(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

噂をすれば

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「なんか、二人がリリアンヌ嬢を隠せば隠すほど、気になるな? 敵意まるだしの二人に、立ち向かいたくなるよ」
と、にこやかに言う、王太子様。

いやいや、この二人を前にしたら、戦意喪失するよね?
というか、王太子様、一体、何を言ってるの…。

どうやら、二人を怒らせて、おもしろがってるだけみたいだけど…。

おだやかなお顔に騙されそうだけど、見た目どおりではない腹黒さが垣間見えるよね。

と、考えをめぐらせていたら、王太子様が、一歩、私に近づいて、
「二人を怒らせるのはおもしろいけど、それだけじゃないからね」
と、小声で言った。

げっ?! こわっ?! 私の考えが読まれてる?!

ぎょっとして見ると、王太子様が、楽しそうに微笑んだ。

「コンラート。リリーにそれ以上近寄るなら、本気でつぶすけど」
と、ラルフの低い声が聞こえた。

ウルフ化しているからか、まるで、うなり声のようだわ…。

とりあえず、王太子様、これ以上、ラルフを刺激するのはやめてね?
という、願いもむなしく、

「ほんと、ラルフも余裕がないよね?」
フフッと微笑む、王太子様。

こんなラルフを前にして笑える、メンタルがすごい…。

「そうだ、リリアンヌ嬢。今度、私にもおすすめの本を教えてくれないかな。読書が好きなんだ。
リリアンヌ嬢の本仲間に、私も入れてくれたら嬉しいな」
と、王太子様。

「えっ?! いや、それは、いくらなんでも…」
と、私が、言いかけたところで、

「はあ?! コンラート、恋愛小説なんて、絶対、読まないでしょ? 
好きでもないのに、リリーに近づくためだけに、本を利用しようとするなんて、本への冒涜だわ! 
こういうニセの本好きに気をつけないとダメだからね。わかった、リリー。
あ、そういえば、まるで同じことをしている人が、そこにもいたわね。
ねえ、ラルフ」
と、アイシャが、冷え冷えとした目で、ラルフをにらむ。

ラルフは、
「コンラートと一緒にするな。リリーがすすめる本なら、俺は、なんでも読む」
と言いきった。

また、ラルフはそんなことを言ってる! だから、それは違うんだって。
これは、だまっていられない!

「だから、ラルフ! 私がすすめるからって、好きでもない本を読まなくていいんだよ? 課題じゃないんだから。
なにか、私の本仲間に入ることが、すごーく得みたいに誤解してるけど、ただ、私の好きな本を貸すだけだから!」
と、ここまで一気にしゃべって、王太子様の前であることを思い出して、はっとした。

うん、令嬢らしさを、すっかり、忘れてたわ。

「ええと…、すみません」
と、一応、謝ってみる。

王太子様が、
「おもしろいね、リリアンヌ嬢。がぜん、本気で、私も、その本仲間に入れてもらいたくなったよ。
それと、私も、リリーちゃんって呼んでいい?」
と、微笑みかけてきた。

「別にいいですけど…」
と、私が言ったのと同時に、

「ダメだ」
「ダメよ」
と、二人の声が。しっかりと、かぶってる。

「二人は、反対みたいだけど、本人の許可を得たので、これからはリリーちゃんと呼ばせてもらうね」
と、王太子様は嬉しそうに微笑んだ。

そして、不機嫌きわまりないラルフに向かって、
「そうそう、ラルフ。あの王女。さっきのぼくのエスコート、ラルフじゃないから不満いっぱいでさ。ぼくのことを見ないんだよ。ほんと、失礼だよね。女性には優しいぼくだけど、さすがに、ちょっと、いらっときたよ。
王女は、ラルフと踊りたがってたけど、無理強いはできないことをしっかり伝えてるから。断れば、無理は言わないと思う。
まあ、普通は、こんな念押しされてまで、踊ってほしいとは言わないと思うんだけど。あの王女、あきらめが悪そうだからね…。
噂をすれば、ほら、こっちへ歩いてきてるよ。隣にいるのが、王女の兄の第二王子だ。面倒な人なんだよな…」
そう言って、王太子様は、ため息をついた。


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