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炎の凪唄
幻魔大公
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「ぴょ~~んっ!!」
兎の上り坂を超えた、兎の大跳躍。
そのまま飛び込まれると、怪我をするので、長椅子から立ち上がる。
テーブルの前まで。
下がりながら、ネーラを抱き留め、勢いを殺すために回転。
ぐるんぐるんと二回転してから、元通り、アルの隣に座る。
人猫と犬人は、若干驚いているが、毎度のことなのか、絶雄は平然としている。
「ぴぃよぉ~~ん、ぴぃよぉ~~ん」
ご無沙汰だった所為か、撫でてもいないのに、ネーラは、気持ちよさそうに声を上げる。
全精神力を注ぎ込み、勝手に動き出そうとする腕を止める。
「ラクンちゃんっ、ラクンちゃんっ、撫でたいのならね、素直に撫でればいいんだよ~?」
撫でたい。
撫で回したい。
もふもふに埋まりたい。
本音が出たが、両手がプルプルしているが、そんなわけにはいかない。
勝手に団を抜けておきながら、育ての親に甘えるなど、男の矜持が許さない。
「幼年期の兎族をこますなんて、さすが『幼女殺し』ね」
「犯罪。不謹慎。不潔」
二人の言葉を聞いた、その瞬間、ネーラは、半回転した。
理性が、やばい。
真ん丸の、真っ白白な尻尾が、目の前にーー。
「なにもかくさないっ!」
跳び上がり、どばんっ、と手足を広げる兎人。
俺の腿の上に着地すると、場所が不安定な所為か、いつものポーズではなく、左手は腰に、左の人差し指は天を指し示し、得意満面のポーズを決める。
「ネーラだよ?」
うっかり、ネーラの策略に嵌まってしまう。
足を滑らせた、兎を、後ろから抱き留め、お腹に手を回してしまった。
「んっふっふ~、あのねっ、あのねっ、ラクンちゃんの初恋はね、ネーラなんだよ~」
尻尾の感触に、魂が喜んでしまったため、反応が遅れてしまった。
これ見よがしに。
アルの後ろに立っている、二人が、俺を指差し、ひそひそ話をしている。
こういう場合、否定すれば否定するだけ、深みに嵌まってしまうものだ。
何より、ネーラの言ったことは、事実なので、ネーラのお嫁さんになるーーなどの、過去の恥辱が赤裸々に語られてしまう前に。
扉から、最後に入ってきた男に、ネーラの関心を向けさせることにする。
「ボルネア、オルタンス、勘違いするな。ネーラは、俺の育ての親のようなもので、幼年期どころか青年期、もうすぐ壮年期の兎人だ」
「そうっ、そうっ、そうなんだよ~。壮年期になったらね、ぼんっ、きゅっ、ぼ~んっ、の悩殺兎になるんだよ~。ウーリちゃんをね、誘惑しまくるんだよ~」
ーー姿形はそのままに、見た目だけ老ける。
夢や希望を抱いている、大切な兎でもあるネーラに、現実を突きつけるのは、あまりに惨いので、言葉にするのは控えておく。
兎人が、人兎のように成長することは、殆どない。
それから、なるべく視界に入れないようにする。
ネーラの、懸想している相手であり、俺の親父である、ウーリ・ノウ名誉伯。
「若っ!」
と、副団長の、アンリさんが 俺に気づき、声を上げる。
興行主に挨拶に行くときには、この三人と、相場が決まっている。
ネーラは、こう見えても事務方のトップで、実際に有能なのだから兎族は侮れない。
ーー時間の問題ね。
勘違いしていた。
ルススさんが言っていたのは、幻想団のーー三人のことだったのだ。
こうして、鉢合わせしてしまうのだから、彼女は、やっぱり途轍もない。
「ウーリよ。先に、そちらの問題を、済ませてしまうが良い」
「カステル様。それでは、失礼いたします」
団員の前だからか、王様然とした絶雄と、こちらも普段とは異なり、畏まった親父。
一礼した、親父がーー俺と血がつながっているとは思えないくらい、ガタイの良い、男臭い髭面が、ーー俺の前を素通りする。
「幻想団の団長、ウーリ・ノウです。不肖の息子が迷惑を掛けたようで、申し訳ない」
「ファリア家の嫡子で、ラクル・アル・ファリアーー子爵になります。迷惑などと、とんでもない。旅の間、とても楽しませてもらいました」
「ファリア家ーーというと、あの?」
「八年も前のことですから、お気遣い無用です。祖父の力で、すでに失地は回復しております。『見聞を広めよ』との祖父の勧めで、自由にさせてもらっています」
