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GAME1
初めまして?~1~
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私はずっと忘れていた過去があった。
大好きだった人を傷つけてしまった過去。
幼い頃のこととはいえ、それは一生消えない心の傷。
そして。
大好きな人には、
もう二度と会えない。
…と、思っていた。
あの日までは。
春ーー…………
それは別れの季節。
それは出会いの季節。
そして。
「恋の季節だよぅ~」
親友の“佐山ちな”が教室の後ろの席に座る私を振り返り、楽しそうに笑顔を見せる。
机に頬杖をついている私は表情を変えず、チラリとちなを見た。
恋ねぇ……。
特に興味はないので、つい面倒くさそうに小さくため息をついてしまった。
すると、私の反応に、ちなは驚いたように身体をのけ反らせる。
「ええ~! ちょっと~、何その反応! つまんないなぁ」
つまんないって言われても……。
「だって興味ないもん」
「うわぁ……」
そう呟くと、信じられないという顔をされた。
「楓、何言ってんの! この学校、何気にカッコイイ人多いんだよ! 青春しなきゃだよ」
「青春ねぇ~……」
興味なさげに呟いた。
ちなとは中学の頃からの友達で、一緒にこの高校に入学した。
入学して一カ月。
よくその間に、かっこいい人チェックできたなぁ。
ちなの観察力に感心する。
でも私はそういったことよりも……。
私は机にゴロンと頭を下ろして寝そべった。
私にとって大事なのは青春より眠気だ。
目を閉じるとすぐにウトウトしだす。
「あ、こら、楓! 寝るな!」
「ちなぁ。春眠暁を覚えず、だよ」
「もう! そうやっていっつもこの話から逃げる!」
ちなは頭の上でぶつぶつ文句を言っていた。
でも、だって本当のことだ。
恋愛なんて興味はない。誰かを好きになるなんて面倒。
高校生活は始まったばかりなんだから、私はただただ、平穏にのんびりと暮らせればそれでいいのだ。
私、松永楓。
四月にこの私立朱雀山高校に入学して、そろそろ新しいクラスにも馴れ、友達も出来て楽しい楽しい高校生活へ!
……なんてタイプでもなく。
クラスには慣れて友達も出来たけど、ちなの言う青春を謳歌するといったやる気に満ちたタイプではない。
私は日々を波風なく、平穏な毎日を送りたいタイプだった。
ちなが言う、恋愛とかも興味はない。
キラキラした青春なんて送れなくていい。
そんなのは別にいらないから、普通に過ごせればそれで良かった。
「全く。楓だってそこそこ可愛いんだから、すぐに彼氏とか出来そうなのに!」
「そこそこって……」
一応、褒めてくれているんだよね?
ジトっとした目でみると、ちなは軽くため息をつく。
「いや、普通にモテるタイプだよ。サラサラのストレートの髪に、色白で目はくりくり。どこか儚げな雰囲気をかもし出しているし。その気だるい感じもいいよね」
「最後、けなしてる?」
「褒めているの」
「……ありがとう」
褒められている気が全くしないけど、一応お礼は言う。
そもそもモテるタイプとか、そんなの友達の贔屓目だ。
ちなはおだてるのが上手いからな。
だから私は適当に話を流す。
「私より、ちなが頑張りなよ。私は彼氏なんていらないの」
「あのね今ねぇ、人気なのは……」
と、勝手に話し出す。
聞いちゃいないし。
私はこっそりため息をつく。
私は机に頭を乗せたまま、ちなの声を黙って聞いていた。
大好きだった人を傷つけてしまった過去。
幼い頃のこととはいえ、それは一生消えない心の傷。
そして。
大好きな人には、
もう二度と会えない。
…と、思っていた。
あの日までは。
春ーー…………
それは別れの季節。
それは出会いの季節。
そして。
「恋の季節だよぅ~」
親友の“佐山ちな”が教室の後ろの席に座る私を振り返り、楽しそうに笑顔を見せる。
机に頬杖をついている私は表情を変えず、チラリとちなを見た。
恋ねぇ……。
特に興味はないので、つい面倒くさそうに小さくため息をついてしまった。
すると、私の反応に、ちなは驚いたように身体をのけ反らせる。
「ええ~! ちょっと~、何その反応! つまんないなぁ」
つまんないって言われても……。
「だって興味ないもん」
「うわぁ……」
そう呟くと、信じられないという顔をされた。
「楓、何言ってんの! この学校、何気にカッコイイ人多いんだよ! 青春しなきゃだよ」
「青春ねぇ~……」
興味なさげに呟いた。
ちなとは中学の頃からの友達で、一緒にこの高校に入学した。
入学して一カ月。
よくその間に、かっこいい人チェックできたなぁ。
ちなの観察力に感心する。
でも私はそういったことよりも……。
私は机にゴロンと頭を下ろして寝そべった。
私にとって大事なのは青春より眠気だ。
目を閉じるとすぐにウトウトしだす。
「あ、こら、楓! 寝るな!」
「ちなぁ。春眠暁を覚えず、だよ」
「もう! そうやっていっつもこの話から逃げる!」
ちなは頭の上でぶつぶつ文句を言っていた。
でも、だって本当のことだ。
恋愛なんて興味はない。誰かを好きになるなんて面倒。
高校生活は始まったばかりなんだから、私はただただ、平穏にのんびりと暮らせればそれでいいのだ。
私、松永楓。
四月にこの私立朱雀山高校に入学して、そろそろ新しいクラスにも馴れ、友達も出来て楽しい楽しい高校生活へ!
……なんてタイプでもなく。
クラスには慣れて友達も出来たけど、ちなの言う青春を謳歌するといったやる気に満ちたタイプではない。
私は日々を波風なく、平穏な毎日を送りたいタイプだった。
ちなが言う、恋愛とかも興味はない。
キラキラした青春なんて送れなくていい。
そんなのは別にいらないから、普通に過ごせればそれで良かった。
「全く。楓だってそこそこ可愛いんだから、すぐに彼氏とか出来そうなのに!」
「そこそこって……」
一応、褒めてくれているんだよね?
ジトっとした目でみると、ちなは軽くため息をつく。
「いや、普通にモテるタイプだよ。サラサラのストレートの髪に、色白で目はくりくり。どこか儚げな雰囲気をかもし出しているし。その気だるい感じもいいよね」
「最後、けなしてる?」
「褒めているの」
「……ありがとう」
褒められている気が全くしないけど、一応お礼は言う。
そもそもモテるタイプとか、そんなの友達の贔屓目だ。
ちなはおだてるのが上手いからな。
だから私は適当に話を流す。
「私より、ちなが頑張りなよ。私は彼氏なんていらないの」
「あのね今ねぇ、人気なのは……」
と、勝手に話し出す。
聞いちゃいないし。
私はこっそりため息をつく。
私は机に頭を乗せたまま、ちなの声を黙って聞いていた。
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