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学園生活
教室 敗北、そして挑戦
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地竜組の教室。
「聖活動」の時間です。
「聖語研究会」ーー略して「聖研」。
クロウが立ち上げ、地竜組の上位5人が所属しました。
ディズルは試験でトップを取るつもりでした。
僅差で負けた、フィフェス。
そして。
大差で負けてしまった、クロウ。
あとでリフと同点だったことを知って、冷や汗を掻いてしまったことは秘密です。
そのリフから聞いた話ですが。
リフと同様に、あえて悪い点数を取った者が炎竜組に二人居るそうです。
そう、下手をすると、地竜組の最上位の班から溢れていたかもしれないのです。
「『結界』で重要なのは、この部分の『聖語』。ここから幾つか派生するのだが、『ちゆ』の『聖語』を含めることで、より柔軟に、威力を増すことができる」
今日もクロウは、「聖語」の技術を惜しげもなく皆に提供します。
思い知らされます。
「聖語」との向き合い方。
ディズルとは見えているものが、目指しているものが異なるのです。
クロウ・ダナ。
ダナ家の秘蔵っ子。
そんな風に噂されていた末っ子。
ディズルはクロウの二人の兄である「双才」ーー「二人の天才」に会ったことがありますが。
あの二人とは、根本的に何かが違っていました。
ーー魅力。
或いは、「聖語」へと注がれる眼差しでしょうか。
どうしようもなく引き込まれてしまうのです。
マホマール家の「後継者」として敗けるわけにはいかない。
そんな気概は、一日で崩れ去ってしまいました。
でも、不思議と、敗北したというのに悔しくなかったのです。
二日経ち、三日目の今日、ようやく理由がわかりました。
そうです。
ディズルは、クロウを認めたのです。
クロウという存在を。
認めた瞬間に、ディズルは自分の内側の欲求に気づきました。
「クロウ」
「どうかした、ディズル?」
「いや、少し、言っておきたいことがある。私はマホマール家の『後継者』だ。私とクロウ、どのような道を歩こうと、クロウとは友人でありたいと思っている。現時点ではクロウに届かないが、二学周期後にもそうだとは限らない。ーークロウとなら、今の膠着した『八創家』を、別の形で前に進ませることができるのではないかと思っている」
愚直で不器用なディズルは、正面から正直に自分の想いを伝えます。
自分にはクロウのような輝きはない。
そう自覚しているディズルの目標は、父親のマホマールでした。
でも今、別の道が見えたような気がしたのです。
差しだした手を。
少し照れながら、握り返してくるクロウ。
無骨で、詰まらない人間。
そんな自分を変えるのなら。
それは今ーーこの瞬間なのだと、ディズルは確信しました。
「ーーディズル。私も言っておきたい。恐らく、これから先、『聖語』がーー延いては『八創家』も変わってゆく。いいや、変わらずを得ない『時代』が遣って来る。『後継者』ではない私に、何ができるかはわからない。それでも、友人として、同じ場所を目指せればと願っている」
クロウの言葉。
父親の後ろ姿。
暗闇に向かい、歩き続けなければいけない「後継者」としての義務。
ディズルは。
否定することなく、すべてを呑み込みました。
クロウを追い越す。
それはディズルの目標になりました。
でも、駄目でした。
同時に、ディズルはクロウに憧れてしまったのです。
ーー完敗。
でも、だからこそ挑む価値があります。
「後継者」である自分は、「友人」など得られないとディズルは思っていました。
生意気で、いけ好かないリフと、二人で歩いてゆくものだと思っていました。
二人の、誓いの儀式とも言える握手に。
手を乗せてくる者がいました。
「こ~らこら、二人で盛り上がってねぇで俺も交ぜろな。『八創家』と違って、まともに『聖語』を学んでこなかったが、4位だった。俺はここから伸びまくりだ。まぁ、ディズル越えは確実として、クロウにだって敗けるつもりはねぇ」
