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第二章
妄想が
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今、私たちは公爵家の馬車に乗っている。
今日は、アイシャが町を案内してくれるから。
窓から見える知らない町の景色にわくわくしてくる。
が、私の浮かれた気持ちとは真逆の不機嫌そうな声が目の前から聞こえてきた。
「で、なんで、おまえがここにいるんだ、アラン? 早く仕事に戻れよ」
と、ラルフ。
が、アランさんは隣にすわるラルフを見ることなく、何故か、私のほうを向いて、にっこりほほえんだ。
「ジョルジュ様に命じられたからね。『今日一日、リリアンヌ嬢と一緒にいて、リリアンヌ嬢の人となりを知り、リリアンヌ嬢の知るドラヤキの話をきかせてもらい、リリアンヌ嬢のドラヤキづくりに全力で取り組めるよう、リリアンヌ嬢から色々学んでくるように』って。だから、よろしくお願いします。リリアンヌ様」
「お兄様のアランへの言いつけが、リリーの名前を連呼していて、なんだか怖いわね……」
と、アイシャがつぶやいている。
私はあわてて言った。
「私から学ぶことなんてないです! それより、どらやきづくり、一緒に楽しみたいです。こちらこそよろしくお願いします、アランさん! あと、それと、アランさんにお願いが……」
「はい、なんでしょうか?」
くりっとした目を輝かせ、みんなに好かれそうな笑顔で聞いてくるアランさん。
「私のことは、リリーと呼んでください。仲のいい人たちは、みんな、そう呼ぶので。あと、敬語もやめて、二人に話すみたいに気軽に話してほしいです。アランさんはアイシャとラルフのお友達だから」
「いや、アランとは友達じゃないからな、リリー。アランもリリーと呼ぶな。というか、できるだけ、リリーと話すな。近づくな」
また、ラルフの過保護が爆発してしまっている。
そんなラルフを見て、勝ち誇ったように微笑むアイシャ。
アイシャの大好きな悪役令嬢モードに入っている……。
「今まで独り占めしてきたぶん、今度は離れて、はがゆい思いをしたらいいわ。まあ、このまま、ロジャン国にいてくれたら、ずっと離れ離れだけどね……フフフ」
「あ? なに、ありえないこと言ってんだ、アイシャ。そんなことさせるわけないだろ?」
バチバチと、にらみあう二人。
クールな美貌の二人だけに、すごい迫力だけれど、さすが二人の友達だけあって、アランさんは気にもしていない様子で、私に言った。
「じゃあ、お言葉に甘えて、僕もリリーと呼ばせてもらうことにするね。リリーも僕のことは、アランでいいよ。それに敬語もやめてね」
「わかった、私もそうする。あらためて、よろしく。アランさん……じゃなくて、アラン」
私の言葉に、ふわっと笑った。
ふと、溺愛妄想が発動する。
大きな目が印象的で、かわいらしい容姿のアランという名のヒーロー。
親しみやすい笑顔で、警戒心なく、好かれるタイプ。
でも、その優しさは表面的で、孤独な自分を隠す鎧。
だから、みんなに優しいけれど、心のうちは見せない。
そんな男性が初めて人を愛した時、その鎧が崩れ、素がでてしまう。
うんうん、いいかもしれない。こういうタイプが溺愛すると、どう変わるのか……ムフフフ。
「リリー、どうかした?」
不思議そうに聞くアラン。
「あ、……ううん。ちょっと、思い出し笑いを……」
なんて、とっさにごまかした私。
いけない、いけない。
妄想がひろがって、うっかり顔がにやけてたわ。
変な人だと思われて、どらやき作りを断られたら大変だもんね。
アランの前では、溺愛妄想はおいといて、ちゃんとしよう。
※ 前回は、あまりにも久々の更新でしたが、読んでくださったかた、本当にありがとうございました!
エールもいただき、とても嬉しかったです!
