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第十話 それはきっと、当然の未来
しおりを挟むいつもの通学路を二人で歩いているときのことだ。
この通学路はあまり学生がいない。俺たちの他はまばらにしかいない道だった。
「なぁサクヤ。将来どうする?」
朝からする話題か、とも思うがこれには理由があった。
俺たちは高校二年生、そして進学校に所属している以上、既に進路を確定させる時期になっていたのだ。
そしてその希望を書いた紙を明日提出しなければならないのである。
原則としてはそこに進む形になるので適当にはできないのだ。
「? ユウのお嫁さんだけれど……?」
眉を八の字にし、何を言っていると言わんばかりの表情でそう言った。
真面目な態度であり、それが本心なのかを疑わせない。
本来の俺の望んだ回答ではないものの、嬉しく思う。
「い、いや、そういうのじゃないんだけど……ありがとう」
「お礼を言われるようなことを言ったかしら。当然の未来よ」
クイッと眼鏡の真ん中を人差し指で押しながら、口元に不敵な笑みを浮かべ、こちらに向き直る。
「……ああ、可愛いな、もう」
「そう思われるのは嬉しいわ。通学路ではあるけれど、今すぐユウに抱いて欲しいわ」
「そこは常識的にいこう。見つかったら一発退学だぞ多分」
「私はそれほど興味もないから構わないのだけれど。というよりも学校をやめればもっと一緒にいられるんじゃないかしら。いっそやめてしまうのも手ね」
「おっそろしく刹那的だな!? 流石に高校くらいは出たいぞ俺は!」
「冷静に考えればそうなのだけれど。でも衝動に身を任せるのもある意味では人生なのではないかしら。後悔先に立たず。どう進んだって何かしらの後悔をするのでしょうけど、私にとってはユウとの将来ならきっと後悔しないと思えるの」
「それっぽいこと言ってもな……そうじゃなくて、真面目な方の将来だよ。大学とか就職とかさ」
「失礼ね。私は大真面目に答えたわ。それともユウにとっては遊びだったとでも言うつもりなのかしら。あんなにも私の体を貪っているのに」
「いや真面目だけどさ……無職じゃ養えないだろ? それと貪っているのは俺だけではないはずだ」
「確かにそうだけれど、その場合は私が養うから心配しなくてもいいのよ。そして確かに私も貪っているわ。上の口も下の口も頬張ってしまうのだから仕方ないじゃない。すごく気持ちいいもの」
「それだけは嫌だ。あと下ネタはやめよう。とにかく、俺は医者にでもなろうと思ってたんだけどさ……」
真顔で下ネタを言えるサクヤは尊敬できる。俺にはできないことである。
「現状のユウの学力レベルだと、良くて地方の私立が限界じゃないかしら。それに医者はお勧めしないわ」
「なんでさ? いいじゃないか医者。でも確かに俺じゃそのレベルが限界だろうな」
「医者というのは激務と聞くわ。それでは一緒の時間が無くなってしまうじゃない。それにユウにはたぶん向いていないわ」
「向いてないかはわからんだろ。意外と名医になるかもしれないじゃないか」
黒い男のようにはいかないだろうけど。
「無理よ。だってユウ、不器用じゃない。確かに器用さが必要ない分野もあるかもしれないけれど、基本的には不器用の時点で向いていないと思うわ。ユウのことは好きだけれど、医者にかかるという観点だけで言えば、ユウはごめんよ」
確かに、俺は不器用である。それは日常の些細なことでもだ。
料理を作ってみれば焦がすし、裁縫だって致命的な下手さである。
「辛らつだな。まぁそれはちょっと思ってはいたんだけどさ。血も苦手な方だしな」
サクヤと初めてした日の血、それも正直少し怖かった。ただあの時はそれ以上に興奮と愛おしさに包まれていたため何とかなったのだ。
「サクヤはどうするんだ? 大体の所行けるだろ?」
サクヤは頭がいい。それは全国レベルであり、殆ど全ての大学を選択肢として考えることができる。残念ながら頑張っても俺はそこまでのレベルではなかった。
「大体の所に行けるとしても、選択肢が広い分これといったものは見つからないのよ。贅沢な悩みなのは分かっているけれど」
「流石は優等生、俺も言ってみたいもんだよ」
「一般的な所で言えばユウも結構優等生だとは思うのだけれど」
「いやー、学校では微妙な所だし、俺は全体とかと比較はあまりしないしな」
俺の比較対象はいつだってサクヤだ。サクヤと釣り合うために努力してたんだから。当然だ。