長身のギル・バーンは、鋭い面差しに不敵な笑みを浮かべます。
「八創家」以外でのトップ。
ついでに、面の皮の厚さでもトップ。
ディズルは内心で、ギルを扱き下ろしました。
確実に、実直なディズルとは反りが合わない手合いです。
でも、認めないわけにはいきません。
『聖語』の才能と、野蛮さーーと切って捨てたいところですが、ギルは「聖士」になれる資質を具えています。
仲良くはなれない相手ですが、リフと同じく、蹴落とすのに相応しい「敵」と言えるでしょう。
「で。ファロは俺の相手になってくんねぇの?」
ギルは首を傾げ、ファロ・ファーヴニルを挑発します。
男子の平均より低い身長の、小太りの少年は、覇気のない緩んだ顔をギルに向けました。
「あー、僕は5位だったんだけど、……どうして5位だったんだろうなぁ。『聖語』は、二人の弟と同じくらいなのに」
愚痴めいた物言い。
ギル相手でもファロの態度はまったく変わっていません。
図太さではギルと良い勝負です。
ギルと違う意味で、こちらも苦手。
そんなことをディズルが考えていると、苦笑したクロウはファロの疑問に答えました。
「ファーヴニル様は、『応用』が得意だと父が言っていた。こんなことを言うのは気が引けるが、ーーたぶん、ファーヴニル様はファロの教育に失敗、ではなく、少し手こずったのだと思う。そして、その経験を活かし、二人の弟を育てた」
「えー? 今更そんなこと言われてもなぁ」
「はは、でもファロが自分で言っていた通り、5位になれる実力がある。ーー学園で学べば。弟たちより先行することになる。場合によっては、『後継者』になれるかもしれない」
「ん、ん~?」
クロウはファロを焚きつけてみましたが、反応は鈍いものでした。
長周期、弟たちと比べ続けられた末に植えつけられた無気力さは、如何ともしがたいようです。
そこで「配慮」や「遠慮」などといったものは、母親の胎内に置き忘れてきたギルは。
クロウが使うことのなかった劇薬をファロにぶっ刺すことにしました。
「ファロ、知ってるか? ルッシェルはな、『後継者』としか結婚しねぇんだとさ。現状、学園にいる『後継者』はディズルだけだが、俺が見たところ、相性はダメダメだな。俺は知らねぇけど、ルッシェルと同周期の『後継者』って、何人くらい居んだろぉなぁ?」
「っ!?」
まるで炎竜に息吹を浴びせられたかのように、色めき立つファロ。
本人は隠しているつもりだったのでしょうが。
バレバレです。
色恋沙汰には疎い、と自認しているディズルですら気づいたほどです。
ギルの見立てでは、ディズルとルッシェルの相性は良くないそうです。
そうなると、学園に在籍している「八創家」の女性は、あと一人ということになります。
フィフェス・ベルマ。
不機嫌そうな顔で、男子たちの遣り取りを見て、いえ、威嚇しています。
こう言っては失礼ですが。
ルッシェルと違い、安心感のある顔立ち。
笑ったら可愛い。
ディズルは、そんな風に思い、フィフェスに好感を抱いていました。
男子生徒に高圧的に接する、フィフェス。
ディズルは、それが演技であることを見抜いていました。
自分と同じように不器用。
恐らく、ベルマ家の事情が関係しているとディズルは推察しています。
「お嬢さんは加わんねぇの?」
「私と皆さんでは目的が異なります。ただ、学業の成績、ということでしたら負けるつもりはありません。ーークロウさん。次は負けません」
「あ、はい、お手柔らかに」
半笑いのクロウと、親の仇とばかりに彼を睨みつけるフィフェス。
残念なことに。
わかっていないのは本人ばかり。
こちらもフィロと同じく、バレバレでした。
そうであるのに、なぜか聡明なクロウは気づいていないのです。
気づきながら演技をしているーークロウがそのような人物でないことは。
短いつき合いですが、ディズルは理解しています。
始まる前に終わった恋。
母親と似た容姿のフィフェス。
良くも悪くも、ディズルの内で、一つの決着がつきました。
学園にいる間は、勉学に集中できる。
