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52:カイエルのやらかし~後編~
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五百年前の当時カルベルス王国は、軍事国家として名の知れた王国であった。
その軍事国家が突如一夜にして消えてしまったのは有名な話で、有力な説が大規模な地盤沈下が起きたのではないか?ということであった。他にも、空から何かが降ってきて、その災害で消失したのではないか、竜の逆鱗に触れたのではないか等、『カルベルス王国の沈没』は未だにいろんな仮説があり、真相はわからずじまいであった。地盤沈下説が一番有力なのには理由があり、地面は建物をごと引きずり込まれたようにのめり込んでいたからだと言われている。
「詳しい事は言えませんが、原因はそこにいるカイエルです。つまり彼の国は『竜の祖』の逆鱗に触れてしまったのですよ。」
「・・・確かに言い伝えでは、竜には国を滅ぼせるほどの力があると・・・ただの迷信ではなかったというのか・・・・」
フェルディナント王子は信じられないといった感じであった。だが、真剣な顔をして
「・・・だが、信憑性はあるのかい?」
だが、話だけでは説得力に欠けることから、フェルディナント王子としては証拠が欲しいところであった。竜については、アンティエルの変化を見て疑う余地はなかった。魔法で姿を変化する事は、せいぜい髪や瞳の色を変えることぐらいであったからだ。
「彼がやったという証拠はありませんし、本人も忘れてますからね。信じてもらうしかないかと。」
「忘れてる?」
フェルディナント王子はまたもや、怪訝な顔をした。
「カルベルス王国を滅ぼしたものの、彼も唯では済まなかった、ということです。彼は昔のことは忘れているのですよ。」
ユージィンに聞かされて、フェルディナント王子は、カイエルを見やった。
「なんだよ?!」
「そうか・・・古の竜といえど、一国を滅ぼした代償は大きかったということか・・・」
カイエルは目線をやられ不快そうにしていたが、フェルディナント王子は何とも言えない表情になっていた。
「しかし話だけでは父上を説得させるには、材料が少なすぎる。」
「仰る通りです。確かに話だけでは、厳しいと思いますよ。ですから実物を見てもらった方が話が早いと思いますので、アンティエルの竜の姿を見てもらうのです。」
フェルディナント王子は驚いた。まさかいきなり竜としての姿を現せるとは思ってもみなかったからである。
「そんなことを・・・していいのか?」
フェルディナント王子はアンティエルの顔を見た。
「ふむ、妾の竜の姿を見せればいいのじゃろう?容易い事ぞ。」
「どうせ、話さなければいけないのですしね。百聞は一見に如かずですよ。舞台はそうですね、『竜の祭壇』がいいでしょう。王宮でアンティエルの本性を見せるには狭すぎますし、他の目も付き易いですから。それにこういうことはあまり公にはしたくはありませんしね。」
確かに、見てもらうのが手っ取り早し、そして『カルベルス王国の沈没』の話を併用するのが一番説得力があるかもしれない、とフェルディナント王子も思った。だが、それでもコルネリウス王が欲を出すのではないかという懸念は完璧には拭えなかった。
「妾の番よ。そなたが何を心配しているのか、わかっておる。」
「え?」
フェルディナント王子は驚いた。できるだけ平静を装って顔に出していないつもりだったからだ。
「妾に任せておくがよい。そなたが憂いていることは妾が取り除いてやろう。」
アンティエルはそう言うと、不敵に笑った。
その軍事国家が突如一夜にして消えてしまったのは有名な話で、有力な説が大規模な地盤沈下が起きたのではないか?ということであった。他にも、空から何かが降ってきて、その災害で消失したのではないか、竜の逆鱗に触れたのではないか等、『カルベルス王国の沈没』は未だにいろんな仮説があり、真相はわからずじまいであった。地盤沈下説が一番有力なのには理由があり、地面は建物をごと引きずり込まれたようにのめり込んでいたからだと言われている。
「詳しい事は言えませんが、原因はそこにいるカイエルです。つまり彼の国は『竜の祖』の逆鱗に触れてしまったのですよ。」
「・・・確かに言い伝えでは、竜には国を滅ぼせるほどの力があると・・・ただの迷信ではなかったというのか・・・・」
フェルディナント王子は信じられないといった感じであった。だが、真剣な顔をして
「・・・だが、信憑性はあるのかい?」
だが、話だけでは説得力に欠けることから、フェルディナント王子としては証拠が欲しいところであった。竜については、アンティエルの変化を見て疑う余地はなかった。魔法で姿を変化する事は、せいぜい髪や瞳の色を変えることぐらいであったからだ。
「彼がやったという証拠はありませんし、本人も忘れてますからね。信じてもらうしかないかと。」
「忘れてる?」
フェルディナント王子はまたもや、怪訝な顔をした。
「カルベルス王国を滅ぼしたものの、彼も唯では済まなかった、ということです。彼は昔のことは忘れているのですよ。」
ユージィンに聞かされて、フェルディナント王子は、カイエルを見やった。
「なんだよ?!」
「そうか・・・古の竜といえど、一国を滅ぼした代償は大きかったということか・・・」
カイエルは目線をやられ不快そうにしていたが、フェルディナント王子は何とも言えない表情になっていた。
「しかし話だけでは父上を説得させるには、材料が少なすぎる。」
「仰る通りです。確かに話だけでは、厳しいと思いますよ。ですから実物を見てもらった方が話が早いと思いますので、アンティエルの竜の姿を見てもらうのです。」
フェルディナント王子は驚いた。まさかいきなり竜としての姿を現せるとは思ってもみなかったからである。
「そんなことを・・・していいのか?」
フェルディナント王子はアンティエルの顔を見た。
「ふむ、妾の竜の姿を見せればいいのじゃろう?容易い事ぞ。」
「どうせ、話さなければいけないのですしね。百聞は一見に如かずですよ。舞台はそうですね、『竜の祭壇』がいいでしょう。王宮でアンティエルの本性を見せるには狭すぎますし、他の目も付き易いですから。それにこういうことはあまり公にはしたくはありませんしね。」
確かに、見てもらうのが手っ取り早し、そして『カルベルス王国の沈没』の話を併用するのが一番説得力があるかもしれない、とフェルディナント王子も思った。だが、それでもコルネリウス王が欲を出すのではないかという懸念は完璧には拭えなかった。
「妾の番よ。そなたが何を心配しているのか、わかっておる。」
「え?」
フェルディナント王子は驚いた。できるだけ平静を装って顔に出していないつもりだったからだ。
「妾に任せておくがよい。そなたが憂いていることは妾が取り除いてやろう。」
アンティエルはそう言うと、不敵に笑った。
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