっと私に婚約破棄なんてしないと言っていてくれたのに、信じられなくてごめんなさい。夢を信じるあまり、現実のエルランド様が見えなくなっていたんです……」
「いいよ。フェリシア。ちゃんとわかってくれたんだろ?」
「はい!私はもう身を引いたりしません!エルランド様と結婚するのは私ですから!」
そう言って今度は私の方からエルランド様に抱き着いた。エルランド様はちょっと驚いていたみたいだったけれど、嬉しそうに笑って私の頭を撫でてくれた。
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