転生蒼竜チート無双記

れおさん

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18話 「研究者としてのプライド」

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  戦闘が終わって街に戻ってから数時間が経った__。
 しばらくセリアの元にいて安心させてやるようにエルミーユから言われたのでセリアの元にいて、先ほどの戦闘で受けたダメージがあとから出ないか見守った。
 横にいただけなのに非常にセリアはうれしそうで、俺の体をソファのように体の体重を預けてリラックスしていた。
 それからしばらくすると戦闘の緊張からやっと開放されたのか、すやすやと眠ってしまった。
 寝顔はとてもかわいい1人の女の子なのだが……。

 「セリアは相当な強い意思を持って戦ってる。ヴィルシスに負けぬあの意志には驚かされるもんだ」

 ヴィルシスさえも押し切るような気迫が彼女にはあった。
 そして一糸乱れぬあの剣裁き。それはいつもの二刀流から三刀流になるとそれはさらにすごさを何倍にも増す。
 普通の勝負ならばあそこで間違いなくヴィルシスに勝っていただろう。しかし、現状やつはほとんどダメージを受けなかった。さらには、俺の渾身の大剣による一発すらもセリアが斬りつけた攻撃と同じ程度のわずかなダメージしか与えられなかった。
 今回はリースが秘密兵器の超強力磁力短剣を急ピッチで作り上げて見事に成功したが、いつもこうはいかないだろう。

 「ちゃんと守ってあげないといけないな……。この力があるならセリアがあんな無理をしなくてもきっとやっていけるはず。まだまだ俺は……」

 「まぁまぁ、そんなに思いつめるなって。ここ最近までティナとセリア様が辛気臭かったのに今度はお前がそうなっちまうのか?」

 「エルミーユか」

 その声とともに現れたのは変身を解いていつもの人型に戻ったエルミーユだった。前回といい、今回といい見事な戦闘だった。

 「シュウにまた助けられたな。まさかだった。セリアが間違いなく倒したと思ったらあの展開で背筋が寒くなったよ、久々にな」

 「礼ならリースに言え。あいつが必死にやってくれなかったらほんとにやばかったからな」

 「ああ。だが、ほっとしている暇はなさそうだな……。まさかセリア様の攻撃でなくシュウの会心の攻撃すらも同じようにあまり聞いていないというのは……」

 やはりエルミーユの不安材料もそこだったようだ。

 「セリアも落ち着いて寝ちゃったし、これからリースのとこに報告とこれからのことについて話し合いしてくる。今回の件も話せばなんとか解決の道が見えてくるかもしれないという希望だけに今はすがるしかなさそうだ……」

 「分かった。ならセリア様の元には私が代わりにいることにしよう。ただ、リースとの話が終わったらまたいてあげてくれ」

 「了解。じゃあ言ってくるわ」

 セリアを起こさぬように優しく抱きかかえると、エルミーユに渡して王城を飛び出して再び工場に向かった。

 そしていつものように工場内にて。

 「おっそい!」

 工場に入るといきなりリースが頬を膨らませて仁王立ちして待ち構えていた。
 そりゃ冷静に考えたら戦闘に行くだけでも心配だという面持ちだったのに、戦闘が終わったのにいつまでたっても顔一つ見せなかったら心配だし、腹も立つ。
 ただ、そのリースの起こっている理由を考えて心配されているということにちょっとうれしくなってしまう。

 「な、何をニヤニヤしてるよ~~~!」

 「すまんすまん。セリアが落ち着くまで横にいたらこんな時間になっちまった」

 「セリア様になにかあったの!?帰ってきたみんなの様子には特に変な様子は無かったけど……」

 「それも含めて話をするわ」

 そして今回の戦闘で再びヴィルシスに遭遇して、セリアが対決したということを伝えた。
 そして武器を交えた勝負にセリアが力負けをした事を伝えた。

 「にわかには信じがたい話なんだけど……セリア様より力があってもあの人には力だけではどんなことがあっても勝てないけど……」

 「そう。今回の厳しい問題点が出てきた。それのせいでセリアがそんな予期せぬ結果になってしまったからな」

 「どういうこと?」

 ヴィルシスにセリアが思いっきり剣の刃を相手の腹部に深々と切りつけたにもかかわらずほとんどダメージが入らず、俺が渾身の大剣の一撃を与えても同じくほとんど聞かなかったことを伝えた。
 するとリースの顔が悔しそうにゆがんだ。

 「それね、いわゆる魔法効果ってやつが鎧にかかってるね」

 「魔法効果?」

 「たぶん話を聞く限りでは物理攻撃に対してものすごい防御能力が働く効果の魔法を鎧につけたやつがヴィルシスの裏でいるみたいだね。そのせいであなたの攻撃もセリア様の攻撃もほとんどきかなかったってこと」

 ここで読者の皆様に分かりやすくいうとガン○ムに出てくるビームを無効化したり強力なビームの威力をはじいて分散させるIフィー○ドを連想してくれたらいい。
 ここではビームが剣などによる攻撃のいわゆる物理攻撃だ。それをヴィルシスの鎧はダメージカットできているようになっているらしい。
 俺は苦々しく言った。

 「なかなかチートな効果だな、それ」

 「うん。普通の攻撃は全くきかないし、あなた達級の攻撃でやっと効くくらい。普通に戦っているだけじゃきついね」

 そういうとリースはふうっとため息を吐いた。
 そして再び大きく息を吸い込んで___

 「はああああああああ!悔しいいいいいい!そんな何でもありのご都合魔法に負けたくねええええええええ!」

 叫び終わった後にはぁはぁと息を切らしながら額に浮かんだ汗を腕でぬぐいながら

 「ごめん。叫ばずにはいられなかった」

 と謝罪を一言口にした。
 しかし、俺は何も不愉快だとは思っていない。
 たしかにそうだろう。自分が必死に研究したものをやつらは魔法で何の苦労も無く再現しているとしたら腹が立って仕方がない。
 自分の努力でたどり着いたものはどんなものよりすごいものでなければというこの天才研究女性のプライド。
 この天才はこんなところでへこたれるようなやつでないだろうし、きっと自分のすべてをかけてでも魔法に自分の頭で、世の中にある現象や反応の仕組みを使って___必ず勝つことだろう。

 「ねぇ、例の道具どうだった?」

 「どうもなにもあれなきゃ今回セリアやばかったからな。感謝しかないぜ。この鎧だってあるおかげでみてのとおり大分相手の攻撃を受けずに済んだ。ほんとあんたの配慮には感謝してる」

 「こんなにぼろぼろなのにつけてたの……。パージしてくれてよかったのに。あ、ここで脱いで。またメンテナンスしておくからさ」

 「ああ。すまないな」

 鎧をここで脱いで他の研究者が回収に来たので、その人にも頭を下げてから鎧を渡した。

 「ってことはあれであいつは動けなくなったってことだよね?」

 「ああ、その動けないところに俺が思いっきり斬りつけたからな。で、効かなかったっていう結果が出たんだ」

 「おっけ。たぶんやつは次それを防ごうとしてくる。たぶん今度は動けな腐れないように対策はとってくる」

 「そうか……対策は取れてしまうか」

 「でも、それを利用する。たぶん対策をしたら”こんな短剣なんか”ってやつは必ずよけようとなんてしないだろうから。そこをつく。そしてこの短剣を使ってやつの魔法を私の考え付いた方法と今までの技術の結晶で勝ってみせる」

 短剣を手にとって静かに見つめながらそう力強く言うリース。

 「ああ、勝てるぜ」
 
 俺もそう言って応援する。絶対に勝てる。この強い目を見るとそう俺もはっきりと言い切りたくなるほどの目をしているから。

 「それにはあなたの協力が必要よ」

 「当たり前だ。協力する。それでやつを倒せたらこの国は守られるし、お前のメンツやプライド、努力がもたらした勝ちだからな。一味もふた味も違うぜ」

 「ほんと頼もしいわ。あなたをこれからも頼るからね。遠慮なくアイディアがあれば提案してくれていいから」
 
 「おう」

 そう言って俺とリースはがっちりと手を取り合った。
 この勝負はティナやセリアの過去だけでなく、リースというこの天才学者のプライドまでもがかかった戦いになった。
 でも怖気づかない。それに勝てば笑顔になれるのだから。
 セリアの戦っていたときの気迫や強い意思、そしてここいるリースの強い意思。そしてティナが俺を信用してくれている。

 これだけのものがあって負けるわけにはいかないだろ。
 必ず今度こそヴィルシスを落とす。それが今この国のために出来る最高のことだから。
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