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第十一話
しおりを挟む疲労、と呼ぶにはまだ早すぎる気がしたが、それでも、身体も心も疲れているのは確かだった。
「───、───くん、光地之くん!ねぇってば!聞こえてる?」
「あ、うん、ごめん。ちょっと考え事してて。どうしたの?無条さん」
「あ、やっと聞こえたみたい。星護!光地之くん起きたよ!」
「寝てたわけじゃないんだけど……」
唐突に話しかけられて、少し困惑する。星護が僕を呼ぶなんて、何かあったのだろうか。
トコトコと歩いてくる星護の姿は、何か落ち着きがないように見えた。本当に、何かあったのだろうか。
「光地之くん、おはよう」
「……おはよう」
突っ込むのも面倒だったので、その場の流れに任せてみる。それくらい疲れていた。
「あのさ、明後日の『試』なんだけどさ……」
僕が想像していたような話題ではなかったらしい。期待外れの問いかけに、少し苛立ちを覚えた。
「僕とペアを組みたいって言いに来たの?」
「え、あぁ、うん……?それで違わなくもないんだけど……」
「わかった。僕とペアを組もう。プレイヤーかサポーター、どっちがいい?」
「えぇ……。まぁいっか。よし、じゃあ僕がプレイヤーになるよ」
「りょうかい。じゃあ、今回は僕はサポートに徹するよ」
「うん。サポートよろしくね」
星護はそう言うと、少し残念そうな雰囲気を残して、無条さんのいる方へと歩いていく。
「後で幸乃に謝らなくちゃなぁ……」
彼がぼそっと呟いたその一言を僕はしっかりと聞いていた。
なるほど。そういうことか。
さっきの星護の態度の理由に納得して、彼には悪いことをしたと後悔した。
行動しないで後悔するより、行動して後悔した方がずっと良い。
これは僕が過去から学んだ教訓。
そして。
彼らと違って、なおも、僕は「天才」なのだ。
いつ、この「力」を発揮しようか。
タイミングを見計らったように、初めからそう決まっていたかのように、「その時」が訪れる。
~続く~
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