(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

怖いよね?

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さあっと人が割れて、その間を、グラン国の王様子と王女様が、私たちのほうへと歩いてくる。

色々聞いてしまったら、…うーん、なんか、ドキドキするよね。嫌な方向に…。

まだ結構な距離があるのに、王女は、
「ラルフ!」
と叫んで、ラルフにむかって手をふった。

ええ?! ちょっと、どうしよう? 私、ラルフから離れたほうがいいよね?
と思ったら、ラルフに手をがっしりとにぎられた。

まずい…!

どう考えても、この状態で王女様に会うのは怖いよね?! 怖すぎるよね?!
絶対、敵認定されるもん。

ということで、全力でラルフの手をふりほどこうとした。

が、何故か、ラルフは更にギューッとにぎってきて、
「だれが離すか」
と言って、私に向かって、不敵な笑みを浮かべる。

「いやいや、怖いでしょ? どう考えても、怖いよね?! 離れたい!」
と、私が言うと、アイシャも、

「こら、ラルフ! 離しなさい! リリーを巻き込まないで!」
と、加勢してくれた。

ラルフは、私をじっと見て、
「おおいに巻き込む。それで、あの王女に、俺の気持ちを嫌と言うほど分からせる。
リリーは、絶対に俺が守るから。だから、傍にいてくれ」
そう言った。

ロイさんが、
「きゃー、ラルフくん、私がそばにいる!」
と、ふざけたことを言っているが、ラルフは、見向きもしない。
私から目をそらさない。

いつも冷たいくらい冴え冴えとした、クールな印象のエメラルド色の瞳が、今日は熱を帯びているようで、ドキリとする。

はあー、ほんと、私はラルフのこのエメラルド色の瞳に弱いのよね…。

それにしても、私にこれほど頼むくらい、よほど、王女様が嫌なんだね?

「わかった。そばにいるから、手を離して。この状態は、いくらなんでも、恥ずかしいから」
私が言うと、しぶしぶ、手を離してくれた。

が、何故か、更に私との間を詰めてきた。

「こら、近いよ!」
と、私があわてて言ったら、

「手をつなぐか、この距離か、二つに一つだ。どっちか選べ」
と、命令口調のラルフ。

「は?! なに、その二択? …じゃあ、私、アイシャと手をつなぐ!」
と、答えると、ププッと王太子様が笑った。

「ラルフは必死だし、リリーちゃんもおもしろいねえ。じゃあ、リリーちゃん、ぼくと手をつなぐ?」
と、王太子様が微笑みかけてきた。

「はあ? 何、言ってんだ?!」
と、ラルフがすごんだところに、グラン国の王子様と王女様がやって来た。

王子様は初めて見るけれど、王女様と同じように、燃えるように赤い髪の毛だ。
まっすぐな髪の毛を肩のあたりで、切りそろえている。
そして、瞳も、これまた同じような色で、緑色だ。背も高く、目をひくお二人だ。

「楽しそうですね」
まず声をかけてきたのは、グラン国の王子様だ。

あれ、この国の言葉を話せるの?

と、思ったら、王太子様が、
「ルジェ王子はね、この国の言葉が話せるんだよ」
と、説明してくれた。

すると、王子様は、
「簡単なことだけです。急いで、勉強したのですが、難しいです」
と、少しゆっくりだけれど、きちんと話した。

そして、王子様は、ラルフをまっすぐ見ると、
「私の妹が、そちらのラルフ君をとても気に入っておりましてね。一曲、おどってやってください」
と、人当たりの良い笑みを浮かべる。

穏やかな表情とは裏腹に、何か、有無を言わせないものを感じて、ゾワリとした。





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