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第四話 ピロートークと二回戦

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「でも、なんで俺だったんだ?」

 疑問だった。俺以上に優れた人間を、何人もバッサバッサと切り捨ててきたサクヤが何故俺を選んだのか。

「逆にどうして自分じゃないと思っていたのかしら」

 質問に質問で返す。サクヤにしては珍しい返答だった。

 俺たちはいまだ布団の中でもぞもぞとしている。
 勿論お互いに裸であり、先ほどの処理すらしていないため、シーツは色々な液体でびっしょりだ。
 時折触りあったり、キスをしたりといちゃついていた。
 幸いにして時間はまだ朝六時、学校までは十分な時間があるのだ。

「いや俺よりかっこいいやつとか、勉強ができるやつとかたくさんいただろ? それなのになんで俺なんだろうと思って」

「そんなぽっと出の脇役に心奪われるほど軽くはないつもりよ。それがどんなハイスペックであれ。
 有名な俳優でも、一流の起業家でも、はたまた石油王でも揺らいだりはしないわ。
 確かにユウは勉強はしないし、スポーツもイマイチだったし、スケベだし、顔もそれほどかっこよくはないのかもしれない。私はすごくかっこいいと思うのだけれど。
 それにパンツも盗んだりするし。
 でもそれは他人から見たらの話で、私はそういうかっこ悪い所の他にもたくさんいい所を知っているわ」

「……パンツ盗ったの知ってたのか?」

 重大なことがばれているという事実と、サクヤにかっこいいと言われたことで複雑な心境になる。
 恐怖、焦燥感、そして安堵感、幸福感。それらが入り混じった複雑なものだ。

「当然よ。そもそもあれは撒き餌のようなものだったのよ。わざと見えるところに置いておいて、反応を見て楽しんでいたの。じゃなきゃユウの家の脱衣かごに忘れたりしないわ。私の愛液がたくさんしみ込んでいるそれで悶々とする姿を見たかったのよ」

「……ごちそうさまでした。あれは家宝として隠してあります……」

 愛液がしみ込んでいたことは知らなかったが、それを聞くとより大事に思える俺はいったいどうなんだろう。

「つまり間接クンニリングスをされてしまっていたわけね。机の引き出しの一番下。偽装蓋の下に、丁寧に真空パックに入れられて保管されていることも知っているわ。あ、これはお母さんも知らないことだから安心していいわよ」

「え!? おみそれしました……というか超能力?」

「推理よ。
 ボイスレコーダーにはガタガタという木が擦れるような音と、ユウが凄くスーハーしている声が残されていたの。この部屋の木製のものはベッド、たんす、それに机だけでしょう?
 これはちょうど一昨日の夜のことね。
 この日のユウは三日ぶりの自慰行為ということで、さぞ興奮していたのでしょう。そしてそれにはきっと秘蔵のお宝である私のパンツを使用したのだと推測することは難しくないわ。そして椅子のきしむ音と移動時間を考えれば、机周辺にあることは明らかだったのよ」

「そして昨日の朝それを見つけた、というわけね」

 この無駄な推理力、そしてそれを自慢げに話す。
 こういうところも可愛いんだよな、と思う。

「……パンツから離れよう。返すから、お返ししますから」

「大丈夫よ。家宝を奪いあげるほど、私は鬼じゃないわ。多分家宝じゃなくてユウだけのものだと思うけれど。それに、私をオカズにしてくれているなんて、最高じゃない。好きな人からの好意というものは、それが何であれ嬉しいものよ」

 それは一般的じゃない気がする。そう思い少し冷静になる。

「そうだ、なんで俺なんだって話だった」

「そうだったわね。私からすれば今更ではあるのだけれど。確かにかっこ悪い所はたくさん知っているけれど、その分優しい所とか、いい所もたくさん知っているのよ。
 いつもさりげなく私の好きな飲み物を買ってきていたり、暑がりなのに部屋の温度を私に合わせてくれて高めにしていたり。無理して上のランクの学校に入ろうとしてがむしゃらに勉強していたりね」

