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第一章
伝わらない
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ラルフが、まっすぐに王子を見て、
「申し訳ないが、踊ることはできません」
と、わかりやすい言葉だけで、簡潔に答えた。
ストレートすぎるくらいの答えだけど、目が笑ってない王子様に向かって、ラルフすごいね…。
ちょっと、私、怖いんだけど…。
そこで、王太子様が、にこやかに口をはさむ。
「ラルフは、ダンスは、あまり上手くありません。自分で言うのもあれですが、私のほうがうまいですよ? ルーシェ王女様、一曲いかがですか?」
と、王女様のほうをむいて誘った。
王太子様の言葉を、王子様が王女様に通訳しているようで、グラン国の言葉で話している。
一気に王女様の顔がくもった。そして、何か言った。
グラン国の王子様が、今度は私を見た。
えっ?! なになに? 怖いんだけど?
「そちらの御令嬢は、ラルフ君の幼馴染と聞いていましたが、まさか、その人のせいで踊れないのでしょうか?」
と、王子様。
となりの王女様が、明らかに私をにらんでいる…。
アイシャが、私のそばに寄った。
見ると、私にむかってにっこり微笑み、そのまま王女様のほうに焦点をあわせた。
笑顔で圧をかけている…。そして、私をにらんでいた王女様がついに視線をそらした。
アイシャ、ありがとうー!
という、女三人の攻防の横で、ラルフと王子、そして王太子様の攻防も続いている。
「リリーは関係ない。俺が踊りたくないだけです」
と、ラルフがはっきりと言う。
王子様の眉間にしわがより、はりつけていた笑みが消え去った。
そして、王女様に訳すことはせず、
「たかが、ダンスで、せっかく上手くまとまった両国の交渉にひびを入れるおつもりか?」
と、ラルフのほうを向いて言った。
ええ?! そんな大事になるの?!
と、思ったら、王太子様が、
「たかが、ダンスで、ダメになるような交渉なら、なくて結構ですよ? もともと、こちらがお願いした交渉ではありませんしね」
そう言って、不敵な笑みをうかべた。
王太子様が、腹黒全開になっている。
が、こっちのほうが断然、王太子様に似合っているわ! 穏やかなのは、外面だったんだね…。
「それに、ラルフは学生だ。私の部下でもない。本来、王女をもてなす立場ではないんです。つまり、義理もない。交渉期間の間、グラン国の言葉がしゃべれるラルフに甘えて、王女に言葉を教えるということを頼んでいたけれど、その期間も終わりました。ラルフに無理は言えない」
と、王太子様は、真剣な口調で王子様に説明した。
王子様は不満げな顔で、黙って考えている。
王太子様は、そばに控えていたロイさんに、
「今、私が言ったこと、王女に訳して」
と言った。
ロイさんが、うさんくさい笑顔を浮かべてうなずくと、王女様に向かって、あちらの言葉で話しだした。
これで、納得して!と、心底願う。
が、ロイさんの言葉を聞きながら、王女様の顔が、どんどん、怒りでゆがんでいった。
そして、ついに王女様が、
「なんで? ラルフ? 私のこと好きだったよね?」
と、すごい爆弾発言を落とした。
一瞬、場がシーンとした。
何をいいだすの?! 驚きすぎて、言葉がでないんだけど…。
真偽はともかく、こんな他の人たちのいる前で、公の場で、良くそんなことが言えるなあと。
見た目はきれいだけれど、これでは、ヒロインにはなりえない…。
ヒロインに意地悪する当て馬だよね…、と妄想がひろがってきたところで、ラルフが口を開いた。
「そう思わせてしまう何かが俺にあったとすれば謝罪する。が、仕事として引き受けただけで、特別な感情はない」
と、王女様をしっかり見て言い放った。
疑う余地はみじんもないことは伝わってくる。
すると、王女様は、
「ひどい、ラルフ! なんで、そんなこと言うの?」
と、泣きだした。
え? 全然、ラルフの言ったことが伝わってないよ!
