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第二章 王都アニマ
19.情報を集める器用貧乏
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◇
「ふぁ~あ」
翌朝、宿泊用の二階の一室から出た俺は、あくびをしながらゆっくりと階段を下りていく。
宿泊部屋は想像通りやや手狭だったが、きちんと手入れが行き届いており、不快感は微塵もなかった。師匠のせいで常に散らかってる部屋と比べたら天地の差がある。
階段を下りきると、カナがせかせかと床の掃除をしているのが目に入った。ふと目が合うと、屈託のない笑顔を浮かべながらこちらへと近寄ってくる。
「おはよう、お兄さん!」
「ああ、おはよう」
一晩明け、初対面のときよりもカナの対応がより気安いものになっていた。パグラムから、俺に対して『あまり畏まらなくていい』という話を聞いたのだろう。
「へへー、お父さんから聞いたよ、ウチを一週間も利用してくれるんだってね。しかも料理付きで!」
「そりゃあんなの食わされたら当然だろ」
うーん、思い出しただけでもよだれが出る。しかも今日からは『完全なもの』とやらが食べれるのだ、期待せずにはいられない。
「だよねー! お父さんの料理は王都で一番なんだから!」
「……こら、滅多なことを言うんじゃない」
カナの自信たっぷりな言葉に反応して、カウンターの向こうから、彼女の父親であるパグラムが反論する。
「む、ほんとだもーん!」
カナは「んべー!」と舌を出しながら逃げるように二階へと駆け上がっていく。
「まったく、カナのやつ……」
「はは、父親も大変だな」
「ユーリくん……からかわないでくれよ。そうだ、軽いものだが朝食があるのだが食べるかい?」
「いいのか? 食事が出るのは夕食だけって聞いていたが」
「なあに、ちょっとしたサービスだよ。ただ、出来合いのものだからあまり期待しないでくれよ?」
パグラムはそう言い残し、カウンターの奥にある厨房へと姿を消した。
そして、俺がカウンター席に腰掛けてから数分後、パグラムは片手に皿を持ちながら戻ってきた。
「おまちどうさま」
「おお……!」
目の前に置かれた皿の上には、パンが乗っていた。
だがパグラムの出すパンだ、もちろんパンひとつをそのまま出したわけじゃない。
食べやすいのサイズに薄切りされたパンの表面はいい具合に焼かれていて、じつに香ばしそうだ。そこにパンからはみ出るほどのベーコンが二枚乗り、その上に黄身がとろとろになった目玉焼きが乗っかっている。
シンプルな料理だが、それ故に料理人の腕次第で味に差が出やすい。このレベルのものは一朝一夕では作ることができないだろう。
「――うん、うまい」
一口食べてみると、予想通り……いや、予想以上の美味さだった。
そして黙々と食べ進め、気が付けば一皿まるごと平らげていた。
「ごちそうさん。美味かったよ」
「昨日も思ったけど、いい食べっぷりだね。腕のふるいがいがある」
「本当に美味いからな、つい夢中になってしまうよ。ここまでの腕になるには相当な努力をしたんじゃないか?」
あの腕前からして、間違いなくパグラムは【料理】スキル持ちだろう。
そしてそのスキルレベルは俺なんかを軽く超えているのは明らかだ。見たところまだ三十代前半ぐらいだろうに、相当努力したのだろう。
「ああ……本格的に料理を始めたのは今から十一年前、カナが生まれてからだ」
「へえ、ずいぶんと遅く始めたんだな」
この国では、遅くても十六歳あたりで働き始めるのが普通だ。カナだって俺より若いのに、もう家業を手伝っているしな。
パグラムの年齢から考えると、料理人になったのは二十代半ばぐらいからなのだろう。
「料理人をやる前は何をしていたんだ?」
「私は子供のころから冒険者に憧れていてね。あいにくと貧乏で自分の加護を知らなかったのもあって、十四のときに冒険者になろうと決意して家を出たんだ」
