(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

あおらないで!

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「何、あの王子?! 最後、リリーのことを見て脅したわね?! コンラート、心配だから、あの王族ごと潰していいかしら? いい方法考えるけど?」
と、アイシャが去っていった王子を見ながら言った。 

アイシャ、王族ごと潰すって…。が、アイシャなら確実にできるだろうと思ってしまう。

王太子様は、
「アイシャならできるだろうけど、さすがに、それはやめてくれ。こっちで手を打つ」
と、困ったように言った。

やはり、皆アイシャならできると思うんだね。すごい…。

そして、私に向かって、
「リリーちゃん、嫌な思いをさせて申し訳ない。でも、絶対に君に危害を加えさせるようなことはさせない。安心してほしい」
と、真剣な顔で言った。

私はうなずく。

王太子様は、
「ぼくもなめられたもんだね。国が困ってるだろうと、さして、こちらに得もない交渉を受けたが、あの態度。
無駄な同情だったかもしれないな。さあ、あの二人どうしようか」
と、腹黒が前面にでた笑みを浮かべた。

アイシャが、ロイさんにむかって、
「ロイ。あの国の王族について、要点を説明して。すぐに動けるように、計画を考えるから」
と、鋭い声で言った。

王太子様同様、黒い笑顔を浮かべている。

ロイさんが、
「ほんと、あの王子なにやってんの? こんな怖くて、面倒な人たちにケンカふっかけるなんてね。自国が大変な時に状況を考えろよ…」
と、ため息をついた。

そして、アイシャのほうを向いて言った。
「グラン国の今の王は、グラーシュ王で38歳。あの二人の一番上の兄だ。3年前に国王が亡くなり即位した。
そして、臣下に嫁いだ第一王女と第二王女がいて、その次がさっきの第二王子のルジェ王子27歳だ。
そして、年の離れた末っ子の第三王女ルーシェ王女19歳だ」

「他国と交流してこなかったから、王族自体が常識がないの? それとも、あの王子と王女だけが、常識がないのかしら?」
と、アイシャがロイさんに聞いた。

「アイシャ…、手厳しいね…。あの王子と王女が常識がないのは事実だけど、王はわからない。 グラン国は異常気象による主食になる穀物の不作という国難で、初めて他国とかかわりを求めている最中だからね。王は、近隣諸国をまわっていると聞いている。ある意味、うちは遠い国だし、交渉がうまく行けばラッキーくらいの気持ちで、第二王子にまかせたのかもね」
と、ロイさん。

王太子様が、
「ロイ。すぐにグラーシュ王に、連絡をとってくれ。私が直接、話をしてみる。交渉を取りやめるかどうかはそれからだ。感情で外交の話をしたら、あの王子と同じだからな」
と、命じる。

「了解しました」
と、ロイさん。

「ラルフ、そんなに射殺すような目で私を見なくても、あの王子の行動は見張っておく。それよりも、せっかくだし、リリーちゃんと踊ってきたらどうだ? 明日から留学するんだろ? しばらく会えなくなるし、向こうでリリーちゃんにいい出会いもあるかもしれないしね。 最後の思い出にどうだ?」
と言って、王太子様がにやりと笑った。

すごい殺気が隣から流れてくる。

「はあー、また、ラルフを怒らすようなことを…。まあ、猛獣にちょっかいかけるみたいなスリルがあって、おもしろいのはわかるけど。俺もやるし?」
と、ロイさん。

ちょっと、ロイさん。なに、更にあおるようなことを言ってるんですか! 

ラルフが、二人をすごい目でにらんでるんだけど…。

殺伐とした空気の中、
「まあ、コンラートの言うように、留学先のロジャン国では、リリーに良い出会いがあるかもね…。それで、永住したりして。…フフフ。楽しみ!」
と、アイシャ。 

ちょっと、アイシャ! とめるどころか、挑発するような口ぶりだ。

「なんだと?! もう一回言ってみろ、アイシャ」
と、底冷えするような声でラルフが言う。

まずい! 相当怒ってる。

仕方ない。私が止めるしかない! 

私はラルフの手を、がっとつかんで、
「ほら、ラルフ、踊ろう!」
そう言って、無理やり、みんながダンスを踊っているホールのほうへと歩き出す。

正直、私はダンスが下手すぎて、長いこと踊っていない。
でも、こんな怒った状態のラルフを、あの場から連れ出すには、これしか浮かばなかった。

恥ずかしくて、心身を削ることになりそうだけど、がんばれ、私…。
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