「ユウが思っている以上に、私はユウのことを見ていたのよ。私は気づいていたのに、ユウは気づいていなかったのね」

 くすくすと目を細めて笑う。

「ばれてないつもりだったんだけど……言われると恥ずかしいな」

「ばればれだったわ。
 でもだからこそ、ああ、好きだなぁって思えたのよ。やってやってるという空気があれば違うけれど、明らかに隠していたから。
 小さいころとは違う、恋愛の好きよ。私の見た目とか、そう言ったわかりやすい特徴だけで言い寄ってきてるんじゃなくて、昔からずっと、ずっと大事にしてくれてるのがわかってるから、だから好きなのよ。これで惚れない方がどうかしてると私は思うけど」

 俺は顔が赤くなっているのを自覚する。
 想像以上に恥ずかしく、想像以上に嬉しい。
 何度も想像してきたそれよりも、遥かに嬉しい。
 そして、こんなに人を好きになることがありえるのだろうか、と目の前のサクヤに言いたくなる。

「赤くなったわね。私も正直恥ずかしい気持ちはあるのよ。でも聞かれれば答えるわ。ずっと言いたい気持ちはあったし、今がその機会なら逃したくないから」

 二人して顔を赤くしながら見つめあう。
 さっきあれほどしたというのに、俺のチンポは空気を読まず硬くなり始めていた。

「温かい温度というか、空気が近寄ってきているのがわかるわ。ユウ、またしたくなったの?」

「……うん」

「じゃあ、もう一回しましょう。私もじゅん、としたものを感じたわ。今度は違う体勢でしましょう。私が上に乗るわ。一度やってみたかったの」

 サクヤは布団をガバッと下に落とし、俺のチンポの上に乗る。
 挿入はせず、その柔らかい縦筋の間に、俺のチンポが挟まっている。
 くにくにとした感触で、チンポがビクビクと嬉しそうに反応する。
 サクヤは腰をくねくねと、上下にチンポをこする様に動く。にゅるにゅるとした感触がとても気持ちいい。

「あ!♡ この体勢、ダメかもしれないわ!♡」

 すっかりと慣れたように喘ぎ、一心不乱に腰を振っている。
 俺もその光景に興奮しっぱなしだった。おっぱいは大きく揺れ、腰の動きがなんともなまめかしい。
 サクヤのオマンコからは俺の出した精液か、それともサクヤの愛液かもわからない、白く濁った液体がたくさん垂れている。

「素股、というやつよ。クリトリスがこすれて、何とも言えない気持ちになるわ。簡単に言うなら、イッてしまいそう、という状態よ。八方ふさがりでこれではもう動けないわ」

「今止められると、不完全燃焼感がすごいんだが……」

「し、仕方ないじゃない、どうせイクなら、ユウのを中に受け入れてからにしたいと思って何が悪いの?」

 恥ずかしそうに、両手で頬を隠しながらそう言った。
 ちょっと強気に、それでいて動揺したような、そんな言い方だった。
 あ、これはダメだ。と理性が吹き飛ぶ。
 いちいち可愛い反応やセリフを吐くものだから、いつまでたっても収まらない。

「サクヤ、じゃあ入れてもいいか? 俺もサクヤの中でイキたい」

「うん……♡ でもその代わり、私も気持ちよくしてくれると、その、嬉しいわ」

「ああ、いっぱいイカせてやるからな、毎日毎日、何回も、これからずっと!」

 サクヤは嬉しそうな顔をして、俺のチンポを自分の入り口にくっつける。
 とろとろと白い液体が流れ、それが亀頭に垂れて何とも言えないエロさだった。

 そしてゆっくりと腰を落とす。
 体重の関係もあってか、一気に根元まで挿入される。

 じゅぶぶぶ! と液体が噴き出すような音を立て、滑り良く入った。

「い、いきなり奥に!?♡」

「うう、締めすぎ……」

「無理よ、こんなの我慢できるわけないじゃない!♡ 奥弱いんだから、知ってるでしょ!?」

 サクヤが泣きごとのようなことを言いながら少し腰を浮かせるので、俺はサクヤの腰を掴み、グッと奥まで押し込む。

「んんん!♡ だめぇ、だめだってぇ!!♡」

 さっきまでの強気な態度はどこに行ったのかと思うほど甘い声で鳴く。
 その間も俺は下からずんずんと突き上げ、コツコツとした奥の感触を味わうのに夢中だった。

「イッちゃう、イッちゃうぅ!♡ 怖い、怖い!♡ 抱きしめて、どこかに飛んでいきそうなの、お願い!♡」

 そういってサクヤは俺の方に倒れこみ、耳元で荒い息をしていた。
 ふう♡、ふう♡、とハートマークがついたような息であり、耳元から聞こえるそれに俺は大興奮だった。

「お、俺もイキそうだ……!」

「いいよ、いいよこのまま、このまま出して、いっぱい出して!♡」

 ううう、と声を上げ、腰を手で密着させながら射精した。
 まだこんなに出るのか、というような量が出ているのがわかる。
 大量に製造されているのだろうか。過労死者が出ているのではと思うほど、今日の精子工場はフル稼働だ。

「ユウ、ユウぅ!♡ 好き、好きぃ!♡ 愛してる、離れたくない!♡」

 イッているときの、感じているときのサクヤはとても甘えてくると言うか、すごく正直なのだろう。
 耳元でそんなことを言われて嬉しくないはずがなく、また何度もしたくなる。

 射精を終え、二人してヘタっていると、終了を告げる音がする。
 目覚まし時計のアラームだ。ジリリリとイラつかせる音を出す。
 毎日決まった時間になる無粋な奴で、時刻は朝七時であるということを無理やり教えてくれる。

「流石に、片付けしないとまずいな……」

 だが動く気がしない。
 サクヤも同様のようで、荒い息を吐き出すだけの状態だ。

「今日ほど学校休みたいと思った日もないぞ……」

「奇遇ね、私も……」

 このままサクヤと二人で寝に入りたい、そして起きたらまたしたい。
 そう思っても学生という身分にそれは許されないのだ。

 それにセックスして疲れたので学校休みます、とどうやって告げればいいのか。

「ねぇ、ユウ。すっかりというか、完全に忘れていたのだけれど、この状態で下に降りていくのはいくら知られていても無謀じゃないかしら……?」

 サクヤの今の格好は全裸。一応パジャマこそあるが、オマンコからは何度も注ぎ込んだ精液が垂れており、髪は乱れ、全身が汗だくだ。完全に事後であり、恐らくは臭いもすごいのだろう。
 そしてそれは俺にも言えることだった。

「確かに……俺が下りて、なんとなく、ふわっとそれっぽく説明して、二人には出て行ってもらおう。それで風呂に入ればとりあえずは何とかなるんじゃないか?」

 すごくアバウトだが、今の俺にはこれが限界だった。

 ガチャ、と部屋のドアをゆっくり開ける。
 そしてこそこそと外の様子を伺うが、人の気配はしない。

「誰もいない……?」

 少し安心してリビングに降りてみると、そこには二人分の食事、赤飯を含む、と現金五万円、そしてメモが置いてあった。

 メモにはこう書いてあった

『おはよう。ゆうべはお楽しみでしたね。
 私たちはお隣にいるので、しっかり綺麗にして
 それから朝食を食べて学校に行きなさい。
 サクヤちゃんの制服はソファの上にあります。
 P・S そのお金でしっかりと避妊はしなさい。
 必要であればまた来月も渡します。
 高校生のうちは妊娠させないように。母より』

「あっのバッバァァァー! とは言わないけど、冒頭がむかつくな」

「サクヤー! 誰もいないというか、サクヤの家にいるっぽいぞ」

 とんとん、と静かに恐る恐る降りてくる。

「このメモを見てくれ。大体わかる。五万円って、小遣い十か月分をポンと出すとは……」

「流石はユウのお母さんね……カバンの中身も今日持ってくものが入ってるわ……」

 親公認、悪いことではないが、こういう時どんな顔すればいいかわからない。
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