「……へえ、冒険者か」
パグラムは体格に恵まれている。貧乏で天命の儀を受けられなかったとしても、そういった道を目指すのは不思議なことじゃない。
「ああ、危険は伴うが成功したときの実入りはいいからね。そして、少なからず才能があったんだろう。順調に依頼をこなして、二十歳になるころにはCランクへ昇級したんだ。
だが、順調すぎたあまり調子に乗った私は、単身『帰らずの森』へ向かうという愚行を犯してしまったんだ」
帰らずの森……か。カールのおっさんから聞いた話だと、強力な魔物が多く生息するって話だったな。
「森の危険性を完全に舐めていた私は、当然のように窮地に陥ったんだ。でも、その場は銀髪の魔女様に助けてもらって一命を取り留めたのさ」
「――っ、魔女に会ったことがあるのか!?」
「ああ、澄み渡る美しい空のような瞳をしたお方だった。……まあ、その方が噂に聞く本物の魔女かどうかはわからないのだが……私は魔女様だと信じているよ」
銀髪に空色の瞳……間違いない、師匠だ。
「……とまあ、そのときに受けた傷をきっかけに冒険者を引退して、趣味だった料理の道へと進んだってわけさ。ちなみに、うちの屋号は命の恩人の魔女様にあやかって付けたものだよ」
「そうだったのか……」
新たな情報を得たことで、件の魔女の森に住む銀髪の魔女ってのが師匠だって確信を持った。
この宿に訪れたのはまったくの偶然だが、この出会いに運命を感じざるを得ないな。
「……ところで、ユーリくんはどうして王都へ来たんだい? あ、もしかして騎士団の入団試験を受けに来たのかな?」
「……ん? どうしてそう思うんだ?」
「おや、違うのかい? 昔冒険者をやっていたからわかるんだが、ユーリくんの普段の立ち振舞いが戦士のものだったからね。それに、もうじき年に一度の入団試験があるものだからさ」
……騎士団、か。
昔は騎士団に入ることを目標としていたな。
だがそれは、元父親のミゲル・グランマードによって植え付けられた強迫観念のひとつだ。
しかし今の俺は自由の身。今更躍起になって騎士団に入ろうとする理由はない。
「いや……期待に添えなくてすまないが、入団試験を受けに来たわけじゃない。今は旅の途中で、王都にはたまたま立ち寄らせてもらっただけだよ」
「おや、そうなのかい? ……うーん、やはり関所が通行止めになってることもあって、今年は試験を受けに来る人がだいぶ減ってるみたいだな」
関所が通行止め……か。そういえばカールのおっさんもそんなこと言ってたな。
アムダルシア王国は大陸の南端に位置しているので、他所の国から入国するためには、北にある関所を通らなければならない。
そこが通行止めになっているのだとすれば、現状、他国から入国するのは不可能に近い。いや、関所は他にもあるし、それらが同様の状況だったとしたら国内での移動すら制限されているかもな。
「……ええと、すまないパグラム。その世界情勢ってのをよく知らないんだが、簡単に説明してもらってもいいか?」
旅を続けるのには情報収集が必要だ。そう思い、俺はパグラムに質問を投げ掛けた。
「もちろんだ。……と、言っても私自身、王都からは殆ど出ないから、伝え聞いた話になるのだが」
「それで構わない」
パグラムは申し訳なさそうな表情で言ったが、今は少しでも情報が欲しい。情報の確度が曖昧であろうとも、長い間森で引きこもっていた俺よりは、間違いなく詳しいはずだ。
「ええと……だいたい一ヶ月前くらいから、各地で魔物の動きが活発化してきているようなんだ。その影響で魔物の分布が変わり、今までは平穏だった地域で突然強力な魔物と遭遇してしまうこともあるとか」
「魔物の活発化か……原因はわかっているのか?」
「いや、おおよそ一月前から異変が起こり始めたらしいんだが、未だに原因は解明されていない。この調子で街道が封鎖され続けてしまうと、流通が減って取り扱える食材も限られてしまうよ……っと、すまない、愚痴っぽくなってしまったね」
