(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

文字の大きさ
31 / 108
第一章

王妃様

しおりを挟む
この国の王妃様は、アイシャのお母さまのお姉さまにあたる。

ほっそりとして、背が高く、凛としたお美しさ。そして、お若い…。
おいくつかはわからないけれど、やはり、王妃様になると、年をとらないのかもね。

なーんてのんきに考えてる場合じゃない! 粗相のないようにしなきゃ!

「リリアンヌさん、急に呼んでごめんなさいね」
と、にっこり微笑む王妃様。

「いえ、とんでもございませんっ。こちらこそ、図書室の見学をお許しいただいて、ありがとうございます!」
緊張のあまり、思わず、声が大きくなってしまった…。

立派なお部屋に、私のあせった声が無情にも響く。
場違いな感じがいたたまれない…。
やはり、もともとない令嬢らしさ、とっさには、でてこないわ…。

「リリーと会うなんて聞いてなかったから、びっくりしたんですけど。リリーに関することは、前もって私に言ってくださいね、叔母様」
と、若干、不満そうなアイシャ。

ちょっと、アイシャ! 王妃様に、なんてこと言うの?! 
しかも、私に関することって、王妃様が何かおっしゃることは、今後ないのでは?!
文が、おかしいよ?

すると、王妃様は、
「だって、前もって言ったら、アイシャは連れてこないでしょ? アイシャとラルフが隠すもんだから、余計に見たいじゃない? エルザに頼んでも、勝手なことしたら、ラルフに怒られるからって、のらりくらり、はぐらかされるし。みんな仲良くしてるのに、私には紹介してくれないなんて、ずるいじゃない」
と、ちょっとすねたような口ぶりで、アイシャに言う。

おおっ、一気にかわいらしい雰囲気にかわった。

あれ? この感じ、誰かに似てる。

「…あ、エルザおばさま!」
と、つい口からポロリとでてしまった。

「ん? どうしたの、リリー?」
と、アイシャが聞いてきた。

「エルザおばさまに感じが似てらっしゃるなって…」

王妃様は、
「エルザとは、従妹なの。アイシャの母とは姉妹だけど、エルザのほうが、もっと似てるのよ」
そう言って、フフッと笑った。

それって、もしや、貴族ならだれでも知ってる事実なのかな?

貴族社会にうとすぎて、重要人物の関係性すら全くわかってなかったわ…。
物語の登場人物の相関図は、すぐに覚えられるのにね。

勉強不足ですみません…。と、さすがに反省。

すると、私の表情を見たミスリルさんが、
「なんだか、アイシャ様やラルフ様が、隠されるお気持ちわかりますね」
と、微笑んだ。

「ほんとね。ドロドロしてる貴族社会では、心配だわね」
と、王妃様がうなずいた。

「でしょ」
と、アイシャ。

やはり、貴族社会は怖いとこなんだね…。近寄りません。溺愛観察の時以外はね…。

王妃様は、
「今日はね、リリアンヌさんに見てもらいたいものがあって」
そう言うと、そばにいたミスリルさんに目で合図を送った。

すると、ミスリルさんが、近くのテーブルにかけられてあった、クロスをさっととりのぞく。

えっ、本? 本が山になってる? なんで?

「どうぞ、こちらへ」
ミスリルさんが、笑みをたたえて、私を呼んでくれた。

私は、吸い寄せられるように、駆けよっていく。

なんと、そこには見おぼえのありすぎる本ばかりが、山と積まれていた!

「私の集めてきた本と同じラインナップだ!」
我を忘れ、ここがどこかも忘れ、だれの前かもすっかり忘れて、叫んでしまった。

王妃様が笑いながら言った。
「実はね、エルザが、リリアンヌさんに借りた本のことを熱く語るから、興味をひかれて読んでみたの。そしたら、すっかりはまってしまって。エルザから、リリアンヌさんに借りた本のタイトルを教えてもらって、それを買って読んでたら、こんな感じになってしまったのよ。フフフ」

「私も、読ませていただいてますよ」
と、ミスリルさん。

おおお、ここに本仲間が増えていた! 自分の好きな本を読んでくれる人が増えるのは、嬉しくてしょうがない。

思わず、
「ありがとうございます!」
と、満面の笑みでお二人に言う。

すると、王妃様が笑いながら、言った。
「お礼を言うのは、こちらのほうよ。ありがとう」

「毎回、どきどきしながら読んでますよ。新しい楽しみに出会わせていただいて、ありがとうございます。これからも、教えてくださいね」
と、ミスリルさん。

お二人にお礼を言われ、なんか、恐縮してしまう…。

王妃様が、
「私はね、悪役令嬢が、スカッと復讐する話が好きなの。たとえばね、公務で嫌な人に会うとするでしょ。そんな時、その復讐のお話を思いうかべるのよ。しかも、私なら、もっとこうするのにと、どんどんアイデアが浮かぶの。楽しいでしょ。フフフッ」
と、それはそれは、きれいな笑みをうかべた。

…うん、さすが、アイシャの叔母様。そっくりなんだけど…。



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

処理中です...