異世界からの狩人(仮)

好文木

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4:噂の転入生(玲央)

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____放課後

 「ねぇねぇ茅乃聞いてよー」

 美憂はクラスは違うが同じ中学校だったこともあり、放課後は学校で少しお話したり、どこかへ寄り道してお茶したりするのが日課になっている。でも美憂はバイトがあるので、毎日って訳ではないのだけど。

 「何?」

 いつもの如くまた何か(情報)を仕入れてきたようだ。

 「令様の弟の話!玲央(れお)くんって言うんだって。知ってた?」

 「ううん、初耳だよ。レ繋がりの名前なのね、双子だしか。それでどうしたの?」

 令さんは様付けで弟の方は君付けなんだなって、どうでもいいことが気になってしまった。

 「王子様キャラだったわね。」

 「王子様??」

 「そう、王子様。さすが令様の弟くんだけあって、キラキラしてたわー」

 「キラキラねぇ…で、まぁイケメンらしいからそんなもんじゃないの?」

 「なんていうか…芸能人も真っ青って感じのイケメンなのよ!その辺にいるようなレベルじゃないっていうか…流石令様の弟だわ!」

 うん、ものすごい力説ね。

 「へぇ、噂以上の容姿なのね、その双子の転入生。なんか、そこまでいくとちょっと見てみたいわねー。まぁ同じ学校なんだし見る機会は焦らなくてもあるでしょうけど。」

 「それにね、もう早速、親衛隊作ろうって話になってるみたいよ。」

 「転入してきて、まだ2日目じゃない、すごい入れ込みようね~」

 まぁ私でもあるんだから、そんなイケメンさんなら速攻でしょうね。

 「ねー、びっくりしちゃった。けど私は令様を最初に逢ってしまったから・・・令様一筋だけど!」

 あれ?友人がちょっと違う方向に行ってしまった気がする。

「っていうことは、美憂は入らないの?」

「入らないわよ!私は令様一筋なんだから!」

あ、2回いう。そうね、ずっと「様」付けで呼んでるものね。

 とはいえ、無理もないというか…美憂は最近失恋?というか、彼氏と別れたばっかりだったもんね。

 イケメンのチャラい男に、美憂が一目ぼれして猛アタックして付き合ったんだけど、結局二股かけられていたのがわかって美憂は別れた。しばらく男は懲り懲りだと言っていたから、余計になのかもしれない。

 「で、その弟くんとは喋ったの?」

 「ううん、見てただけ。女子の群がり具合がすごかったしね。それにクラスの違う私が話に行こうものなら、いらない敵作りそうで怖いよ~」

 美優は大げさに肩をすくませていた。

 「あはは、確かにそうかも。まぁ目の保養くらいでいいんだろうね。」

 美憂の話だと、転入生の人物像は令さんはクールビューティ。玲央くんは王子様ってことらしい。

 「まぁ何にしろ、転入したてで、打ち解けるのが早くて良かったんじゃない?前も言ったけど中途半端な時期だしさ。」

 そう6月の半ばという時期の転入生。まぁ親の転勤都合なんかもあるから、こればっかりは仕方がないのだろうと思うけど。

 「も~茅乃は真面目ねぇ。」

 美憂は可笑しそうに笑っていた。けど、ホント他人事ながら思うよ?

 転入って前に居たところとガラっと環境変わるからね。大事なことだと思う!
あ、そういえば・・・

 「ねぇ美憂、そういや昨日言ってたペットが行方不明になる話。進展はないの?」

 「あぁ~あれからは聞いてないなぁ。今はもっぱら美男美女の転入生の話題だし。」

 「そっか、もし進展があったら教えてね。お母さんに昨日その話をしたら、すごい気にしてたから。」

 「だよね。何かわかったらまた報告するね。それじゃ、私そろそろバイト入ってくるわ!」

 「うん、バイト頑張ってね!」

 美憂は元気よく手をブンブンと振っていた。さ、私も帰ろうかな。


 
 んん?靴箱の前まできたら何だかすごい人だかりが・・・

 「キャー玲央様!一緒に帰りましょうよー!」
 「何言ってるのよ!玲央さまは私と帰るのよ!!」

 あぁ、さっき聞いたばかりの…玲央くんだっけ。ちょっと遠目でほぼ横顔だから、はっきりとは見えていないけど、イケメンなのは、なんとなくわかった。さてと、私はコンビニに寄ってアイスでも買って帰ろうかな。私は上履きを履き替えて帰路の途に就いた。






 ん?この感じは?

 俺は、気になった気配の方向へ顔を向けた。その気配は門へ向かって颯爽と歩いている後ろ姿の女子生徒のものだった。

 「あの子は…?」

 「玲央さま?」

 俺の周りにいる女子生徒の一人が、俺の視線を辿って、後ろ姿の女子生徒を見て気が付いた。

 「あぁ、如月さんですね…」

 「如月さん?」

 「如月茅乃さんです。2年C組なので、同じ学年の子です。」

 「へぇ、如月さんね…」

 なんだろう?気になるな。

 「やだ!玲央さま気になるんですか?確かに彼女は可愛いのでモテますけど…」

 女子生徒は面白く無さそうな表情をしていた。

 「いや、ごめんごめん。ちょっと目に映ったらから気になっただけだよ」

 俺はそう言って、女子生徒を安心させようとした。

 「それならいいですけどぉ…」

 「玲央様、早く美味しいケーキのあるカフェがあるから一緒に行きましょうよ!」

 別の女子生徒がぐいぐいきた。

 「あぁ、そうだったね。俺この街に来たばかりでよくわからないから、いろいろ教えてくれると助かるよ。」

 俺は女子生徒達ににっこりと笑いかけた。

 「「「きゃーーーー」」」

 うん、大抵コレで落ちない女はいないからな。自分で言うのも何だが。

 さてと、この世界の情報収集といきますか。

 レイの方は、別口方向から攻めてもらってるからな…

 にしても、さっきの娘(こ)の気配は気になるな。レイにも一応確認しておくか。

 「玲央さま?」

 「あぁごめんね。ちょっと考え事をしてた。じゃあ案内してもらえるかな?」

 俺は、女性たちと共に人気との噂のカフェに赴いた。
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