「いや、気にしないでくれ。情報ありがとう、すぐに流通が元に戻るといいな」
「違いない」
パグラムはやれやれといった感じで肩をすくめ、厨房へと戻っていった。
まあ、安全な王都に籠りっきりなら、パグラムのようなどこか他人事じみた反応になるだろう。
だが、魔物の分布が変化するほどの事態となると、想像以上に深刻な問題だ。
王都ほどの防衛設備と戦力があれば問題ないのだろうが、人口百や二百程度の自衛力が低いとこなんかは、急に強力な魔物が出現した場合、簡単に壊滅してしまう可能性が高い。
……それはよくないな。旅の道中に立ち寄る場所は必要だ。
行った土地土地での名産品や文化に触れるのが楽しみだったんだが、世界中がきな臭くなってきているこの状況はいただけない。このままだとせっかくの旅が味気ないものになってしまうぞ。
「……そうだ」
ふと、ひとつの案が思い浮かぶ。
それは、俺が抱えている問題を一気に解決できる名案だ。
「冒険者登録をしよう」
冒険者のライセンスは、身分証代わりになるし、カールのおっさんの話によると、髙ランクの冒険者は関所の通行も自由になるらしい。
つまりは、身分証兼世界中どこへでも行ける通行証になり得るってことだ。
王都のような大都市に入るには身分証は必須だし、あちこちに足を伸ばすにはいくつもの関所を通らなければならない。入国や越境に非正規の手段を取るのはできるだけ避けたいからな。
今の俺にとって、これ以上に欲するものはないと言っても過言ではない。
「……そうと決まれば、まずは冒険者ギルドに行ってみるか」
実のところ、騎士になるよりも冒険者になりたいという憧れを持っていた時期もある。
騎士のように国や人を守るのも立派な務めだと思うが、冒険者になって未知のダンジョンに挑むっていうのもロマンがある。
童心を思い出し、少しだけ弾んだ胸の鼓動をそのままに、俺は銀の魔女亭をあとにするのだった。
「ふぁ~あ」
翌朝、宿泊用の二階の一室から出た俺は、あくびをしながらゆっくりと階段を下りていく。
宿泊部屋は想像通りやや手狭だったが、きちんと手入れが行き届いており、不快感は微塵もなかった。師匠のせいで常に散らかってる部屋と比べたら天地の差がある。
階段を下りきると、カナがせかせかと床の掃除をしているのが目に入った。ふと目が合うと、屈託のない笑顔を浮かべながらこちらへと近寄ってくる。
「おはよう、お兄さん!」
「ああ、おはよう」
一晩明け、初対面のときよりもカナの対応がより気安いものになっていた。パグラムから、俺に対して『あまり畏まらなくていい』という話を聞いたのだろう。
「へへー、お父さんから聞いたよ、ウチを一週間も利用してくれるんだってね。しかも料理付きで!」
「そりゃあんなの食わされたら当然だろ」
うーん、思い出しただけでもよだれが出る。しかも今日からは『完全なもの』とやらが食べれるのだ、期待せずにはいられない。
「だよねー! お父さんの料理は王都で一番なんだから!」
「……こら、滅多なことを言うんじゃない」
カナの自信たっぷりな言葉に反応して、カウンターの向こうから、彼女の父親であるパグラムが反論する。
「む、ほんとだもーん!」
カナは「んべー!」と舌を出しながら逃げるように二階へと駆け上がっていく。
「まったく、カナのやつ……」
「はは、父親も大変だな」
「ユーリくん……からかわないでくれよ。そうだ、軽いものだが朝食があるのだが食べるかい?」
「いいのか? 食事が出るのは夕食だけって聞いていたが」
「なあに、ちょっとしたサービスだよ。ただ、出来合いのものだからあまり期待しないでくれよ?」
パグラムはそう言い残し、カウンターの奥にある厨房へと姿を消した。
そして、俺がカウンター席に腰掛けてから数分後、パグラムは片手に皿を持ちながら戻ってきた。
