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17話 「攻撃の先には__」
しおりを挟むここにおいて、3刀流になったセリアとヴィルシスとの対決が始まった。
誰も手を出すつもりはない。
メオンとティナ、エルミーユは援護参加できなくもないが、セリアにとってそれが邪魔になることも知っているため誰一人として手を出すこともない。
一方ヴィルシスについている兵士たちは戦いを見つめることすら落ち着いてできないくらいで、当然参加することもできない。
両手で剣を操作するだけでなく、口で加えた剣でも鮮やかに受け流しやガード、攻撃に至るすべての手数が圧倒的に増えてきた。
ヴィルシスは斧の性能こそ末恐ろしいが、一本扱うのがやっとというレベルの大きさと重さでヴィルシスが使っているからこそ機敏さはある程度保たれているが、押し込まれるケースが増えてきた。
「ちいっ!」
「手加減してあなたを倒せるとも思っていない。だからこちらも全力よ。あなたと考えていることは同じ。力がないと大切な人を守れない。それが私をここまでにした。それはあなたと同じかもね__」
そして、ついにセリアの攻撃を支えかねたヴィルシスの体制が崩れた。
それをセリアは見逃さなかった。
「もらった___」
キィンと大きな金属音を立てて、斧の一方の刃を根元ぎりぎりのところを切り落とした。
刃は大きく回転しながら空中を舞って、戦いを見守る者たちの目の前の地面に深々と刃が突き刺さった。
「お、俺の斧が……」
「あなたの想いは知ってる。確かにその想いは大切だと思う。守ってあげたい。誰にも負けない力を持って進んでいきたい。なぜその意思が間違った方向に進んでしまったの?」
「俺は……お前の兄が憎たらしくも羨ましく、そしてかけがえのない仲間で__。そんな俺よりも何より完璧だったやつですらも死んでしまった!ならティナは……ティナは肩身が狭く、存在を不快だとほざく連中もたくさんいた!お前の兄よりも危険や苦しいことが多いのに……俺がどうにかしないといけなかったんだ!」
「だからティナに嫌がらせをするものをとことん見せしめとしてつるし上げたと?」
「ああ、そうだ。そうしなければティナも俺の前から消えてしまうから___」
「ばかばかしい」
ヴィルシスが必死に話していた内容をセリアが一言でバッサリと切り落とした。
「間違った力の使い方に走り出して。兄さんを守れなかったから違う意味で力をふるってどうするの?兄さんを守るために力が欲しかった。それはすごくわかってあげられる。だからって__こんな力のふるい型をティナを守るために使う?ティナのいい迷惑だ!」
「う、うるさいうるさいうるさい!!」
「昔の話を知っている。すべてのエリートたちを震え上がらせたという王国内のエリートたちを集めた大会であなたたちは誰も塗り替えられない前人未踏の結果をたたき出したことを」
「な、なぜそのことを……」
「兄さんが言っていたわ。悔しいを通り越して二人の存在はあまりにも羨ましかったってね」
その時の二人の輝きは誰からしても太陽にまぶしかったのだろう。見つめるのも苦しいほどに。
「なぜそのあなたの力をその方面に出してティナを守ってあげられなかったの?あの子の実力をあなたの力を持って引き出してあげられる舞台を、環境を作ってあげられればあの子とあなたはこうはならなかったのに。ほんと__」
セリアの敵を凍り付かせるような目つきで、凍り付くような声で__
「愚かだな、ヴィルシス。女をここまで泣かせて」
「ちっくしょおおおおおおおおおおお!」
ヴィルシスは切り落とされた方を下にして、まだ刃のある方を上に振り上げるて再び構えた。
「お前に否定されてたまるかあああああ!俺は俺の考えた方法であいつを守る!ただそれだけなんだあああああああああああああ!」
「はっきり言うね。気持ち悪い。ストーカーいつまでもうちのかわいい重臣にしてくれやがって。ここで決めてやるぞ!」
再びお互いに武器を構えて同時にとびかかる。
それのお互いの攻撃が交錯して、そして__
お互いに着地を決めた。
その勝負は____。
セリアが倒れるという結果に終わった。
「……確かにお前は手が付けられん。だがな、お前は俺の防具をなめ過ぎだ。何も細工をしないとでも思ったのか」
ヴィルシスの鎧には少しひびが入っているだけだった。
メオンたちはセリアの勝ちを確信していた。切り込み方からして深々と剣身がヴィルシスに深々と入るとわかったからだ。
セリアはさらに完璧なことにヴィルシスの攻撃を空いた左手と口に構えていた剣を重ねて完ぺきに斧の攻撃を防いだのだが___。
ヴィルシスの力が強く、けがは抑えられてもあまりの衝撃で動けなくなった。
「くっ……」
「セリア様!!」
セリアは衝撃の大きさからか立ち上がることが出来ない。そこにゆっくりと斧を構えたヴィルシスが斧を握りしめて迫ってくる。
今からではエルミーユやメオンが援護に入っても間に合わない。
「勝負ありだな、小娘えええええええ!」
「っ!」
セリアに斧が振りかざされようとした時だった。
「!?」
ぶすっと鎧の隙間に短剣が突き刺さった。
それは空の上から投げ下ろされたものであった。
それを投げたのは___。
「わりぃなセリア。なかなかてこずって遅くなった。ったく、無理をすんなって俺に言う前にお前がすんなよ」
「ああ……シュウ……」
「またお前かあああああああ!」
シュウを見つけたヴィルシスは再び邪魔をされたことを知って怒りに身を任せて近くの兵士の槍を奪い取って投げようと動こうとした、が。
「な、何ぃ……?」
体が動かない、体が動かないというか手足が全く動かない。
「何をしやがった!?」
「へっ!鉄成分そんなあからさまに部分ごとに変えるからそういう現象が起きるんだぜ?」
シュウが投げたのは、この世界でリースの一番知る最強の磁力を持つ物質で作った短剣だった。
鉄の物質に磁石をこすりつけるとちょっとした磁石になるという話を理科で聞いたことはないだろうか。
それをふと思い出したシュウは、メオンの鎧を見せてもらったり、リースとともにヴィルシスたちの着ている鎧を分析して磁力で動きを封じれるのではないかという考察結果を導き出した。
これが”秘密兵器”だ。
「どこまでもこけにしやがってえええええええええ!」
「はいはい、毎回絶叫お疲れさま。俺らの無茶する君主様をつぶされるわけにはいかないんでね」
セリアを回収して退却。
そして今度は俺が大剣を抜いてヴィルシスに対峙した。
「わりぃな。戦争だから汚ねぇとか言ってくれても困るぜ」
「き、貴様!」
動けなくなったヴィルシスに大剣の一振り一閃。胴体から切り落としたと思った。が。
「その程度の攻撃で死んでたまるかよ……けけけ」
「!?」
やはり先ほど同様わずかなヒビしか入らない。セリアより力は何倍もあるはずなのに攻撃が同じような影響力しかヴィルシスの鎧に与えられていない。
「ったく、どこまでもコケにしてくれるなぁ!?お前。お前とそこの小娘は殺す。見ている限りメオンよりもお前がティナをたぶらかしてるみたいだからさっきからティナの様子を見るとな」
「っ!!!」
こんな激しい戦闘をしていたにもかかわらず、自分のことを逃さずに見ていた。シュウをひたすら心配しながら見ていた自分を。
こうして動けないヴィルシスを回収してエクラベル王国軍は引いて行った。ヴィルシスが相手のエースの攻撃を受けてもへっちゃらという様子を見て相手兵士の士気が戻った上に、いくら叩いてもヴィルシスが倒せないのでは意味がない。
このような点から再び追い打ちをかけることすらもできなかった。
ただ損失はほとんどなく、セリアは衝撃を体で多少受けて起き上がれなかっただけで特にけがもなかっただけでも十分なうえに今回の戦闘もなんとか防ぐことが出来た。
しかし、疑問がたくさん増えてしまった。
なぜヴィルシスの鎧はあれほど強固なのか。どんな仕組みになっているのか。
そして俺の体に一体何が起きていたのか。
これは再びリースに頼っていくしかないようだ。
リースには土産物として奴の斧の刃をあげることにしよう。またいろいろと成分分析をするだろう。
これが少なくとも前者の疑問が解決できなければやつを倒すことはできないだろう。
まだまだ課題の多さを見せつけられた戦闘が終わった。
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