49 / 158
魔除け
しおりを挟む
「それより、ユーリ。どうしてここがわかったの?」
質問には、質問でお返しよ!
「ああ、そんなこと。それは、魔除けをつけてたからだよ。ほら、アデルの頭に。忘れた?」
魔除けをつけた? 頭、頭、頭?
…あああああ!! 思い出したっ!!
市場で、ユーリが私と離れる時、頭のてっぺんに、キキキキ…、したわね!
思い出したら、顔が一気にほてってきた。
思わず、頭を手で隠して、ユーリから後ずさる。
「でも、その魔除けで、なんでわかるの? まさか、私の居場所をユーリに知らせる機能があるの?」
「そうだね。なんでもわかるよ。アデルに起きたこと」
なんですって!
なんて、おそろしいの! 魔王の魔除け!
「たとえば、何を知ってるの?!」
おそるおそる、聞いてみる。
「卵がわれるようになったこと」
えええ! すごい、あたってる!
「ほ、他には…?」
「そうだね。助手だなんていって、浮かれてたこと? 他の男のそばでね。ほんと、ひどいよね。これって、浮気じゃない? ねえ、アデル」
なんだか、語尾にいくほど、こわいんですが…。
ええと、私、浮かれてたかしら?
いや、でも…、確かに、楽しかったかも。
ってことは、あたってるじゃない!
こんな、おそろしい魔除け、さっさととってもらわなきゃ!
「ちょっと、ユーリ! こんなおそろしい魔除け、早くとってよ!」
「んー、どうしようかな? アデル次第かな?」
「どうでもいいから、とって!」
「じゃあ、ひとつお願い聞いてくれる?」
ユーリの目が、やけに光ってる。魔王感がすごいよ。
「…お願いってなに?」
「簡単なことだよ。ほら、ぼく、アデルに追い返されて、傷ついたんだよね」
と、かけらも傷ついてない顔で言った。
「そうかしら?」
「だから、この後、二人でお茶してよ」
お茶…。まあ、それくらいなら、大丈夫。命はとられないだろうし。
「わかったわ! じゃあ、早くとって」
ユーリは微笑むと、近寄ってきて、両手で頭を押さえた。
魔除けをつけた時と同じね。
でも、両手でおさえて、どうやってとるの?
と、思ったら、ユーリの顔が私の顔に近づいてくる。
「ちょっと待って! えっと、頭のてっぺんにつけたよね? なんで、顔に近づいてくるの?」
ユーリは、怪しげな顔で微笑んだ。
「つける時は、頭のてっぺんだけど、とる時は、違う場所に同じことをするんだよ」
はあ?! そんな魔除けってある?!
「はい、そこまで」
声とともに、私の顔とユーリの顔の間に手がおりてきた。
デュラン王子の手だ。
「次期公爵。いたいけな少女をだまして、なにやってるの?」
デュラン王子が、ユーリを冷たい目で見る。
私、やっぱりだまされてたのね?
「部外者は邪魔しないでくれる? 婚約者同志のたわむれだから」
ユーリが嫌そうに言った。
急にあたりが寒くなってきた。ほら、マルクがふるえてる。
と、そこへ、ロイドと師匠が入ってきた。
「ドーラさん、だいぶん良くなってきました。…次期公爵は、なぜここに?」
ロイドの冷たい声が響く。
うん、ややこしくなってきた。同じ質問のループだわ。
「そろそろ、アデルを返してもらおうと思って」
「アデル様を、あなたに返す理由がありません。王宮には私が送りますから。どうぞ、お帰りください」
お願いだから、あおらないで、ロイド!
ユーリ、そんな凶悪な目でにらまない!
そして、デュラン王子と師匠、観察してないで、とめて!
なんだか、ゴーゴーと北風が舞う音が聞こえるわ。
どんどん温度がさがっていくみたい。まるで、極寒の地ね。
マルクは、もう凍りついている。
あ、ダニエルまで、かたまりはじめた。
魔王二人に免疫がないから大変。早く助けなきゃ!
