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2.再会
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脱力しきった身体を雑に押し退け、慌てて部屋を飛び出した。お金はいらないと言ったけど勉強代ってことでやっぱり頂いていくことにする。
廊下で少し迷いながらもなんとかエントランスまで戻ることに成功し、無事マンションを脱出した。
いやぁ危ない目に遭った。なんだあのイカれた若者は。言ってることもよくわからなかったしもう甘い話には乗らないようにしよう。
タクシー代をケチるべく、徒歩でマイホームへと向かう。マンションから歌舞伎町までそれほど距離が無くて助かった。濡れてしまった服に風が当たって冷えるが、普段雨の中嵐の中関係なくホームレスをやっているのだからこのくらいはヘッチャラだ。
街行く人に怪しげな視線を向けられたものの、美しい街並みを避けて裏道を通ればボロいサンダルでペタペタ歩く不審者を暗闇が隠してくれた。
まだ日は昇らない。
帰路につく途中コンビニに寄り、命懸けで盗んだ金で安酒とつまみとタバコとライターを買って駐車場で一服した。
あ~~~ウマいっ。タバコを一本贅沢に吸えるなんていつぶりかね。
ヤニとアルコールを摂取してようやく安堵する。
それにしてもあの兄ちゃん、いくら酔ってるからって言動が支離滅裂過ぎて逆に心配になっちゃうな。あんな酔い方で普段会社の飲み会とかどうしてるんだろう。あの先輩二人もちゃんと手綱を握っておいてくれよ。
『行かないで……カツキさん……』
カツキサンってのも結局誰のことだかわかんなかったし。
まぁいいや、どうせ酔いが醒めたら昨日のやり取りだって全部無かったことになる。あのまま居座って朝になった途端正気に戻った兄ちゃんから不法侵入で通報されたりしたら、おじさん捕まっちゃうからね。何があったか正直に話したところで、世間様はホームレスのおじさんより高給取りのサラリーマンの味方をするに決まってる。世知辛いねぇ。
さて、これからどうするか。所持金ざっと十五万円。大金ではあるけれど、これで生活が安定するなら伊達にホームレスやってない。
ならば目指す場所はひとつ。
「これを元手に増やすしかないってねぇ!」
朝日が昇る頃。
俺は伝説の地、パチ屋の扉を開いていた。資金なら十分にある。
万札が次々と銀色に輝く玉へと変えられていく。神の右手を魅せてやろう。ウオォーッ目指せ一攫千金!!
さよなら、十五万円。君のことは忘れないよ……。
兄ちゃんが汗水垂らして稼いだであろうお金はあっけなく泡となって消えた。金髪の人魚姫ちゃんが持ってっちゃった。
素寒貧で店から出ると外の世界はすっかり明るくなり、今は昼間のようだった。濡れていた服もいつの間にか乾いている。
一瞬で一文無しのホームレスに戻った俺は虚しくホームへと舞い戻った。
ただいま我が家。
「あーっ!誰だよもぉ~!」
見慣れたダンボールの上には、大量の空き缶が不法投棄されていた。たった半日不在にしていただけで人ん家をゴミ捨て場扱いするなんて許せない!
「ん?」
缶をどかそうと持ち上げると微かに水音がした。振ってみるとちゃぷちゃぷと中身が揺れる音がする。
「ラッキー!」
空き缶をかき集めてダンボールの脇に措いてあるワンカップ瓶に中身を少しずつ注ぐ。すると俺特性のゼロ円カクテルが完成した。やったね!
