(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

文字の大きさ
33 / 108
第一章

目撃

しおりを挟む
「あら、ロイとリリーさんはお知り合い?」

と、王妃様。

「いえ、赤の他人よ」
と、即答したのは、アイシャ。

「もう、アイシャ、ひどいなあ。王妃様、リリーちゃんとは、この前のパーティーで仲良くなったんですよ。あっ、それ、ぼくが手に入れた本ですよね」
と、ロイさんが、マクシミリアン先生の絶版本を見て言った。

「そうよ。リリーさんに贈呈したの。その絶版本、探しても見つからなくてね。結局、手に入れてくれたのは、ロイなの」
と王妃様。

「え?! どうやって?! これって、全然でまわってないですよね? ロイさん、本に詳しいんですか?」

すると、ロイさんは、
「まったく詳しくないよ。でも、やっぱり、人徳かな? 運よく、譲ってくれる人がでてきてねー」
と、にやりと微笑んだ。
 
「おおかた、お金にものを言わせたか、腹黒い取引をしたんでしょ? ま、人徳ではないことは間違いないわね」
アイシャが冷たい視線で、ロイさんを見た。

「もう、ぼくをなんだと思ってるの?! アイシャは!」
ふくれる、ロイさん。

アイシャの中で、ロイさんの位置づけが低すぎるんですが…。

「どうにも手に入らない時は、ロイに頼むとなんとかなるって、王太子に聞いたの。なので、頼んでみたら、すぐに手にいれてきて、本当に驚いたわ。リリーさんも、手に入らない本があれば、頼むといいわ」
と、王妃様。

え、ほんと?! 
思わず、目が輝いてしまう。

「目を輝かせても、ダメよ、リリー。プライベートでロイに頼んだりなんかしたら、代償がこわすぎるわよ」 

「さっきから、アイシャは、ひどいよね。リリーちゃんなら、何もいらないよ?」

ふと、前世の言葉がうかんだ。
ただより高いものはない…。うん、やめとこ。

「リリーちゃんは、この後どうするの?」

「王宮の図書室を見せていただくんです」
と、私が答えると、

「えっ、ほんと? ぼくも、これから図書室に行くんだよ。王太子に頼まれた資料を取りにね」

「あら、じゃあ、ちょうど良かったわ。ロイ、案内してあげて。私はこれから、アイシャに留学の報告を聞かなきゃいけないから」
王妃様が言うと、

「えっ? ロイが案内? リリーと二人にさせたくないわ」
と、アイシャが不満げに言った。

「大丈夫よ。念のために、護衛も一人つけるから」
と、王妃様。

ええ? 重要人物でもないのに、護衛だなんて!

「じゃあ、ロイは、リリーから離れて歩いてね」
と、アイシャ。またもや、過保護が発動している。

ほら、王妃様もミスリルさんも、クスクス笑ってるよ。

「わかった、わかった。アイシャ姫の仰せの通りにいたしましょう」
調子よく答える、ロイさん。

が、アイシャは不正を見ぬくような鋭い目で、ロイさんを見て、
「ほんと、信用ならないわね」
と、つぶやいた。

私は、王妃様にお礼を言い退出する。いただいた絶版本は、なんと私の家まで届けてくださるそうだ。
至れり尽くせりで、ほんと、申し訳ない気持ちになる。

廊下にでたとたん、早速、ロイさんが近づいてきた。
そして、
「ねえ、リリーちゃん。やっと二人きりになれたね」
と、ささやいた。思わず、一歩離れる。

すると、
「二人きりじゃなく、わたしもいますよ、ロイさん。ミラベル侯爵令嬢、この人には、気をつけてください」
と、前を歩く、王妃様の護衛騎士さんが、ふりむいて言った。
しかも、真顔…。

「ルドルフ、ひどいよ! リリーちゃん、ぼくって、信用できる人だからね」

自分で、そういう人を初めて見た…。

こういう軽い感じの人が、ヒロインの純粋さに触れ、初めて人を本気で愛するようになる。
でも、ヒロインには、愛するヒーローがいる。
この失恋で、闇落ちするか、はたまた、成長するか。

ロイさんを見てると、見事な当て馬キャラが、頭に浮かんでくる。
でも、ヒロイン、ヒーローの愛を深めるために、当て馬は重要だもんね。

などと、妄想していると、あれ?

廊下の窓から見えた中庭に、見慣れた男性がいる。
あれは、ラルフ? 意外すぎる光景に目がテンになった。

なぜなら、中庭で、ラルフが見知らぬ令嬢といたから。
遠目から見ても、きれいな女性。
ラルフと並んで歩いている姿は、一枚の絵のようだ。

足をとめた私を見て、ロイさんが私の目線を追った。
「…ああ、あれね。気になるよね。ラルフから、何も聞いてないんでしょ?」

私は、驚いたまま、うなずいた。

「見られたんなら、仕方ない。一応、説明しとくね」
ロイさんは、そう言って、話しはじめた。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

処理中です...