「おまちどうさま」
「おお……!」
目の前に置かれた皿の上には、パンが乗っていた。
だがパグラムの出すパンだ、もちろんパンひとつをそのまま出したわけじゃない。
食べやすいのサイズに薄切りされたパンの表面はいい具合に焼かれていて、じつに香ばしそうだ。そこにパンからはみ出るほどのベーコンが二枚乗り、その上に黄身がとろとろになった目玉焼きが乗っかっている。
シンプルな料理だが、それ故に料理人の腕次第で味に差が出やすい。このレベルのものは一朝一夕では作ることができないだろう。
「――うん、うまい」
一口食べてみると、予想通り……いや、予想以上の美味さだった。
そして黙々と食べ進め、気が付けば一皿まるごと平らげていた。
「ごちそうさん。美味かったよ」
「昨日も思ったけど、いい食べっぷりだね。腕のふるいがいがある」
「本当に美味いからな、つい夢中になってしまうよ。ここまでの腕になるには相当な努力をしたんじゃないか?」
あの腕前からして、間違いなくパグラムは【料理】スキル持ちだろう。
そしてそのスキルレベルは俺なんかを軽く超えているのは明らかだ。見たところまだ三十代前半ぐらいだろうに、相当努力したのだろう。
「ああ……本格的に料理を始めたのは今から十一年前、カナが生まれてからだ」
「へえ、ずいぶんと遅く始めたんだな」
この国では、遅くても十六歳あたりで働き始めるのが普通だ。カナだって俺より若いのに、もう家業を手伝っているしな。
パグラムの年齢から考えると、料理人になったのは二十代半ばぐらいからなのだろう。
「料理人をやる前は何をしていたんだ?」
「私は子供のころから冒険者に憧れていてね。あいにくと貧乏で自分の加護を知らなかったのもあって、十四のときに冒険者になろうと決意して家を出たんだ」
「……へえ、冒険者か」
パグラムは体格に恵まれている。貧乏で天命の儀を受けられなかったとしても、そういった道を目指すのは不思議なことじゃない。
「ああ、危険は伴うが成功したときの実入りはいいからね。そして、少なからず才能があったんだろう。順調に依頼をこなして、二十歳になるころにはCランクへ昇級したんだ。
だが、順調すぎたあまり調子に乗った私は、単身『帰らずの森』へ向かうという愚行を犯してしまったんだ」
帰らずの森……か。カールのおっさんから聞いた話だと、強力な魔物が多く生息するって話だったな。
「森の危険性を完全に舐めていた私は、当然のように窮地に陥ったんだ。でも、その場は銀髪の魔女様に助けてもらって一命を取り留めたのさ」
「――っ、魔女に会ったことがあるのか!?」
「ああ、澄み渡る美しい空のような瞳をしたお方だった。……まあ、その方が噂に聞く本物の魔女かどうかはわからないのだが……私は魔女様だと信じているよ」
銀髪に空色の瞳……間違いない、師匠だ。
「……とまあ、そのときに受けた傷をきっかけに冒険者を引退して、趣味だった料理の道へと進んだってわけさ。ちなみに、うちの屋号は命の恩人の魔女様にあやかって付けたものだよ」
「そうだったのか……」
新たな情報を得たことで、件の魔女の森に住む銀髪の魔女ってのが師匠だって確信を持った。
この宿に訪れたのはまったくの偶然だが、この出会いに運命を感じざるを得ないな。
「……ところで、ユーリくんはどうして王都へ来たんだい? あ、もしかして騎士団の入団試験を受けに来たのかな?」
「……ん? どうしてそう思うんだ?」
「おや、違うのかい? 昔冒険者をやっていたからわかるんだが、ユーリくんの普段の立ち振舞いが戦士のものだったからね。それに、もうじき年に一度の入団試験があるものだからさ」
……騎士団、か。
昔は騎士団に入ることを目標としていたな。
だがそれは、元父親のミゲル・グランマードによって植え付けられた強迫観念のひとつだ。
しかし今の俺は自由の身。今更躍起になって騎士団に入ろうとする理由はない。
