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第11話 姫様の寂寥

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「はぁー。」

ジュリアは大変ターニャになついていた。

そのターニャが出産のために側を離れてしまったので、

ジュリアはとても寂しく、

ターニャがいなくなってから、

ため息ばかりついていた。

5歳になったジュリアは大変愛らしく、

寂しさという憂いも加わって窓辺の椅子にちょこんと座り、

溜め息をつく姿は絵画のように美しかった。

厳選されたジュリア付の侍女たちはその姿に見惚れて、

溜め息をついていたが、
















「ぐぅーーーーーーーー(。-ω-)zzz」













憂鬱な気持ちで、

ため息ばかりついているジュリアの隣のソファーで、

フィーはいびきをかいて寝ていた。









「………………」







そんなフィーを横目にジロリと見たジュリアは、

椅子から降りて、

フィーを揺さぶり起こした。

フィーはうっすら目を開けていった。





「ひめさま………………おやすみなさい………………」






フィーはまだ眠たかったので寝ることにした。






「おやすみなさいじゃないわよ!

いつまでねてるの!!

あなたはターニャがいなくてさびしくないの!!?」

寂しさを分かち合いたいジュリアは涙目でフィーに訴えた。

フィーはかったるそうに仕方なく上半身だけ起き上がった。


「さびしくないわけじゃないけど。

ためいきついても、

ははうえがきてくれるわけでもないし。」


フィーはねぼけまなこでそう言った。

ターニャは別に病気なわけではなく、

出産して落ち着いたらまた侍女として、

ジュリアに仕えることになっていたし、

ジュリアとフィーを気遣う内容のターニャからの伝言を、

毎日父親が伝えに来ていた。

フィーは幼いながらも母親であるターニャがせめて安心して出産できるよう

最大限に努力するべきだと思っていた。

ターニャが安心できること、

それは『ジュリアとフィーが穏やかに過ごすこと』だ。

つまりフィーにできる最大限の努力は、

『穏やかに過ごすこと(寝ること)』

たった。

「というわけでひめさまおやすみなさい( ´_ゝ`)」

フィーはまた眠りについた。

「まったくもう!!!!!」


ジュリアはフィーが寂しさを分かち合ってくれないことに腹を立てたが、

フィーの幸せそうに、

よだれをたらしながら寝ている姿を見ていたら、

いつのまにか、

怒りはどこかにいってしまった。

ジュリアはソファーで眠るフィーにくっついて、

ぼーっとフィーのだらしない寝顔を眺めていた。

その時間はターニャがいない寂しさを忘れることができた。



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