クロウとフィフェスを見ながら、ディズルはそう考えることにしたのでした。
「聖活動」の時間です。
「聖語研究会」ーー略して「聖研」。
クロウが立ち上げ、地竜組の上位5人が所属しました。
ディズルは試験でトップを取るつもりでした。
僅差で負けた、フィフェス。
そして。
大差で負けてしまった、クロウ。
あとでリフと同点だったことを知って、冷や汗を掻いてしまったことは秘密です。
そのリフから聞いた話ですが。
リフと同様に、あえて悪い点数を取った者が炎竜組に二人居るそうです。
そう、下手をすると、地竜組の最上位の班から溢れていたかもしれないのです。
「『結界』で重要なのは、この部分の『聖語』。ここから幾つか派生するのだが、『ちゆ』の『聖語』を含めることで、より柔軟に、威力を増すことができる」
今日もクロウは、「聖語」の技術を惜しげもなく皆に提供します。
思い知らされます。
「聖語」との向き合い方。
ディズルとは見えているものが、目指しているものが異なるのです。
クロウ・ダナ。
ダナ家の秘蔵っ子。
そんな風に噂されていた末っ子。
ディズルはクロウの二人の兄である「双才」ーー「二人の天才」に会ったことがありますが。
あの二人とは、根本的に何かが違っていました。
ーー魅力。
或いは、「聖語」へと注がれる眼差しでしょうか。
どうしようもなく引き込まれてしまうのです。
マホマール家の「後継者」として敗けるわけにはいかない。
そんな気概は、一日で崩れ去ってしまいました。
でも、不思議と、敗北したというのに悔しくなかったのです。
二日経ち、三日目の今日、ようやく理由がわかりました。
そうです。
ディズルは、クロウを認めたのです。
クロウという存在を。
認めた瞬間に、ディズルは自分の内側の欲求に気づきました。
「クロウ」
「どうかした、ディズル?」
「いや、少し、言っておきたいことがある。私はマホマール家の『後継者』だ。私とクロウ、どのような道を歩こうと、クロウとは友人でありたいと思っている。現時点ではクロウに届かないが、二学周期後にもそうだとは限らない。ーークロウとなら、今の膠着した『八創家』を、別の形で前に進ませることができるのではないかと思っている」
愚直で不器用なディズルは、正面から正直に自分の想いを伝えます。
自分にはクロウのような輝きはない。
そう自覚しているディズルの目標は、父親のマホマールでした。
でも今、別の道が見えたような気がしたのです。
差しだした手を。
少し照れながら、握り返してくるクロウ。
無骨で、詰まらない人間。
そんな自分を変えるのなら。
それは今ーーこの瞬間なのだと、ディズルは確信しました。
「ーーディズル。私も言っておきたい。恐らく、これから先、『聖語』がーー延いては『八創家』も変わってゆく。いいや、変わらずを得ない『時代』が遣って来る。『後継者』ではない私に、何ができるかはわからない。それでも、友人として、同じ場所を目指せればと願っている」
クロウの言葉。
父親の後ろ姿。
暗闇に向かい、歩き続けなければいけない「後継者」としての義務。
ディズルは。
否定することなく、すべてを呑み込みました。
クロウを追い越す。
それはディズルの目標になりました。
でも、駄目でした。
同時に、ディズルはクロウに憧れてしまったのです。
ーー完敗。
でも、だからこそ挑む価値があります。
「後継者」である自分は、「友人」など得られないとディズルは思っていました。
生意気で、いけ好かないリフと、二人で歩いてゆくものだと思っていました。
二人の、誓いの儀式とも言える握手に。
手を乗せてくる者がいました。
「こ~らこら、二人で盛り上がってねぇで俺も交ぜろな。『八創家』と違って、まともに『聖語』を学んでこなかったが、4位だった。俺はここから伸びまくりだ。まぁ、ディズル越えは確実として、クロウにだって敗けるつもりはねぇ」
長身のギル・バーンは、鋭い面差しに不敵な笑みを浮かべます。
「八創家」以外でのトップ。
ついでに、面の皮の厚さでもトップ。
