あの、めんどくさいんで隠居してもいいですか？( ´_ゝ`) ？～麗しの姫と怠惰な従者～

第6話 姫様の侍女

ジュリアの乳母はターニャ・バジリスクといい、

フィーの母親であった。

ジュリアとフィーは乳姉妹であり、

赤ん坊の頃から一緒に育った。

ジュリアが産まれたばかりの頃は、

ジュリアの面倒は主にターニャがみていた。

その頃は問題は特になかったが、

ジュリアが成長するにつれ、

ジュリアの周りには人が増えていった。

ジュリアが産まれて半年後、

最初の事件が起こった。

ジュリアが侍女に誘拐されたのだ。

ジュリアの姿が見えなくなったことに、

ターニャがすぐに気が付いたので、

侍女は城からジュリアを連れ出す前に捕まった。

ジュリアを誘拐した侍女は大変真面目な性格で、

とても誘拐なんて大胆なことをするような女性には思えなかった。

後に取り調べで侍女は

『どうしてもあの愛らしい姫を独り占めしたかった』

と語ったそうだ。

侍女はジュリアを誘拐して海を渡り、

外国でジュリアと二人で生活したかったと語った。

この事件を受けて、

ジュリアの身の周りの世話をする侍女は厳選されるようになったが、

美しく女神の生まれかわりと言われるジュリアの世話をしたがる侍女は後を絶たず、

ジュリア付の侍女の就職倍率は恐ろしく高いものになった。

ジュリアが幼い頃はある程度侍女はいたのだが、

常に人手不足だったので、

物心ついた時からフィーはジュリアの身の回りの世話を手伝うようになっていた。

こうしてフィーは『侍女』の役目をするようになった。