深夜バイトでノンケ食いのリーマンに美味しくいただかれてしまった話

いとい乃衣

文字の大きさ
2 / 17

2

しおりを挟む
 緩くパーマのかかった茶髪がふんわりとした美人だが、身長は178センチの俺と目線が同じくらいだから、結構大柄だ。仕立ての良いスーツは、別にサイズがあっていないという訳ではなさそうなのに、何故か胸のあたりと尻のあたりが窮屈そうで思わず目を引く。

 むっちりとしていて、匂いたつような――俺は誓ってノンケだが、誤作動を起こしてしまいそうなほど、この人はメス臭いのだ。

 仕事帰りなんだろう。
 いかにもちゃんとした会社員という風貌で、ドエロイゲイビを必ず三本セットで借りていくのだから強烈な印象を残す。暇なレジバイトをしている俺が、彼の名前を覚えるまで気にしてしまうのも仕方のないことだった。

 女にモテそうな、デキル男の香水を匂わせながら、今日も「ノンケリーマン三連結」、「デカマラキングVSノンケ食いブラックホールアナル」、「ノンケ縛り調教」なるDVDを重ねて俺のカウンターに差し出す彼の表情に羞恥はない。

 俺も平然と、DVDのパッケージに貼られたバーコードをレジに通す。こんなのは慣れだ。
 アダルト商品にこちらが反応を示さないのは、最低限の接客マナーだ。幾らこの人が気になる常連さんだからと言って、当たり前だがこちらから雑談をふったりはしなかった。淡々と決まりきった口上で、何日までに返却だとかを告げながら、袋にDVDを詰める。
 
 けれどこの日だけは、ふと気づいたことがあって、つい――本当にうっかり、言ってしまったのだ。

「なるほど……ノンケ物が好きなんすか」
   
 その時、初めて彼の表情が動いた。
 無表情の美人は、信じられないと言う目で俺を見て、それから瞬時に顔を真っ赤に染めあげた。
 泣きそうに涙の張った瞳を潤ませて、唇を噛む。
 しまった、と思ったけど、何を言ったらいいのか分からず、呆然と彼――レンタル時に確認する身分証によれば、坂崎浬央さかざき りおさん、三十一歳――は、ダンッと握った拳を勢いよくレジカウンターに叩きつけた。

「……悪ぃかよ……俺が! ノンケ物借りちゃ悪ぃのかよ!!!」
「いえ、そんな。お客様……?」

 怒鳴った後に、ひくっ、えぐっとしゃくりあげる声に俺はびっくりして坂崎さんの顔を覗き込む。
 彼は綺麗な顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにして泣いていた。

 酒の場でもない限り、成人男性が人前で声をあげて泣く場面に出くわすことなんて早々ないから、俺も相当テンパってしまった。まあ、好みのゲイビの中身を言及された、このひと程ではないだろうが。

「だって仕方ねぇじゃん。ノンケ好きになったって、絶対俺とエッチしてくれねぇんだもん。アイツら無防備だし。俺が会社でどんだけ必死で性欲抑えてるか分かるか? 好みの奴がべたべた触ってくんのに、俺ばっかムラムラして、アイツらは涼しい顔してんだよ。ふざけんな!! 出来ねぇ分、妄想の中だけでもブチ犯してやりてぇじゃん! 俺だってスッキリしたいの!! それがお兄さんに何か迷惑かけましたかねぇ??」

 余程日々の生活の中で、鬱憤が溜まっていたんだろう。
 坂崎さんは、怒りに任せて早口でまくし立てる。
 初めて聞いた坂崎さんの声は、思っていたより低くて、泣いているせいなのか掠れていて、そして存外口が悪かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

処理中です...