特性カクテルをぐいっと飲み干す。懐は寂しくなったが喉がカッと熱くなり気分が高揚した。恥や衛生観念を捨ててこそ得られる快感だ。やはり俺には高級マンションより底辺での暮らしが丁度いい。
「ふわああぁぁ……」
一晩で色々なことがあったせいで疲れたのもあり、酔いが回って心地よい眠気に誘わた。よし、ひと眠りするか。
昼間の歌舞伎町は嘘のように静かだ。ぐっすり眠るには丁度良い。
遠くの空から聞こえる鳥のさえずりをBGMに、ダンボールの上で丸まりながら眠りについた。
◇◇◇
誰かの陽気な笑い声で目が覚めた。気付けばもう夜で、下品なネオンがビカビカと輝き眠っていた町を叩き起こしていた。
酔っ払いどもの楽しそうな歌声が聞こえる。
ほろ酔い気分を分けてほしくて、瓶の底に残った酒を舌を伸ばして舐めた。残念ながらアルコールはほぼ抜けてしまっている。あーあ、こんなことなら兄ちゃんからパクった金でもっと酒買っとけば良かったなぁ。
「ふんふんふ~ん」
彼らの歌声に合わせて適当に鼻唄を歌っていると、
「カツキさん」
誰かが俺の前に立ち塞がった。
聞き覚えのある声に、聞き覚えが無いけどある名前。
危機感からか、全身から汗がふき出す。
恐る恐る見上げると、パリッとしたスーツに整えられた髪のサラリーマンがそこに立っていた。
間違いない、昨日のイカれた兄ちゃんだ。
廊下で少し迷いながらもなんとかエントランスまで戻ることに成功し、無事マンションを脱出した。
いやぁ危ない目に遭った。なんだあのイカれた若者は。言ってることもよくわからなかったしもう甘い話には乗らないようにしよう。
タクシー代をケチるべく、徒歩でマイホームへと向かう。マンションから歌舞伎町までそれほど距離が無くて助かった。濡れてしまった服に風が当たって冷えるが、普段雨の中嵐の中関係なくホームレスをやっているのだからこのくらいはヘッチャラだ。
街行く人に怪しげな視線を向けられたものの、美しい街並みを避けて裏道を通ればボロいサンダルでペタペタ歩く不審者を暗闇が隠してくれた。
まだ日は昇らない。
帰路につく途中コンビニに寄り、命懸けで盗んだ金で安酒とつまみとタバコとライターを買って駐車場で一服した。
あ~~~ウマいっ。タバコを一本贅沢に吸えるなんていつぶりかね。
ヤニとアルコールを摂取してようやく安堵する。
それにしてもあの兄ちゃん、いくら酔ってるからって言動が支離滅裂過ぎて逆に心配になっちゃうな。あんな酔い方で普段会社の飲み会とかどうしてるんだろう。あの先輩二人もちゃんと手綱を握っておいてくれよ。
『行かないで……カツキさん……』
カツキサンってのも結局誰のことだかわかんなかったし。
まぁいいや、どうせ酔いが醒めたら昨日のやり取りだって全部無かったことになる。あのまま居座って朝になった途端正気に戻った兄ちゃんから不法侵入で通報されたりしたら、おじさん捕まっちゃうからね。何があったか正直に話したところで、世間様はホームレスのおじさんより高給取りのサラリーマンの味方をするに決まってる。世知辛いねぇ。
さて、これからどうするか。所持金ざっと十五万円。大金ではあるけれど、これで生活が安定するなら伊達にホームレスやってない。
ならば目指す場所はひとつ。
「これを元手に増やすしかないってねぇ!」
朝日が昇る頃。
俺は伝説の地、パチ屋の扉を開いていた。資金なら十分にある。
万札が次々と銀色に輝く玉へと変えられていく。神の右手を魅せてやろう。ウオォーッ目指せ一攫千金!!
さよなら、十五万円。君のことは忘れないよ……。
兄ちゃんが汗水垂らして稼いだであろうお金はあっけなく泡となって消えた。金髪の人魚姫ちゃんが持ってっちゃった。
素寒貧で店から出ると外の世界はすっかり明るくなり、今は昼間のようだった。濡れていた服もいつの間にか乾いている。
一瞬で一文無しのホームレスに戻った俺は虚しくホームへと舞い戻った。
ただいま我が家。
「あーっ!誰だよもぉ~!」
見慣れたダンボールの上には、大量の空き缶が不法投棄されていた。たった半日不在にしていただけで人ん家をゴミ捨て場扱いするなんて許せない!
「ん?」
缶をどかそうと持ち上げると微かに水音がした。振ってみるとちゃぷちゃぷと中身が揺れる音がする。
「ラッキー!」
空き缶をかき集めてダンボールの脇に措いてあるワンカップ瓶に中身を少しずつ注ぐ。すると俺特性のゼロ円カクテルが完成した。やったね!
特性カクテルをぐいっと飲み干す。懐は寂しくなったが喉がカッと熱くなり気分が高揚した。恥や衛生観念を捨ててこそ得られる快感だ。やはり俺には高級マンションより底辺での暮らしが丁度いい。
「ふわああぁぁ……」
一晩で色々なことがあったせいで疲れたのもあり、酔いが回って心地よい眠気に誘わた。よし、ひと眠りするか。
昼間の歌舞伎町は嘘のように静かだ。ぐっすり眠るには丁度良い。
遠くの空から聞こえる鳥のさえずりをBGMに、ダンボールの上で丸まりながら眠りについた。
◇◇◇
誰かの陽気な笑い声で目が覚めた。気付けばもう夜で、下品なネオンがビカビカと輝き眠っていた町を叩き起こしていた。
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間違いない、昨日のイカれた兄ちゃんだ。
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