ディズルは内心で、ギルを扱き下ろしました。
確実に、実直なディズルとは反りが合わない手合いです。
でも、認めないわけにはいきません。
『聖語』の才能と、野蛮さーーと切って捨てたいところですが、ギルは「聖士」になれる資質を具えています。
仲良くはなれない相手ですが、リフと同じく、蹴落とすのに相応しい「敵」と言えるでしょう。
「で。ファロは俺の相手になってくんねぇの?」
ギルは首を傾げ、ファロ・ファーヴニルを挑発します。
男子の平均より低い身長の、小太りの少年は、覇気のない緩んだ顔をギルに向けました。
「あー、僕は5位だったんだけど、……どうして5位だったんだろうなぁ。『聖語』は、二人の弟と同じくらいなのに」
愚痴めいた物言い。
ギル相手でもファロの態度はまったく変わっていません。
図太さではギルと良い勝負です。
ギルと違う意味で、こちらも苦手。
そんなことをディズルが考えていると、苦笑したクロウはファロの疑問に答えました。
「ファーヴニル様は、『応用』が得意だと父が言っていた。こんなことを言うのは気が引けるが、ーーたぶん、ファーヴニル様はファロの教育に失敗、ではなく、少し手こずったのだと思う。そして、その経験を活かし、二人の弟を育てた」
「えー? 今更そんなこと言われてもなぁ」
「はは、でもファロが自分で言っていた通り、5位になれる実力がある。ーー学園で学べば。弟たちより先行することになる。場合によっては、『後継者』になれるかもしれない」
「ん、ん~?」
クロウはファロを焚きつけてみましたが、反応は鈍いものでした。
長周期、弟たちと比べ続けられた末に植えつけられた無気力さは、如何ともしがたいようです。
そこで「配慮」や「遠慮」などといったものは、母親の胎内に置き忘れてきたギルは。
クロウが使うことのなかった劇薬をファロにぶっ刺すことにしました。
「ファロ、知ってるか? ルッシェルはな、『後継者』としか結婚しねぇんだとさ。現状、学園にいる『後継者』はディズルだけだが、俺が見たところ、相性はダメダメだな。俺は知らねぇけど、ルッシェルと同周期の『後継者』って、何人くらい居んだろぉなぁ?」
「っ!?」
まるで炎竜に息吹を浴びせられたかのように、色めき立つファロ。
本人は隠しているつもりだったのでしょうが。
バレバレです。
色恋沙汰には疎い、と自認しているディズルですら気づいたほどです。
ギルの見立てでは、ディズルとルッシェルの相性は良くないそうです。
そうなると、学園に在籍している「八創家」の女性は、あと一人ということになります。
フィフェス・ベルマ。
不機嫌そうな顔で、男子たちの遣り取りを見て、いえ、威嚇しています。
こう言っては失礼ですが。
ルッシェルと違い、安心感のある顔立ち。
笑ったら可愛い。
ディズルは、そんな風に思い、フィフェスに好感を抱いていました。
男子生徒に高圧的に接する、フィフェス。
ディズルは、それが演技であることを見抜いていました。
自分と同じように不器用。
恐らく、ベルマ家の事情が関係しているとディズルは推察しています。
「お嬢さんは加わんねぇの?」
「私と皆さんでは目的が異なります。ただ、学業の成績、ということでしたら負けるつもりはありません。ーークロウさん。次は負けません」
「あ、はい、お手柔らかに」
半笑いのクロウと、親の仇とばかりに彼を睨みつけるフィフェス。
残念なことに。
わかっていないのは本人ばかり。
こちらもフィロと同じく、バレバレでした。
そうであるのに、なぜか聡明なクロウは気づいていないのです。
気づきながら演技をしているーークロウがそのような人物でないことは。
短いつき合いですが、ディズルは理解しています。
始まる前に終わった恋。
母親と似た容姿のフィフェス。
良くも悪くも、ディズルの内で、一つの決着がつきました。
学園にいる間は、勉学に集中できる。
クロウとフィフェスを見ながら、ディズルはそう考えることにしたのでした。
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