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十四話 「臨時パーティ」
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翌朝、待ち合わせ時間に合わせて準備を行い組合所へと向かうアッシュ
組合所に続く道を歩いている途中は少し気が重かった
『はぁ・・・なんだか緊張するな。足手まといにならないといいけど』
自分で決めた事とはいえやはり色々と不安に感じる点があった
他の冒険者とはいい思い出がなく、人と組むのが軽くトラウマになっている状態でアレッサと上手くやれるかと懸念している
だがアレッサは黒魔道士、自分からいかずとも他の冒険者からパーティの誘いはひっきりなしにくるはず
アレッサも色々な冒険者とパーティを組めばすぐに自分のことを忘れるだろう
パーティを組むのはこれが最初で最後、アッシュはなんとか今日を上手く乗り切ることだけを考えていた
道中の店で必要な物を買い足した後、組合所の前までやって来ると既に入口の前でアレッサが待っていた
こちらの存在に気がついたアレッサは笑みを浮かべながらアッシュ達の元に寄ってくる
『アッシュさん、おはようございます』
『おはようございます、すみません待たせちゃいましたか?』
『いえ、私もさっき来たばかりですから。ダンジョンに入るの初めてだから居ても立っても居られなくて。えへへ・・・』
その気持ちは共感できた
自分も初めてダンジョンに入った時は心躍ったものだ
まぁその時の経験は苦い思い出となったわけだが、アレッサにはそんな思いをさせないようにできる限りのサポートをしなくては
アレッサと合流後、ダンジョンに向かっている間にアッシュは今日の編成を伝えた
『アレッサさんは魔道士ですから後衛で援護をお願いしたいんですけど、初ダンジョンということもあるのでまずは魔物の少ない場所に行ってそこで肩慣らししてからにしようかと思っているんですがどうですか?』
『そうですね、それで問題ありません』
アレッサから特に緊張している様子は見受けられなかった
ここに来る時に迷った森でも何度か魔物と戦った話していたし魔物に対しての恐怖心とかはあまりないのかもしれない
ダンジョンの前までやって来るといつもの様に警備をしているグンダに挨拶を交わした
『おはようございますグンダさん』
『おう・・・ん?隣に嬢ちゃんは見かけない子だな』
『あ、アレッサと言います。昨日この町に来ました。よろしくお願いします!』
元気のいい挨拶が好印象だったのかグンダもうんうんと頷き満足気な表情を浮かべていた
『よろしくな、俺はグンダってんだ。アッシュとパーティを組んでいるのか?』
『昨日アレッサさんが誘ってくれたんです。なので今日は軽くダンジョンを案内する感じです』
『そうか、気ぃつけるんだぞ』
グンダに見送られアッシュ達はダンジョンの中へ
中に入るとアレッサは興味津々な様子で辺りを必要以上に見渡していた
『これがダンジョン・・・なんだかワクワクしますね!』
『ボクも初めての時はそうでした。この階層はゴブリンやコボルト位しか出ないので油断しなければ危険はありませんよ』
『分かりました、ではお願いします』
予定通りアッシュを先頭にダンジョンを進んでいく
ここ最近クウと共に一階層は回り尽くしていたのでどこにどの魔物がどれ位の数で湧くか予想できるようになっていた
アレッサに伝えた通り最初は数が少ない場所を回って慣らし、段階的に数が多い場所に挑む
目的の場所に到着すると現れたのはゴブリン二体、準備運動にはちょうどいい
『片方はアレッサさんにお願いします。クウはここで待機してて』
『分かりました』
クウは少し不満気だったが今日はアレッサが主役だから仕方がない
アレッサが杖を構えると杖の先端に小さな火の玉が現れる
アッシュも魔法発動のタイミングに合わせて動く
魔導士が持つ杖には魔石が使われており、杖に魔力を込めることで発動する魔法の威力を上昇させる魔導士にとって必須の武器である
火の玉は段々と大きくなっていき、やがてゴブリンを飲み込む程の大きさまでになるとアレッサはゴブリン目掛けて魔法を放った
『ファイア・ボール!』
アレッサが放った魔法は凄まじい速度でアッシュを追い越しゴブリンに命中
ワイルドボアでも一撃で倒せる威力、当然ゴブリンが耐えられるわけもなく魔石だけ残して灰となった
遅れてアッシュももう片方のゴブリンを倒し終える
今の一撃の精度、威力を見てアレッサは既にこのダンジョンを攻略できるだけの実力はあることが分かる
以前一度だけこのダンジョンを攻略した他の黒魔導士の魔法を見る機会があったが、アレッサの使った魔法はその魔導士よりもずっと強力なものだ
『やっぱりワイルドボアを一撃で倒しただけあって余裕でしたね』
『い、いえそれほどでも・・・ふぅ』
『大丈夫ですか?魔石は僕が回収しておくので休んでいて下さい』
『す、すみません』
戦闘を終えたアレッサは少し呼吸が乱れていたので、魔石の回収をしている間は休ませてあげた
回収を終えると落ち着いていたので次の目的地へ向かっている最中に色々話を聞かせてもらった
『アレッサさんって火の魔法の他には何が使えるんですか?』
『えっと火魔法が中級を少々、あとは水魔法と風魔法が初級程度ですかね。魔物相手にまともに使えるのまだこれ位で土魔法と雷魔法はまだ練習中なんです』
『中級って凄いですね!大人でも中々習得に難しいって聞いたことがあります』
『いえ、私より凄い人なんて沢山いますしそれと比べたら全然大したことないです・・・』
アレッサのその言葉は謙遜などではないと口調から察せた
その時の表情が少し悲しげにも見えたのでアッシュはそれ以上触れることができなかった
組合所に続く道を歩いている途中は少し気が重かった
『はぁ・・・なんだか緊張するな。足手まといにならないといいけど』
自分で決めた事とはいえやはり色々と不安に感じる点があった
他の冒険者とはいい思い出がなく、人と組むのが軽くトラウマになっている状態でアレッサと上手くやれるかと懸念している
だがアレッサは黒魔道士、自分からいかずとも他の冒険者からパーティの誘いはひっきりなしにくるはず
アレッサも色々な冒険者とパーティを組めばすぐに自分のことを忘れるだろう
パーティを組むのはこれが最初で最後、アッシュはなんとか今日を上手く乗り切ることだけを考えていた
道中の店で必要な物を買い足した後、組合所の前までやって来ると既に入口の前でアレッサが待っていた
こちらの存在に気がついたアレッサは笑みを浮かべながらアッシュ達の元に寄ってくる
『アッシュさん、おはようございます』
『おはようございます、すみません待たせちゃいましたか?』
『いえ、私もさっき来たばかりですから。ダンジョンに入るの初めてだから居ても立っても居られなくて。えへへ・・・』
その気持ちは共感できた
自分も初めてダンジョンに入った時は心躍ったものだ
まぁその時の経験は苦い思い出となったわけだが、アレッサにはそんな思いをさせないようにできる限りのサポートをしなくては
アレッサと合流後、ダンジョンに向かっている間にアッシュは今日の編成を伝えた
『アレッサさんは魔道士ですから後衛で援護をお願いしたいんですけど、初ダンジョンということもあるのでまずは魔物の少ない場所に行ってそこで肩慣らししてからにしようかと思っているんですがどうですか?』
『そうですね、それで問題ありません』
アレッサから特に緊張している様子は見受けられなかった
ここに来る時に迷った森でも何度か魔物と戦った話していたし魔物に対しての恐怖心とかはあまりないのかもしれない
ダンジョンの前までやって来るといつもの様に警備をしているグンダに挨拶を交わした
『おはようございますグンダさん』
『おう・・・ん?隣に嬢ちゃんは見かけない子だな』
『あ、アレッサと言います。昨日この町に来ました。よろしくお願いします!』
元気のいい挨拶が好印象だったのかグンダもうんうんと頷き満足気な表情を浮かべていた
『よろしくな、俺はグンダってんだ。アッシュとパーティを組んでいるのか?』
『昨日アレッサさんが誘ってくれたんです。なので今日は軽くダンジョンを案内する感じです』
『そうか、気ぃつけるんだぞ』
グンダに見送られアッシュ達はダンジョンの中へ
中に入るとアレッサは興味津々な様子で辺りを必要以上に見渡していた
『これがダンジョン・・・なんだかワクワクしますね!』
『ボクも初めての時はそうでした。この階層はゴブリンやコボルト位しか出ないので油断しなければ危険はありませんよ』
『分かりました、ではお願いします』
予定通りアッシュを先頭にダンジョンを進んでいく
ここ最近クウと共に一階層は回り尽くしていたのでどこにどの魔物がどれ位の数で湧くか予想できるようになっていた
アレッサに伝えた通り最初は数が少ない場所を回って慣らし、段階的に数が多い場所に挑む
目的の場所に到着すると現れたのはゴブリン二体、準備運動にはちょうどいい
『片方はアレッサさんにお願いします。クウはここで待機してて』
『分かりました』
クウは少し不満気だったが今日はアレッサが主役だから仕方がない
アレッサが杖を構えると杖の先端に小さな火の玉が現れる
アッシュも魔法発動のタイミングに合わせて動く
魔導士が持つ杖には魔石が使われており、杖に魔力を込めることで発動する魔法の威力を上昇させる魔導士にとって必須の武器である
火の玉は段々と大きくなっていき、やがてゴブリンを飲み込む程の大きさまでになるとアレッサはゴブリン目掛けて魔法を放った
『ファイア・ボール!』
アレッサが放った魔法は凄まじい速度でアッシュを追い越しゴブリンに命中
ワイルドボアでも一撃で倒せる威力、当然ゴブリンが耐えられるわけもなく魔石だけ残して灰となった
遅れてアッシュももう片方のゴブリンを倒し終える
今の一撃の精度、威力を見てアレッサは既にこのダンジョンを攻略できるだけの実力はあることが分かる
以前一度だけこのダンジョンを攻略した他の黒魔導士の魔法を見る機会があったが、アレッサの使った魔法はその魔導士よりもずっと強力なものだ
『やっぱりワイルドボアを一撃で倒しただけあって余裕でしたね』
『い、いえそれほどでも・・・ふぅ』
『大丈夫ですか?魔石は僕が回収しておくので休んでいて下さい』
『す、すみません』
戦闘を終えたアレッサは少し呼吸が乱れていたので、魔石の回収をしている間は休ませてあげた
回収を終えると落ち着いていたので次の目的地へ向かっている最中に色々話を聞かせてもらった
『アレッサさんって火の魔法の他には何が使えるんですか?』
『えっと火魔法が中級を少々、あとは水魔法と風魔法が初級程度ですかね。魔物相手にまともに使えるのまだこれ位で土魔法と雷魔法はまだ練習中なんです』
『中級って凄いですね!大人でも中々習得に難しいって聞いたことがあります』
『いえ、私より凄い人なんて沢山いますしそれと比べたら全然大したことないです・・・』
アレッサのその言葉は謙遜などではないと口調から察せた
その時の表情が少し悲しげにも見えたのでアッシュはそれ以上触れることができなかった
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