「難儀な性格ね。でもそういうところは嫌いじゃないわ。全体と比べて自分の地位を確かめるような、そんな安易な人格じゃない、それだけでも好きになった甲斐があるというか、難しいけれど」
「当たり前だろ。俺はいつだってサクヤしか見てないよ」
それは物理的に、精神的に。
サクヤは一瞬驚いた顔をして、その後に笑顔になる。
いつ見たってこの笑顔にはドキッとさせられる。きっと一生そうなんだろうな、と思う。
「天然の人たらしね。時折不意打ちするのは、ずるいわ」
少し視線を下に向け、照れたような言い方をする。
「多分俺の方がされてると思うぞ」
今だって、そうだ。
「負けはしないわ。愛は無限大、なのよ」
♢ ♢
「なんか、少しかっこよくなってきてない? 市場のやつ」
「そ、そうかしら。特に変わったようには見えないけれど」
サクヤはクラスメイト、特に仲がいいサユリの発言にぎょっとする。
崩れかけた表情を直し、息を整えてサユリを見据える。自分だけが知っていればいいと思っていることをよりにもよってサユリに言われてしまい、内心動揺していた、
黒田サユリは快活な子であり、数少ない裏表の少ない友人だった、
「安心しなよ、とりゃしないからさ。そもそもぜーんぜん、好みじゃないし」
サユリはサクヤの頬を人差し指でツン、とつつきながらニヤニヤと笑う。
座席がサクヤの前の席であり、今は後ろを向いて話していた。
「でもホントに少しかっこよくなってきてるよ、あいつ。たまに話に出るようになってきたからね。サクヤ、何か進展でもしたんじゃないの?」
「え、本当? 嘘、誰が?」
サクヤがうろたえているのを見て、相変わらずにやにやとしている。
サユリはサクヤとは違うタイプの美少女である。
バドミントン部に所属しており、大会でも成績を残しているらしいとサクヤは聞いていた。
それでもサクヤはあまり詳しくないため、詳細を説明されてもよくわからなかったが、友人がすごい人物だということ自体は理解していた。
髪はショートカットである。だが胸はサクヤに比べると慎ましいものだった。
全体的に引き締まったバランスのいい体つきをしているため、それ自体はあまりハンデになっていない。
男勝りな性格であり、男女ともに人気がある。
「それにサクヤ、あんたもだいぶ綺麗になってるよ。気づいてる? なんかつやつやしてるっていうか、色っぽくなった」
サクヤのあごに手を添えて、撫でるようにしながらそう言った。
「なんかあったんでしょ……?」
顔がくっつきそうなくらいに顔を近づけて、サユリはサクヤに色っぽく言う。
「あ、あとで教えるから、ちょっと近いわ」
学年でも有数の美少女たちが、まるで、キスでもするように顔を近づけて、顔を赤らめている。その状況をクラス中が注視していた。
(いいぞ、もっとやれ!)
クラスの男子、市場ユウを除けば全員が期待していた。密かにただならぬ感情を抱いている女子たちも期待していた。
ユウはというと「あいつら、何してんだ?」とひとり呟いていた。
女子にとられるという発想はユウにはなかったのである。
「それで、何があったの?」
サユリは移動教室の際に、サクヤに聞く。やはりにやにやとした表情だった。
「……一週間前から、付き合っているの」
「え、あんたたちが? いっつも一緒にいるのに何の進展もしてない、鈍感な二人が? お互い好きなくせに幼馴染の関係性に甘えて、怖くなって何もできない二人が?」
「……言い過ぎよ。否定はしないけれど」
「へー。どっちから告白したの?」
サユリはにやにやとしていた。
「私からよ」
「まぁそうだろうとは思ったけどね。市場がそんなことするとは思えないし」
「彼氏彼女ができると綺麗になる、っていうもんね。そういうことかー、納得納得」
サユリは何とも言えない表情で納得したように笑う。
「あんたたちが付き合うなんてね、そっかー、付き合っちゃったか……」
サユリはなぜか寂しそうにそう言った。
だがサクヤはなぜそんな態度なのか、わからなかった。
友人が見せるそんな表情を見たことがなかったからだ。
「ま、とりあえずおめでと! 心から祝福するよ」
本当はそんなことを思ってはいなかった。
「ありがとう」
サクヤはあまりしない笑顔を浮かべ、サユリを見る。
その表情は幸せそうで、少し悲しくなった。サユリは友人の幸せを心からは喜べない、そんな自分が嫌になりそうだった。
「あ、私ちょっとトイレ寄ってくるね」
サユリはそう言ってサクヤの元を離れる。
いつもと少し違う様子だったのでついていこうか迷っていたが、サクヤは結局行かなかった。なんとなく、行かないほうがいい気がしたからだ。
「そっか、そうなんだ、そうだよね」
サユリは一人でトイレに向かう、その途中で、誰に言うでもなくつぶやいた。
その言葉は誰にも受け止められないまま、宙に消える。
トイレには目的などなく、少しだけ一人になりたかっただけだった。
意味もなく手を洗うと、その上にある鏡を見る。
そこに映る自分の顔を見て、サユリはふっ、と笑う。
「ホント、酷い顔……これは、見せられないなぁ……」
そこに映ったのは今にも泣きだしそうな、そんな顔だった。
再び教室に向かう途中、サユリは市場ユウを見つける。
のんきに歩くその背中、最近少したくましくなってきたような、そんな背中。
手をパーの形にして、その背中に、助走をつけながらたたきつける。
バドミントンの手首のスナップをしっかり利かせた強烈な一撃だった。
「しっかり励めよ!」
と、まるで悪態のような、そんな激励を吐いて。
痛いな!と叫び、狼狽したユウの顔を見て、サユリは少し歯を食いしばる。
この恋心は誰にも言えない。
それは、本人にも、誰にも。
この恋はきっと成就しない。
そんなことはずっと前から分かっている。
サユリはそんなことを考えながら、教室に走る。
♢ ♢
「なぁサクヤ、お前黒田になんか言った?」
黒田サユリ。いきなり背中をたたいてきた女子。サクヤと仲がいい。
美少女ではあると思うが、俺の好みではない。俺の好みの基準はサクヤであり、そこを外れるとアウトである。正反対のタイプである黒川サユリは当然好みではないのであった。
「ごめんなさい、言ってしまったわ。私たちが付き合ってるって」
「まぁあいつの場合、遅かれ早かれバレるだろうし、仕方ないんじゃないか」
「でも、恥ずかしいの。きっとこれからもいろいろ言われるんだろうな、と思うと少し憂鬱よ」
「そうだ、ユウ。ユウはやっぱりかっこいいみたいよ」
「言葉足らず過ぎてよくわからんけど、それはないだろ」
「いえ、サユリが言っていたのよ。最近かっこよくなったって。なんでも私と付き合っていることが大きいみたいよ」
「ああ、そういう。少し女慣れしたのかもな。ここ最近体も少したくましくなってきた気がするし」
サクヤと毎日セックスをしているおかげか、余計な脂肪がなくなり、筋肉質になってきた。実際結構重労働ではあるのだ。ただしているときにはそんなこと思いもしないのだが。
「浮気は許さないわよ。できれば会話すらして欲しくないくらいなのだから。ただそれは日常生活に支障をきたすわけで、それは仕方ないのだけれど。唐突にモテるようになったとしても浮かれないように」
「ホント、心配性だよな。そもそもモテもしないから安心しろよ」
「ちゃんと、ユウのお嫁さんにしてね……?」
「ああ、決まってるだろ。一生離す気なんてないぞ。サクヤが嫌がったって、それは変わらない」
「嫌がったりはしないわ。将来のことなんて何一つわからないけれど、きっとそれだけは。それが当然の未来なのよ」
サクヤはそう言って笑う。
少しいたずらっぽく、俺の手を強く握って。
「あ、えーと、この空気の中でいうのは少し憚られるのだけれど」
「なんかあった?」
「……えっちしたい」
「もしかして、手、繋いだから……?」
こくりと、小さくうなずく。
「ホント、変態だな……」
「人間は常に発情期なのよ。つまりは自然だと思うの。それに、ウサギだってあんなに可愛いのに結構変態よ」
「それにユウ、実の所、そろそろ生理が始まってしまうの。ユウが的中させていない限りは」
「ちょっと怖いこと言うね」
「比較的安全だと言っても、毎日あれだけ注がれていればわからないじゃない。私は大歓迎なのだけれど。いつもたっぷり、私の中がパンパンになるくらいべっとり精液を注がれて、妊娠しないほうが不自然だとも思うわ」
「と、とりあえず外で話すのはやめよう。家に戻ってからたっぷりしよう」
「それはセックスを、という認識でいいのかしら」
「そ、そうだよ、サクヤがそんなことばっかり言うから、そりゃ俺だってしたくなるだろ」
「やっぱり私たち、変態かもしれないわね」
サクヤはあきれたように笑う。
最初に言い出したのはサクヤじゃないか、そう思ったが言いはしない。
多少は自覚があるから。
きっとこうなるのも、当然の未来だったのだ。
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