8月中はできるだけ、更新していく予定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、アイシャが町を案内してくれるから。
窓から見える知らない町の景色にわくわくしてくる。
が、私の浮かれた気持ちとは真逆の不機嫌そうな声が目の前から聞こえてきた。
「で、なんで、おまえがここにいるんだ、アラン? 早く仕事に戻れよ」
と、ラルフ。
が、アランさんは隣にすわるラルフを見ることなく、何故か、私のほうを向いて、にっこりほほえんだ。
「ジョルジュ様に命じられたからね。『今日一日、リリアンヌ嬢と一緒にいて、リリアンヌ嬢の人となりを知り、リリアンヌ嬢の知るドラヤキの話をきかせてもらい、リリアンヌ嬢のドラヤキづくりに全力で取り組めるよう、リリアンヌ嬢から色々学んでくるように』って。だから、よろしくお願いします。リリアンヌ様」
「お兄様のアランへの言いつけが、リリーの名前を連呼していて、なんだか怖いわね……」
と、アイシャがつぶやいている。
私はあわてて言った。
「私から学ぶことなんてないです! それより、どらやきづくり、一緒に楽しみたいです。こちらこそよろしくお願いします、アランさん! あと、それと、アランさんにお願いが……」
「はい、なんでしょうか?」
くりっとした目を輝かせ、みんなに好かれそうな笑顔で聞いてくるアランさん。
「私のことは、リリーと呼んでください。仲のいい人たちは、みんな、そう呼ぶので。あと、敬語もやめて、二人に話すみたいに気軽に話してほしいです。アランさんはアイシャとラルフのお友達だから」
「いや、アランとは友達じゃないからな、リリー。アランもリリーと呼ぶな。というか、できるだけ、リリーと話すな。近づくな」
また、ラルフの過保護が爆発してしまっている。
そんなラルフを見て、勝ち誇ったように微笑むアイシャ。
アイシャの大好きな悪役令嬢モードに入っている……。
「今まで独り占めしてきたぶん、今度は離れて、はがゆい思いをしたらいいわ。まあ、このまま、ロジャン国にいてくれたら、ずっと離れ離れだけどね……フフフ」
「あ? なに、ありえないこと言ってんだ、アイシャ。そんなことさせるわけないだろ?」
バチバチと、にらみあう二人。
クールな美貌の二人だけに、すごい迫力だけれど、さすが二人の友達だけあって、アランさんは気にもしていない様子で、私に言った。
「じゃあ、お言葉に甘えて、僕もリリーと呼ばせてもらうことにするね。リリーも僕のことは、アランでいいよ。それに敬語もやめてね」
「わかった、私もそうする。あらためて、よろしく。アランさん……じゃなくて、アラン」
私の言葉に、ふわっと笑った。
ふと、溺愛妄想が発動する。
大きな目が印象的で、かわいらしい容姿のアランという名のヒーロー。
親しみやすい笑顔で、警戒心なく、好かれるタイプ。
でも、その優しさは表面的で、孤独な自分を隠す鎧。
だから、みんなに優しいけれど、心のうちは見せない。
そんな男性が初めて人を愛した時、その鎧が崩れ、素がでてしまう。
うんうん、いいかもしれない。こういうタイプが溺愛すると、どう変わるのか……ムフフフ。
「リリー、どうかした?」
不思議そうに聞くアラン。
「あ、……ううん。ちょっと、思い出し笑いを……」
なんて、とっさにごまかした私。
いけない、いけない。
妄想がひろがって、うっかり顔がにやけてたわ。
変な人だと思われて、どらやき作りを断られたら大変だもんね。
アランの前では、溺愛妄想はおいといて、ちゃんとしよう。
※ 前回は、あまりにも久々の更新でしたが、読んでくださったかた、本当にありがとうございました!
エールもいただき、とても嬉しかったです!
8月中はできるだけ、更新していく予定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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