なんでと聞きたいのは、こっちだよね…。
そして、王子様が怒りに燃える目でラルフをにらみつけた。
「ダンスはもういい。が、私の国では、されたことは必ず返す。
ルーシェを泣かせたことは、必ずや返させてもらう」
そう言いながら、何故か私の方を見た。
そして、泣いている王女様に何か言うと、連れだって去っていった。
「申し訳ないが、踊ることはできません」
と、わかりやすい言葉だけで、簡潔に答えた。
ストレートすぎるくらいの答えだけど、目が笑ってない王子様に向かって、ラルフすごいね…。
ちょっと、私、怖いんだけど…。
そこで、王太子様が、にこやかに口をはさむ。
「ラルフは、ダンスは、あまり上手くありません。自分で言うのもあれですが、私のほうがうまいですよ? ルーシェ王女様、一曲いかがですか?」
と、王女様のほうをむいて誘った。
王太子様の言葉を、王子様が王女様に通訳しているようで、グラン国の言葉で話している。
一気に王女様の顔がくもった。そして、何か言った。
グラン国の王子様が、今度は私を見た。
えっ?! なになに? 怖いんだけど?
「そちらの御令嬢は、ラルフ君の幼馴染と聞いていましたが、まさか、その人のせいで踊れないのでしょうか?」
と、王子様。
となりの王女様が、明らかに私をにらんでいる…。
アイシャが、私のそばに寄った。
見ると、私にむかってにっこり微笑み、そのまま王女様のほうに焦点をあわせた。
笑顔で圧をかけている…。そして、私をにらんでいた王女様がついに視線をそらした。
アイシャ、ありがとうー!
という、女三人の攻防の横で、ラルフと王子、そして王太子様の攻防も続いている。
「リリーは関係ない。俺が踊りたくないだけです」
と、ラルフがはっきりと言う。
王子様の眉間にしわがより、はりつけていた笑みが消え去った。
そして、王女様に訳すことはせず、
「たかが、ダンスで、せっかく上手くまとまった両国の交渉にひびを入れるおつもりか?」
と、ラルフのほうを向いて言った。
ええ?! そんな大事になるの?!
と、思ったら、王太子様が、
「たかが、ダンスで、ダメになるような交渉なら、なくて結構ですよ? もともと、こちらがお願いした交渉ではありませんしね」
そう言って、不敵な笑みをうかべた。
王太子様が、腹黒全開になっている。
が、こっちのほうが断然、王太子様に似合っているわ! 穏やかなのは、外面だったんだね…。
「それに、ラルフは学生だ。私の部下でもない。本来、王女をもてなす立場ではないんです。つまり、義理もない。交渉期間の間、グラン国の言葉がしゃべれるラルフに甘えて、王女に言葉を教えるということを頼んでいたけれど、その期間も終わりました。ラルフに無理は言えない」
と、王太子様は、真剣な口調で王子様に説明した。
王子様は不満げな顔で、黙って考えている。
王太子様は、そばに控えていたロイさんに、
「今、私が言ったこと、王女に訳して」
と言った。
ロイさんが、うさんくさい笑顔を浮かべてうなずくと、王女様に向かって、あちらの言葉で話しだした。
これで、納得して!と、心底願う。
が、ロイさんの言葉を聞きながら、王女様の顔が、どんどん、怒りでゆがんでいった。
そして、ついに王女様が、
「なんで? ラルフ? 私のこと好きだったよね?」
と、すごい爆弾発言を落とした。
一瞬、場がシーンとした。
何をいいだすの?! 驚きすぎて、言葉がでないんだけど…。
真偽はともかく、こんな他の人たちのいる前で、公の場で、良くそんなことが言えるなあと。
見た目はきれいだけれど、これでは、ヒロインにはなりえない…。
ヒロインに意地悪する当て馬だよね…、と妄想がひろがってきたところで、ラルフが口を開いた。
「そう思わせてしまう何かが俺にあったとすれば謝罪する。が、仕事として引き受けただけで、特別な感情はない」
と、王女様をしっかり見て言い放った。
疑う余地はみじんもないことは伝わってくる。
すると、王女様は、
「ひどい、ラルフ! なんで、そんなこと言うの?」
と、泣きだした。
え? 全然、ラルフの言ったことが伝わってないよ!
なんでと聞きたいのは、こっちだよね…。
そして、王子様が怒りに燃える目でラルフをにらみつけた。
「ダンスはもういい。が、私の国では、されたことは必ず返す。
ルーシェを泣かせたことは、必ずや返させてもらう」
そう言いながら、何故か私の方を見た。
そして、泣いている王女様に何か言うと、連れだって去っていった。
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