目が覚めたら魔法使いだったので、とりあえず魔王を倒すことにした

佐倉ミズキ

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3.叱られて王宮へ

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「あのね、魔法が使えるからって好き勝手やっていいわけじゃないんですよ! あなた魔導士検定二級持ってるんでしょ!? それくらい分かるよね」

目の前の男は呆れたように私を叱り続けた。

前世でムカつく上司を思い出すくらいにネチネチとしつこい怒り方。

初めは驚いて泣きそうになったが、あまりにもしつこいので次第にイライラしてきた。

「すみません」

何度も謝ってるじゃないか。内心舌打ちを打ちをする。


遡ること一時間前。

今日も家の周りの森で魔法を使って楽しんでいた。

体力がある午前中は結構大きな魔法が使えるらしい。午後になると、疲れてくるからか威力が半減する。

「火は威力に気を付けないと駄目ね。昨日、あっちの森を焦がしちゃったから慌てて水魔法で消したけど、さすがに焦ったわ。気を付けないと」

延焼しなくて良かったと、ブツブツ言いながら杖を見つめる。

「失くした森って再生できないのかしら……。うーん……、何も言葉が浮かばないからダメか」

一部消えた森に申し訳なさを感じつつ、再生については研究しようと思ったその時。

馬の蹄の音が近づいてくるのがわかった。

「えっ、なに!? 馬!?」

騎士のような格好をした馬に乗った男性数人が私の周りを取り囲む。

その迫力に圧倒されてたじろいでいたら、馬上にいるリーダーらしき男が私を見下ろして言った。

「お前か。森を荒らす魔法使いとは」
「えっ!? 私、別に荒らしてなんか……」
「してるだろう! 魔法がうるさいって苦情が来てるんだぞ!」

そう言われて言葉に詰まる。

確かにうるさいかもしれないけど、ここ派森の中だ。
少しオーバーだろう。

そして冒頭のセリフに戻る。

社畜時代の私なら叱られた事に肩を落とし、周りに迷惑をかけてことを恥、自分の失敗を悔いた。

しかしなぜだろう。

この姿の私は叱られてもあまり響かない。

無敵な女子高生のように、チェッと思うだけなのだ。

きっと精神面も若いのだろうな。

「それにね、君が焼いた森の一部は王宮管理の土地たからな! のんてことしてくれとんだ!」
「えっ、王宮管理!?」

そんなすごい土地が近くにあったなんて!

さすがにこれはまずいと平謝りする。

「申し訳ありません! もう二度と同じような過ちは犯しません!」

手慣れたお辞儀の仕方で陳謝するが、騎士男は非情なひと言を告げた。

「処分を言い渡すから王宮へ来るように!」
「えええーー!?」

待ってよ、そんなの酷くない!?
ちょっと焼いただけなのに! もしかして、王宮へいったら私処刑されちゃう?

どうしよう、魔法を使って逃げるか!?

私がさりげなく構えようとすると、フワッと身体が宙に浮いた。

「きゃぁぁ! 凄い、浮かんでる!!」
「何を喜んてるんだ!? 拘束されるよりいいだろう!」

そうか、浮かぶ魔法もあるのか!
今度試してみよう。瞬間移動とか透明人間とか出来るかな?
ああ~、家に帰ったら魔法書を片っ端から読もおっと。

フワフワ浮かびながらひとり楽しそうな声を漏らすと、騎士男がキッと睨んだのだった。


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