質問には、質問でお返しよ!
「ああ、そんなこと。それは、魔除けをつけてたからだよ。ほら、アデルの頭に。忘れた?」
魔除けをつけた? 頭、頭、頭?
…あああああ!! 思い出したっ!!
市場で、ユーリが私と離れる時、頭のてっぺんに、キキキキ…、したわね!
思い出したら、顔が一気にほてってきた。
思わず、頭を手で隠して、ユーリから後ずさる。
「でも、その魔除けで、なんでわかるの? まさか、私の居場所をユーリに知らせる機能があるの?」
「そうだね。なんでもわかるよ。アデルに起きたこと」
なんですって!
なんて、おそろしいの! 魔王の魔除け!
「たとえば、何を知ってるの?!」
おそるおそる、聞いてみる。
「卵がわれるようになったこと」
えええ! すごい、あたってる!
「ほ、他には…?」
「そうだね。助手だなんていって、浮かれてたこと? 他の男のそばでね。ほんと、ひどいよね。これって、浮気じゃない? ねえ、アデル」
なんだか、語尾にいくほど、こわいんですが…。
ええと、私、浮かれてたかしら?
いや、でも…、確かに、楽しかったかも。
ってことは、あたってるじゃない!
こんな、おそろしい魔除け、さっさととってもらわなきゃ!
「ちょっと、ユーリ! こんなおそろしい魔除け、早くとってよ!」
「んー、どうしようかな? アデル次第かな?」
「どうでもいいから、とって!」
「じゃあ、ひとつお願い聞いてくれる?」
ユーリの目が、やけに光ってる。魔王感がすごいよ。
「…お願いってなに?」
「簡単なことだよ。ほら、ぼく、アデルに追い返されて、傷ついたんだよね」
と、かけらも傷ついてない顔で言った。
「そうかしら?」
「だから、この後、二人でお茶してよ」
お茶…。まあ、それくらいなら、大丈夫。命はとられないだろうし。
「わかったわ! じゃあ、早くとって」
ユーリは微笑むと、近寄ってきて、両手で頭を押さえた。
魔除けをつけた時と同じね。
でも、両手でおさえて、どうやってとるの?
と、思ったら、ユーリの顔が私の顔に近づいてくる。
「ちょっと待って! えっと、頭のてっぺんにつけたよね? なんで、顔に近づいてくるの?」
ユーリは、怪しげな顔で微笑んだ。
「つける時は、頭のてっぺんだけど、とる時は、違う場所に同じことをするんだよ」
はあ?! そんな魔除けってある?!
「はい、そこまで」
声とともに、私の顔とユーリの顔の間に手がおりてきた。
デュラン王子の手だ。
「次期公爵。いたいけな少女をだまして、なにやってるの?」
デュラン王子が、ユーリを冷たい目で見る。
私、やっぱりだまされてたのね?
「部外者は邪魔しないでくれる? 婚約者同志のたわむれだから」
ユーリが嫌そうに言った。
急にあたりが寒くなってきた。ほら、マルクがふるえてる。
と、そこへ、ロイドと師匠が入ってきた。
「ドーラさん、だいぶん良くなってきました。…次期公爵は、なぜここに?」
ロイドの冷たい声が響く。
うん、ややこしくなってきた。同じ質問のループだわ。
「そろそろ、アデルを返してもらおうと思って」
「アデル様を、あなたに返す理由がありません。王宮には私が送りますから。どうぞ、お帰りください」
お願いだから、あおらないで、ロイド!
ユーリ、そんな凶悪な目でにらまない!
そして、デュラン王子と師匠、観察してないで、とめて!
なんだか、ゴーゴーと北風が舞う音が聞こえるわ。
どんどん温度がさがっていくみたい。まるで、極寒の地ね。
マルクは、もう凍りついている。
あ、ダニエルまで、かたまりはじめた。
魔王二人に免疫がないから大変。早く助けなきゃ!
26
あなたにおすすめの小説
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど
monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。
でも、なんだか周りの人間がおかしい。
どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。
これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる