聖女じゃない私の奇跡

あんど もあ

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中編

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 朝、部屋で朝食を頂いた後、また三人に法衣を着付けられる。ってか、一人で脱ぎ着出来ない服って何なの。17歳になってばんざいしてお着替えって、罰ゲームだよ…。

 またジャーヴィス様と馬車に乗る。二日目だからか、ジャーヴィス様の空気が少し穏やかになった気がする。聖女の法衣が肩が凝るのは変わらないけど。
 休憩を取りつつ馬車は順調に進み、山と畑しか見えなかった窓の外にポツポツと建物が増えて、やがて賑やかな町に入った。今夜はここに泊まるらしい。

 恒例のお着替え、お風呂、夕食の後、また部屋を出ると、ドアの横に昨日の背の高い騎士様が立っている。今日も付いて行くと言うので、昨夜寝てないのにずっと馬に乗ってて私よりお疲れでしょうと断ろうとすると、三台目の馬車で休んでたそうだ。三台目にそんな使い道が。しかし、二日続けて立ち番って、運が悪い人じゃなかろうか。

 結局断り切れず、護衛に付いてもらって宿を出た。


 昨日の町より大きなこの町は、夜になっても開いてるお店が多く、それを目当てに出歩く人も多い。私は人の壁に埋もれてるのに、後ろの騎士様なら視界が開けてるのかと思うとなんか悔しい。
 人の波にもみくちゃにされるという初めての体験に流されつつ右や左をキョロキョロしてたら、足の間を何かがすり抜けた。
「ひゃっ!」
と、よく見るとでっぷり肥えたネズミ。人ごみの中に出て来るなんて、どんだけ人をなめてるんだ。
 人が多いからエサになる物も多いんだろうな。
 ん? なら、困ってる人も多いんじゃないか?と思いついて、近くの飲み屋の裏口に回って店主を呼んでもらう。

「私、ネズミ退治できる魔力持ちなの。小銀貨1枚でネズミ10匹。どう?」 
 契約はすぐ成立した。店主に水を入れたバケツを用意してもらう。
 目を閉じ、ネズミの“波”を探す。見つけた“波”に
「来い!」
 と伝える。

 間もなく軒下からネズミが走ってくる気配がして、真っ黒なネズミがバケツを駆け上って水に飛び込む。そのネズミの溺れる水音が終わらないうちに、床下から壁の穴からネズミが次々と走り寄って来てバケツに飛び込む。
 10匹になったところで店主にバケツを渡し、小銀貨を受け取った。
 それを数軒で繰り返す。
 これで王都土産が買えそうだ。

 最後のお店で、小銀貨の他に塩味とソース味の串焼き肉をもらった。大喜びでいただいたけど、「両手に肉」ってわんぱくすぎる…。(※花も恥じらう17歳)
 ソース味を騎士様にあげて、塩味の肉を齧りながら(※花も…)お土産に何を買うか考えつつ宿に帰った。



 翌朝、またまた三人に法衣を着付けられて馬車に揺られる。
 更に雰囲気が柔らかくなったジャーヴィス様に
「今日、王都に着きます」
と、言われて「やっと…」とほっとするが、「いや、王都で何するの?」と不安が湧き起こる。

 今からでも逃げ出したい私の気持ちなんてお構いなしに、馬車は王都に滑り込む。なぜか、聖女が居ることになるはずの大聖堂をスルーしてさらに先へ。どこに向かってんの? まさか、この先にあるあの巨大な建物?! い~~や~~~!!
 心の叫びを無視して、やはり馬車はお城に入って行った。

 馬車止めでガクブルしながら馬車を降りると、ジャーヴィス様にエスコートされて、迷路のようなお城の中を右へ左へと歩かされる。
 やっと着いたシンプルなドアをノックして開けると、私でも絵姿を見たことがあるお方が待っていた。
 無理!!
 足がガクガクして中に入れない。

 ジャーヴィス様が、床に足が貼り付いた私の腰に手を回し、彼の前のソファーへ導いて座らせる。
「こ、こ、国王陛下におかれましては」
「よい、楽にしてくれ」
 気持ちはありがたいが無理~!!
「それでジャーヴィス、どうだった」
「はい、間違いなく聖女かと」
 私の事ですか!?
「ここに来る間にも、民のためにハエを払い、ネズミを駆除しておりました」 
 お金もらってやったんですよ? 護衛のお兄さん、ちゃんと伝えてます?

 勝手に納得したお二人にまた廊下を連れまわされる。
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