堅苦しい遣り取りが終わると、こちらを見ずに、親父が言う。
「帰るぞ、馬鹿息子。そこは、お前のような、半端者が座れるような場所ではない。身を弁えろ」
「ーーっ!」
一瞬で、滾った。
何一つ、変わっていない、親父。
何者でもなかった、空白の、ーー終ぞ、届かなかった、衝動が溢れ出しそうにーー。
ーーアルが、見ている。
たった、それだけで。
ーーそれでは、駄目なのだ。
ただ、反発するだけでは、これまでと変わらない。
同じなら。
団を飛び出してから、これまで、何もなかったということになってしまう。
あの、日々を、無駄にしてしまうことになる。
「親父。報告もせず、団を飛び出したことは、謝る。だが、俺は、まだ、団に戻るつもりはない」
「半端者に、いつまでも、席があるとでも思っているのか」
「席がないのなら、自分で作る。ーーあのまま、団に留まっていれば、それは敵わない。親父の言うように、俺は、半端者だ。それは、旅をしたところで、変わらない。それでも、俺は今、やっと、生きている、という実感を持つことができている。望んだ、この道を歩くことが、俺自身のためになると、ーー信じている」
初めてーー。
正面から、親父と向き合ったのかもしれない。
ーー母さんのことを知ってから、拗らせてしまった、俺のーー。
「がっはっはっはっ、ウーリよ、お主の負けだ。大人しく、座るが良い」
「カステル様……」
反論せず、親父は、一人掛けソファに、仏頂面で座る。
視線で促された、アンリさんが、反対側の席に座る。
絶雄の右腕である、熊人のティソが扉を閉め、絶雄に侍る。
どうやら、見透かされているようだ。
俺たちが、戻ってきた理由。
切り出そうとしたところで、絶雄に、先手を打たれる。
「ウーリ。そちらの、アルだが。ーー如何に見る?」
「過大にも、『魔雄の再来』などと称えられていますが、その二つ名は、彼にこそ相応しいものであると、確信いたしました。ファリア殿の前に立ったとき、ーー初めてカステル様と相対したときと、同様の戦慄が走りました」
こればかりは、認めないといけない。
俺がアルと逢ったとき、そこまでのものは、感じなかった。
幻想側であることは、わかっていたが、アルの正体を知るまで、本質を見抜くことは敵わなかった。
「さすがは、ウーリだ。アルは、魔力を失っているというのに、そこまで見抜くとはな」
応接室に入ってから、すぐに三人がやってきたので、まだアルのことは話していなかったのだが、絶雄なら気づいて当然。
そのことで、絶雄から嫌味を言われるくらいのことは、覚悟していたが、俺はまだ、絶雄という男のことを、甘く見ていたようだ。
魔法を、魔力を失ったくらいで、アルが、変わるわけがない。
ーー絶対の信頼。
揺るがない意思が、絶雄を絶雄たらしめている。
「そこのアルは、何を隠そうーー」
「ふゆんっ、ふゆんっ、ふゆんっ、ふゆ~んっ」
ーー仕舞った。
見ると、限界を迎えていた、俺の手が、無意識のうちに、ネーラを撫でていた。
態とではない、と言っても、信じてもらえないだろう。
絶雄の、ジト目。
血はつながっていなくても、やはり親子なのか、ボルネアとオルタンスの眼差しに、そっくりだ。
思い切り、絶雄の、打ち明け話の腰を折ってしまった。
「ラクンはな、ウーリと違い、煮込みの極めつけを完食しよったぞ」
「さすがは若! 一口で腹を壊した団長とは、物が違います!」
腹癒せに、懐かしい話を暴露する、大人げない絶雄。
呼応し、こちらも暴露話を披露する副団長。
どういうわけか、アンリさんは、俺を大いに買い被っているので、彼のことは、少しだけ、苦手だ。
好い人、というか、好い人すぎるのだが、彼は、あのルススさんの夫だ。
彼女の、愛、を受け止められる男なのだから、用心するに如くはない。
「ふゆゆんっ、ふゆゆんっ、ふゆゆんっゆ~んっ」
止まらない、止められない、俺の手。
ご機嫌な、ネーラ。
視線を逸らす、親父。
「ラクンちゃんがね、魔雄様だったんだよ~?」
「違うぞ、ネーラ。確かに、ツヴィングリを完食したのは、俺だが、俺は『偽魔雄』だ。本物の『魔雄様』は、こっちだ」
絶雄の楽しみを奪ってやる。
もう、グダグダだから、さっさと種明かしをする。
「実はねっ、実はねっ、あたしは、アルちゃんがね、ちょっとだけ怖いんだよ~」
「珍しいな。ネーラが誰かを怖がるなんて」
ネーラは、「なにもかくさない」ので、嫌いな者は、嫌い、とはっきり言う。
楽観的なようで、実は豪胆でもある、彼女の口から、怖い、という言葉が出てきたことに、驚きを禁じ得ない。
兎族は、気配に敏感だと言われているから、魔雄の底知れない、何かを、感じ取っているのかもしれない。
「はは、懐かしいですね。兎族の、保護国を造っているときも、可愛い兎さんたちから、微妙に距離を置かれてしまいました」
「がっかっかっかっ、アルが撫でられる兎族は、サッソだけだったからな」
「サッソの、娘さんに拒まれたときに、色々と諦めがつきました」
絶雄と魔雄、二人の会話で、半信半疑だった、ネーラとアンリさんも、納得の表情を見せる。
「あのねっ、あのねっ、聞きたいことがあったんだよ~。サッソ様はね、カステル様と魔雄様が造ってくれた、兎国の話に出てこないんだよ~。兎国の王様はね、違う人だったし、お爺ちゃんお父さんもね、知らないみたいだったんだよ~」
俺に背中を預け、ばっさばっさと短い両手を振る。
言われてみれば、そうだ。
兎国の話なのに、兎族の英雄であるはずの、爆雄が係わっていないのは、不自然。
ネーラの疑問に、絶雄とアルが顔を見合わせると、魔雄は、にたり、と笑った。
絶雄が、びくっと体を震わせる。
今回は、俺とは関係ないようなので、観客として楽しませてもらうことにする。
「カステル。これから、四英雄の話をしようと思います。そして、その後に、カステルが凹む話をします。千三百年、生きてきた、カステルが、最も凹むことになるかもしれませんが、ーー聞きますか?」
話をするのは、確定のようだ。
絶雄の答えがわかっていて尚、聞くのだから、本当にアルは、意地悪だ。
「……皆のことだ。聞かない、などということを、わしが選べるはずもなかろう」
アルの言い様から、隠された世界の秘密、といった類のものではないようだ。
だが、絶雄にとっては、それに匹敵する話なのだろう。
ーー魔雄ハビヒ・ツブルクが、墓場まで持っていった、話。
不謹慎だが、他人事なので、少しだけ楽しみにしていると。
「その前に。ーーカステル。ラクンさんの称号は、何にしますか?」
油断していた、俺は、話についていくことができなかった。
意地悪の本質を、見誤っていたことを、俺は悔い、平和の神に祈った。
「そうだな。『幻魔公』が良いと思うが、どうだ?」
「素晴らしい!」
アンリさんが、賛同するも、ネーラが異論を唱える。
「む~ん? ちょっとね、語呂が悪い感じがするんだよ~。心象がし難いからね、『幻魔大公』がいいんだよ~」
「……何の、話だ?」
まだ頭が混乱し、話の全容がわかっていないが、このまま流してしまうと、あとで、きっと、酷いことになる。
「何、と言われましても。カステルが勝手に贈る、称号の話です。ウーリさんの、名誉伯、と同じものです。心配せずとも、カステルが勝手に言っているだけのことですから、あって、ないようなものです。『幻魔大公』を僕は推しますが、二人はどうしますか?」
アルに振られた、二人が答える。
「『幻嗅公』を、推しますわ」
「『幻滅公』が、ラクンに、お似合い」
それはそれで、嫌だ。
どちらにせよ、勝手に贈る、で済む話ではない。
絶雄の影響力は、大陸ーーどころか、世界に及ぶ。
「ぐっ……」
対抗策が思いつかない内に、更に話が進んでしまう。
「ラクンと行動するのは、アルだからな。ここは、アルの意見を尊重しよう」
「そっ、そんな!」
アンリさんは、身を乗り出し、絶雄に翻意を迫る。
頼れる者はいないかと、見回すと。
諦めましょう、とばかりに、ティソが毛むくじゃらの頭を左右に振った。
絶体絶命。
ネーラを撫でる手も、止まってしまった、そんな、末期的な状況に、光が差した。
「カステル様。ーーさすがに、冗談が過ぎます」
生まれて初めて親父を応援した。
子供の頃の、憧れていた、親父の背中を幻視しそうになるが、再び、もふもふを堪能。
ネーラの感触で吹き飛ばす。
「ふゆっ、ふゆっ、ふゆっ、ふゆ~っ」
緊迫した場面に、ネーラの気の抜けた、やわらかな声が室内に響き渡るが、背景音楽のように、誰も気にしなくなってしまった。
「そのように、怖い顔をするでない。ラクンの称号は、ここだけの話だ。それを使うかどうかは、ラクン次第。それに、意味もなく、称号を贈るのではない。ラクンは、人種を、すべてのアオスタを救ったのだ。ウーリよ、お主も、命を救われた者の、一人だ」
どうしよう。
絶雄が、「魔雄の遺産」の経緯を知っていたことに、驚いている場合ではない。
今は、「嘘は言わない」の状況だ。
そのまま「すべてを言わない」のままにしてしまうと、後々、取り返しのつかない事態に発展するかもしれない。
だが、アルの悪事に加担してしまった手前、積極的には、否定しづらい。
「あっ、もしかしてね、『魔雄の遺産』のことなんだよ~?」
「ネーラまで、知っているのか?」
と、そこで思い出した。
ーー可愛い、兎さん。
ベルニナが、俺に向けた、言葉。
「魔雄の遺産」のことまで聞き出していたとなると、思った以上に、深く係わっていたのかもしれない。
「綺麗なね、貴族のお嬢さんと、お近づきになったんだよ~」
「……綺麗?」
思い返してみると。
確かに、顔の造形は、美人の範疇にあったと思う。
薄汚れておらず、臭いもせず、髪も通常の状態なら、ーーベルニナの容姿に囚われ、彼女の内面の輝きを見逃していたかもしれない。
色々と、釈明というか訂正をしたいところだが、今は、諦める。
ベルニナのことを思い出し、悠長に話している時間などないと、絶雄をせっつこうとしたら、いったいどこまで知っているのか、またもや先手を打たれてしまった。
「外交特権で、良いか?」
「畏まりました。すぐに準備いたしましょう」
絶雄とティソの間で、不穏な会話が交わされる。
ーー頼られるのが好き。
アルが、そう言っていたが、これはもう、権力の私物化だ。
「アル。頼む」
ーー絶雄様がやりすぎないように、アルが止めてくれ。
事前に頼んでいた通り、アルにお願いしたが、ーー俺は、全力で間違えたかもしれない。
こんな、面白おかしな状況。
便乗すること、請け合い。
「カステル。他に、顧問なんて、どうでしょう」
「ふむ。それは名案だ。わしの戦略顧問として、雇い入れるとしよう。さすれば、『千眼』などという誤った評価を、正せるやもしれん」
ーー二人は、俺を苛めて楽しんでいるだけだ。
そう信じたいところだが、絶雄と魔雄の目が、本気以外の何物でもない。
「……ネーラ。助けてくれ」
畢竟するに、最後に縋れるのは、ネーラだけだった。
嘘ではない。
だが、そこまで期待してのことではないので、駄目元で頼んでみる。
俺の手から逃れると、ネーラは、すちゃっと立ち上がり、二人を叱った。
「カステル! ハビヒ!」
「ひぃっ!」
「はいっ!」
絶雄は、頭を抱え、アルは、背筋を伸ばした。
「ラクンちゃんを苛めると! 兎さんは許しませんよ!!」
両手を腰に、えっへん、なネーラ。
「…………」
「…………」
固まってしまった、四英雄の、二人。
鼻息荒く、大威張りの、兎人。
恐らく、爆雄を彷彿とさせるような言行を、ネーラが取ったのだろうが、何とも異質な光景だ。
これ以上、ネーラが暴走しない内に、絶雄に尋ねることにする。
「ところで、絶雄様は、何でそこまで怯えているんだ?」
「……怯えてなどおらん」
子供のように強がる、最強存在。
「実は、後で話すと言っていた、カステルが凹む話は、そこにつながっているんです」
アルは、ネーラを気にしながら、低姿勢で話す。
「アル。爆雄とネーラは、似ているのか?」
以前も、似たようなことを考えたことがあったので、試みに聞いてみる。
「いえ、まったく。ただ、可愛い兎さんに叱られると、体が勝手に反応してしまうというか、条件反射のようなものです」
あとで四英雄について話すようだし、これ以上は突っ込まないほうが良いだろう。
「ラクンちゃんはね、ネーラを褒めまくるんだよ~」
それは、次に逢ったときに取っておくとして、今は、「撫師」の本領発揮。
「使者、じゃなくて、親書、でもやりすぎかーー」
「助力を仰げる程度の、カステル様の手紙を用意いたしましょう」
限られた時間の中で、ベルニナを捜すためには、絶雄を恃む以外に、思いつかない。
俺たちの事情を勘案した上での、適切な提案に、俺は、二つの意味で、頭を下げた。
「すまない。ティソさん、頼む」
俺の我が儘で、手間を掛けさせてしまうのが、一つ。
もう一つは、アルの話。
四英雄の、就中、絶雄の話が聞けなくなってしまうことを、心から謝罪する。
「心得ました。では、用意して参ります」
絶雄を慕っている、熊人は、残念さを噯にも出さず、扉から出て行ったのだった。
兎の上り坂を超えた、兎の大跳躍。
そのまま飛び込まれると、怪我をするので、長椅子から立ち上がる。
テーブルの前まで。
下がりながら、ネーラを抱き留め、勢いを殺すために回転。
ぐるんぐるんと二回転してから、元通り、アルの隣に座る。
人猫と犬人は、若干驚いているが、毎度のことなのか、絶雄は平然としている。
「ぴぃよぉ~~ん、ぴぃよぉ~~ん」
ご無沙汰だった所為か、撫でてもいないのに、ネーラは、気持ちよさそうに声を上げる。
全精神力を注ぎ込み、勝手に動き出そうとする腕を止める。
「ラクンちゃんっ、ラクンちゃんっ、撫でたいのならね、素直に撫でればいいんだよ~?」
撫でたい。
撫で回したい。
もふもふに埋まりたい。
本音が出たが、両手がプルプルしているが、そんなわけにはいかない。
勝手に団を抜けておきながら、育ての親に甘えるなど、男の矜持が許さない。
「幼年期の兎族をこますなんて、さすが『幼女殺し』ね」
「犯罪。不謹慎。不潔」
二人の言葉を聞いた、その瞬間、ネーラは、半回転した。
理性が、やばい。
真ん丸の、真っ白白な尻尾が、目の前にーー。
「なにもかくさないっ!」
跳び上がり、どばんっ、と手足を広げる兎人。
俺の腿の上に着地すると、場所が不安定な所為か、いつものポーズではなく、左手は腰に、左の人差し指は天を指し示し、得意満面のポーズを決める。
「ネーラだよ?」
うっかり、ネーラの策略に嵌まってしまう。
足を滑らせた、兎を、後ろから抱き留め、お腹に手を回してしまった。
「んっふっふ~、あのねっ、あのねっ、ラクンちゃんの初恋はね、ネーラなんだよ~」
尻尾の感触に、魂が喜んでしまったため、反応が遅れてしまった。
これ見よがしに。
アルの後ろに立っている、二人が、俺を指差し、ひそひそ話をしている。
こういう場合、否定すれば否定するだけ、深みに嵌まってしまうものだ。
何より、ネーラの言ったことは、事実なので、ネーラのお嫁さんになるーーなどの、過去の恥辱が赤裸々に語られてしまう前に。
扉から、最後に入ってきた男に、ネーラの関心を向けさせることにする。
「ボルネア、オルタンス、勘違いするな。ネーラは、俺の育ての親のようなもので、幼年期どころか青年期、もうすぐ壮年期の兎人だ」
「そうっ、そうっ、そうなんだよ~。壮年期になったらね、ぼんっ、きゅっ、ぼ~んっ、の悩殺兎になるんだよ~。ウーリちゃんをね、誘惑しまくるんだよ~」
ーー姿形はそのままに、見た目だけ老ける。
夢や希望を抱いている、大切な兎でもあるネーラに、現実を突きつけるのは、あまりに惨いので、言葉にするのは控えておく。
兎人が、人兎のように成長することは、殆どない。
それから、なるべく視界に入れないようにする。
ネーラの、懸想している相手であり、俺の親父である、ウーリ・ノウ名誉伯。
「若っ!」
と、副団長の、アンリさんが 俺に気づき、声を上げる。
興行主に挨拶に行くときには、この三人と、相場が決まっている。
ネーラは、こう見えても事務方のトップで、実際に有能なのだから兎族は侮れない。
ーー時間の問題ね。
勘違いしていた。
ルススさんが言っていたのは、幻想団のーー三人のことだったのだ。
こうして、鉢合わせしてしまうのだから、彼女は、やっぱり途轍もない。
「ウーリよ。先に、そちらの問題を、済ませてしまうが良い」
「カステル様。それでは、失礼いたします」
団員の前だからか、王様然とした絶雄と、こちらも普段とは異なり、畏まった親父。
一礼した、親父がーー俺と血がつながっているとは思えないくらい、ガタイの良い、男臭い髭面が、ーー俺の前を素通りする。
「幻想団の団長、ウーリ・ノウです。不肖の息子が迷惑を掛けたようで、申し訳ない」
「ファリア家の嫡子で、ラクル・アル・ファリアーー子爵になります。迷惑などと、とんでもない。旅の間、とても楽しませてもらいました」
「ファリア家ーーというと、あの?」
「八年も前のことですから、お気遣い無用です。祖父の力で、すでに失地は回復しております。『見聞を広めよ』との祖父の勧めで、自由にさせてもらっています」
堅苦しい遣り取りが終わると、こちらを見ずに、親父が言う。
「帰るぞ、馬鹿息子。そこは、お前のような、半端者が座れるような場所ではない。身を弁えろ」
「ーーっ!」
一瞬で、滾った。
何一つ、変わっていない、親父。
何者でもなかった、空白の、ーー終ぞ、届かなかった、衝動が溢れ出しそうにーー。
ーーアルが、見ている。
たった、それだけで。
ーーそれでは、駄目なのだ。
ただ、反発するだけでは、これまでと変わらない。
同じなら。
団を飛び出してから、これまで、何もなかったということになってしまう。
あの、日々を、無駄にしてしまうことになる。
「親父。報告もせず、団を飛び出したことは、謝る。だが、俺は、まだ、団に戻るつもりはない」
「半端者に、いつまでも、席があるとでも思っているのか」
「席がないのなら、自分で作る。ーーあのまま、団に留まっていれば、それは敵わない。親父の言うように、俺は、半端者だ。それは、旅をしたところで、変わらない。それでも、俺は今、やっと、生きている、という実感を持つことができている。望んだ、この道を歩くことが、俺自身のためになると、ーー信じている」
初めてーー。
正面から、親父と向き合ったのかもしれない。
ーー母さんのことを知ってから、拗らせてしまった、俺のーー。
「がっはっはっはっ、ウーリよ、お主の負けだ。大人しく、座るが良い」
「カステル様……」
反論せず、親父は、一人掛けソファに、仏頂面で座る。
視線で促された、アンリさんが、反対側の席に座る。
絶雄の右腕である、熊人のティソが扉を閉め、絶雄に侍る。
どうやら、見透かされているようだ。
俺たちが、戻ってきた理由。
切り出そうとしたところで、絶雄に、先手を打たれる。
「ウーリ。そちらの、アルだが。ーー如何に見る?」
「過大にも、『魔雄の再来』などと称えられていますが、その二つ名は、彼にこそ相応しいものであると、確信いたしました。ファリア殿の前に立ったとき、ーー初めてカステル様と相対したときと、同様の戦慄が走りました」
こればかりは、認めないといけない。
俺がアルと逢ったとき、そこまでのものは、感じなかった。
幻想側であることは、わかっていたが、アルの正体を知るまで、本質を見抜くことは敵わなかった。
「さすがは、ウーリだ。アルは、魔力を失っているというのに、そこまで見抜くとはな」
応接室に入ってから、すぐに三人がやってきたので、まだアルのことは話していなかったのだが、絶雄なら気づいて当然。
そのことで、絶雄から嫌味を言われるくらいのことは、覚悟していたが、俺はまだ、絶雄という男のことを、甘く見ていたようだ。
魔法を、魔力を失ったくらいで、アルが、変わるわけがない。
ーー絶対の信頼。
揺るがない意思が、絶雄を絶雄たらしめている。
「そこのアルは、何を隠そうーー」
「ふゆんっ、ふゆんっ、ふゆんっ、ふゆ~んっ」
ーー仕舞った。
見ると、限界を迎えていた、俺の手が、無意識のうちに、ネーラを撫でていた。
態とではない、と言っても、信じてもらえないだろう。
絶雄の、ジト目。
血はつながっていなくても、やはり親子なのか、ボルネアとオルタンスの眼差しに、そっくりだ。
思い切り、絶雄の、打ち明け話の腰を折ってしまった。
「ラクンはな、ウーリと違い、煮込みの極めつけを完食しよったぞ」
「さすがは若! 一口で腹を壊した団長とは、物が違います!」
腹癒せに、懐かしい話を暴露する、大人げない絶雄。
呼応し、こちらも暴露話を披露する副団長。
どういうわけか、アンリさんは、俺を大いに買い被っているので、彼のことは、少しだけ、苦手だ。
好い人、というか、好い人すぎるのだが、彼は、あのルススさんの夫だ。
彼女の、愛、を受け止められる男なのだから、用心するに如くはない。
「ふゆゆんっ、ふゆゆんっ、ふゆゆんっゆ~んっ」
止まらない、止められない、俺の手。
ご機嫌な、ネーラ。
視線を逸らす、親父。
「ラクンちゃんがね、魔雄様だったんだよ~?」
「違うぞ、ネーラ。確かに、ツヴィングリを完食したのは、俺だが、俺は『偽魔雄』だ。本物の『魔雄様』は、こっちだ」
絶雄の楽しみを奪ってやる。
もう、グダグダだから、さっさと種明かしをする。
「実はねっ、実はねっ、あたしは、アルちゃんがね、ちょっとだけ怖いんだよ~」
「珍しいな。ネーラが誰かを怖がるなんて」
ネーラは、「なにもかくさない」ので、嫌いな者は、嫌い、とはっきり言う。
楽観的なようで、実は豪胆でもある、彼女の口から、怖い、という言葉が出てきたことに、驚きを禁じ得ない。
兎族は、気配に敏感だと言われているから、魔雄の底知れない、何かを、感じ取っているのかもしれない。
「はは、懐かしいですね。兎族の、保護国を造っているときも、可愛い兎さんたちから、微妙に距離を置かれてしまいました」
「がっかっかっかっ、アルが撫でられる兎族は、サッソだけだったからな」
「サッソの、娘さんに拒まれたときに、色々と諦めがつきました」
絶雄と魔雄、二人の会話で、半信半疑だった、ネーラとアンリさんも、納得の表情を見せる。
「あのねっ、あのねっ、聞きたいことがあったんだよ~。サッソ様はね、カステル様と魔雄様が造ってくれた、兎国の話に出てこないんだよ~。兎国の王様はね、違う人だったし、お爺ちゃんお父さんもね、知らないみたいだったんだよ~」
俺に背中を預け、ばっさばっさと短い両手を振る。
言われてみれば、そうだ。
兎国の話なのに、兎族の英雄であるはずの、爆雄が係わっていないのは、不自然。
ネーラの疑問に、絶雄とアルが顔を見合わせると、魔雄は、にたり、と笑った。
絶雄が、びくっと体を震わせる。
今回は、俺とは関係ないようなので、観客として楽しませてもらうことにする。
「カステル。これから、四英雄の話をしようと思います。そして、その後に、カステルが凹む話をします。千三百年、生きてきた、カステルが、最も凹むことになるかもしれませんが、ーー聞きますか?」
話をするのは、確定のようだ。
絶雄の答えがわかっていて尚、聞くのだから、本当にアルは、意地悪だ。
「……皆のことだ。聞かない、などということを、わしが選べるはずもなかろう」
アルの言い様から、隠された世界の秘密、といった類のものではないようだ。
だが、絶雄にとっては、それに匹敵する話なのだろう。
ーー魔雄ハビヒ・ツブルクが、墓場まで持っていった、話。
不謹慎だが、他人事なので、少しだけ楽しみにしていると。
「その前に。ーーカステル。ラクンさんの称号は、何にしますか?」
油断していた、俺は、話についていくことができなかった。
意地悪の本質を、見誤っていたことを、俺は悔い、平和の神に祈った。
「そうだな。『幻魔公』が良いと思うが、どうだ?」
「素晴らしい!」
アンリさんが、賛同するも、ネーラが異論を唱える。
「む~ん? ちょっとね、語呂が悪い感じがするんだよ~。心象がし難いからね、『幻魔大公』がいいんだよ~」
「……何の、話だ?」
まだ頭が混乱し、話の全容がわかっていないが、このまま流してしまうと、あとで、きっと、酷いことになる。
「何、と言われましても。カステルが勝手に贈る、称号の話です。ウーリさんの、名誉伯、と同じものです。心配せずとも、カステルが勝手に言っているだけのことですから、あって、ないようなものです。『幻魔大公』を僕は推しますが、二人はどうしますか?」
アルに振られた、二人が答える。
「『幻嗅公』を、推しますわ」
「『幻滅公』が、ラクンに、お似合い」
それはそれで、嫌だ。
どちらにせよ、勝手に贈る、で済む話ではない。
絶雄の影響力は、大陸ーーどころか、世界に及ぶ。
「ぐっ……」
対抗策が思いつかない内に、更に話が進んでしまう。
「ラクンと行動するのは、アルだからな。ここは、アルの意見を尊重しよう」
「そっ、そんな!」
アンリさんは、身を乗り出し、絶雄に翻意を迫る。
頼れる者はいないかと、見回すと。
諦めましょう、とばかりに、ティソが毛むくじゃらの頭を左右に振った。
絶体絶命。
ネーラを撫でる手も、止まってしまった、そんな、末期的な状況に、光が差した。
「カステル様。ーーさすがに、冗談が過ぎます」
生まれて初めて親父を応援した。
子供の頃の、憧れていた、親父の背中を幻視しそうになるが、再び、もふもふを堪能。
ネーラの感触で吹き飛ばす。
「ふゆっ、ふゆっ、ふゆっ、ふゆ~っ」
緊迫した場面に、ネーラの気の抜けた、やわらかな声が室内に響き渡るが、背景音楽のように、誰も気にしなくなってしまった。
「そのように、怖い顔をするでない。ラクンの称号は、ここだけの話だ。それを使うかどうかは、ラクン次第。それに、意味もなく、称号を贈るのではない。ラクンは、人種を、すべてのアオスタを救ったのだ。ウーリよ、お主も、命を救われた者の、一人だ」
どうしよう。
絶雄が、「魔雄の遺産」の経緯を知っていたことに、驚いている場合ではない。
今は、「嘘は言わない」の状況だ。
そのまま「すべてを言わない」のままにしてしまうと、後々、取り返しのつかない事態に発展するかもしれない。
だが、アルの悪事に加担してしまった手前、積極的には、否定しづらい。
「あっ、もしかしてね、『魔雄の遺産』のことなんだよ~?」
「ネーラまで、知っているのか?」
と、そこで思い出した。
ーー可愛い、兎さん。
ベルニナが、俺に向けた、言葉。
「魔雄の遺産」のことまで聞き出していたとなると、思った以上に、深く係わっていたのかもしれない。
「綺麗なね、貴族のお嬢さんと、お近づきになったんだよ~」
「……綺麗?」
思い返してみると。
確かに、顔の造形は、美人の範疇にあったと思う。
薄汚れておらず、臭いもせず、髪も通常の状態なら、ーーベルニナの容姿に囚われ、彼女の内面の輝きを見逃していたかもしれない。
色々と、釈明というか訂正をしたいところだが、今は、諦める。
ベルニナのことを思い出し、悠長に話している時間などないと、絶雄をせっつこうとしたら、いったいどこまで知っているのか、またもや先手を打たれてしまった。
「外交特権で、良いか?」
「畏まりました。すぐに準備いたしましょう」
絶雄とティソの間で、不穏な会話が交わされる。
ーー頼られるのが好き。
アルが、そう言っていたが、これはもう、権力の私物化だ。
「アル。頼む」
ーー絶雄様がやりすぎないように、アルが止めてくれ。
事前に頼んでいた通り、アルにお願いしたが、ーー俺は、全力で間違えたかもしれない。
こんな、面白おかしな状況。
便乗すること、請け合い。
「カステル。他に、顧問なんて、どうでしょう」
「ふむ。それは名案だ。わしの戦略顧問として、雇い入れるとしよう。さすれば、『千眼』などという誤った評価を、正せるやもしれん」
ーー二人は、俺を苛めて楽しんでいるだけだ。
そう信じたいところだが、絶雄と魔雄の目が、本気以外の何物でもない。
「……ネーラ。助けてくれ」
畢竟するに、最後に縋れるのは、ネーラだけだった。
嘘ではない。
だが、そこまで期待してのことではないので、駄目元で頼んでみる。
俺の手から逃れると、ネーラは、すちゃっと立ち上がり、二人を叱った。
「カステル! ハビヒ!」
「ひぃっ!」
「はいっ!」
絶雄は、頭を抱え、アルは、背筋を伸ばした。
「ラクンちゃんを苛めると! 兎さんは許しませんよ!!」
両手を腰に、えっへん、なネーラ。
「…………」
「…………」
固まってしまった、四英雄の、二人。
鼻息荒く、大威張りの、兎人。
恐らく、爆雄を彷彿とさせるような言行を、ネーラが取ったのだろうが、何とも異質な光景だ。
これ以上、ネーラが暴走しない内に、絶雄に尋ねることにする。
「ところで、絶雄様は、何でそこまで怯えているんだ?」
「……怯えてなどおらん」
子供のように強がる、最強存在。
「実は、後で話すと言っていた、カステルが凹む話は、そこにつながっているんです」
アルは、ネーラを気にしながら、低姿勢で話す。
「アル。爆雄とネーラは、似ているのか?」
以前も、似たようなことを考えたことがあったので、試みに聞いてみる。
「いえ、まったく。ただ、可愛い兎さんに叱られると、体が勝手に反応してしまうというか、条件反射のようなものです」
あとで四英雄について話すようだし、これ以上は突っ込まないほうが良いだろう。
「ラクンちゃんはね、ネーラを褒めまくるんだよ~」
それは、次に逢ったときに取っておくとして、今は、「撫師」の本領発揮。
「使者、じゃなくて、親書、でもやりすぎかーー」
「助力を仰げる程度の、カステル様の手紙を用意いたしましょう」
限られた時間の中で、ベルニナを捜すためには、絶雄を恃む以外に、思いつかない。
俺たちの事情を勘案した上での、適切な提案に、俺は、二つの意味で、頭を下げた。
「すまない。ティソさん、頼む」
俺の我が儘で、手間を掛けさせてしまうのが、一つ。
もう一つは、アルの話。
四英雄の、就中、絶雄の話が聞けなくなってしまうことを、心から謝罪する。
「心得ました。では、用意して参ります」
絶雄を慕っている、熊人は、残念さを噯にも出さず、扉から出て行ったのだった。
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