「いや……期待に添えなくてすまないが、入団試験を受けに来たわけじゃない。今は旅の途中で、王都にはたまたま立ち寄らせてもらっただけだよ」
「おや、そうなのかい? ……うーん、やはり関所が通行止めになってることもあって、今年は試験を受けに来る人がだいぶ減ってるみたいだな」
関所が通行止め……か。そういえばカールのおっさんもそんなこと言ってたな。
アムダルシア王国は大陸の南端に位置しているので、他所の国から入国するためには、北にある関所を通らなければならない。
そこが通行止めになっているのだとすれば、現状、他国から入国するのは不可能に近い。いや、関所は他にもあるし、それらが同様の状況だったとしたら国内での移動すら制限されているかもな。
「……ええと、すまないパグラム。その世界情勢ってのをよく知らないんだが、簡単に説明してもらってもいいか?」
旅を続けるのには情報収集が必要だ。そう思い、俺はパグラムに質問を投げ掛けた。
「もちろんだ。……と、言っても私自身、王都からは殆ど出ないから、伝え聞いた話になるのだが」
「それで構わない」
パグラムは申し訳なさそうな表情で言ったが、今は少しでも情報が欲しい。情報の確度が曖昧であろうとも、長い間森で引きこもっていた俺よりは、間違いなく詳しいはずだ。
「ええと……だいたい一ヶ月前くらいから、各地で魔物の動きが活発化してきているようなんだ。その影響で魔物の分布が変わり、今までは平穏だった地域で突然強力な魔物と遭遇してしまうこともあるとか」
「魔物の活発化か……原因はわかっているのか?」
「いや、おおよそ一月前から異変が起こり始めたらしいんだが、未だに原因は解明されていない。この調子で街道が封鎖され続けてしまうと、流通が減って取り扱える食材も限られてしまうよ……っと、すまない、愚痴っぽくなってしまったね」
「いや、気にしないでくれ。情報ありがとう、すぐに流通が元に戻るといいな」
「違いない」
パグラムはやれやれといった感じで肩をすくめ、厨房へと戻っていった。
まあ、安全な王都に籠りっきりなら、パグラムのようなどこか他人事じみた反応になるだろう。
だが、魔物の分布が変化するほどの事態となると、想像以上に深刻な問題だ。
王都ほどの防衛設備と戦力があれば問題ないのだろうが、人口百や二百程度の自衛力が低いとこなんかは、急に強力な魔物が出現した場合、簡単に壊滅してしまう可能性が高い。
……それはよくないな。旅の道中に立ち寄る場所は必要だ。
行った土地土地での名産品や文化に触れるのが楽しみだったんだが、世界中がきな臭くなってきているこの状況はいただけない。このままだとせっかくの旅が味気ないものになってしまうぞ。
「……そうだ」
ふと、ひとつの案が思い浮かぶ。
それは、俺が抱えている問題を一気に解決できる名案だ。
「冒険者登録をしよう」
冒険者のライセンスは、身分証代わりになるし、カールのおっさんの話によると、髙ランクの冒険者は関所の通行も自由になるらしい。
つまりは、身分証兼世界中どこへでも行ける通行証になり得るってことだ。
王都のような大都市に入るには身分証は必須だし、あちこちに足を伸ばすにはいくつもの関所を通らなければならない。入国や越境に非正規の手段を取るのはできるだけ避けたいからな。
今の俺にとって、これ以上に欲するものはないと言っても過言ではない。
「……そうと決まれば、まずは冒険者ギルドに行ってみるか」
実のところ、騎士になるよりも冒険者になりたいという憧れを持っていた時期もある。
騎士のように国や人を守るのも立派な務めだと思うが、冒険者になって未知のダンジョンに挑むっていうのもロマンがある。
童心を思い出し、少しだけ弾んだ胸の鼓動をそのままに、俺は銀の魔女亭をあとにするのだった。
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