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待ち受ける苦行?!
旅の最後の夜に泊まるのは領境から少し進んだ先にある街道沿いの街。そこの管理者はなんとカミッロの父親で、王都で勤めを終えて戻ってきた主人をそれはそれは盛大にもてなした。もちろん俺にも色々良くしてくれて、疲れただろうと早めにベッドの用意もしてくれた。
しかしルキーノとカミッロ親子は遅くまで何かしらを酒の席で話すようだ。食後の一服にサロンでくつろいでいる時にそう言われ、これはチャンスと情報収集したさに同席したいと言ったが素気無く断られてしまった。
「娼館では一緒に飲ませてくれたじゃないですか。なんでダメなんです?お酌ぐらいならしますよ」
「もうお前は私の伴侶だぞ。わざわざ酒の席で男娼のように振る舞う必要はないだろう。明日も早いのだから休んでいればいい」
「そうですよネロ様。それに、貴方様にとってはつまらない話かもしれませんし」
「つまるかつまらないかは俺が決めることじゃん」
ルキーノとカミッロ、2人がかりでダメと言われてむっつりと唇を尖らせた。
「紳士クラブもですけど、俺も男なんだから酒の席に参加してもいいじゃないですか。それともオメガは男じゃないとでも言うんですか?」
「そうは言わないが」
俺の言葉にきゅっと眉を寄せるルキーノ。俺のこの発言は不服だったようだ。
なるほど、性差を理由にしたいわけではないと。ならばこれは俺にあまり聞かせたくない話をすると見た。ならば何を遠慮るす必要があるんだ。男娼時代にあんたのちょっと後ろ暗い話はちょこちょこ聞いていただろうに。
「じゃあいいじゃないですか。なんでダメなの?あ、俺に聞かせられないような悪巧みでもしてるんですかぁ?」
むぎゅ、とルキーノの腕に腕を絡ませて上目遣いで問いかける。しかし、甘えるようなあざとい振る舞いにもルキーノが表情を変える様子は全くない。
「そうだと言ったらどうするつもりだ?」
「俺も混ぜて♡」
「混ぜるわけないだろうこの駄犬が」
渾身のおねだりも虚しく絡めた腕を引き剥がされる。まあそう言うだろうとは思ったけどね。渋々離れるものの、諦めきれない俺をカミッロが横から優しく諭してくる。
「ネロ様はまだ貴族としての生活にも慣れておられないのですから、急いで領地運営に参加する必要はないのですよ。ゆっくりで良いのです」
「ああ、その通りだ」
「でももう4ヶ月経ったのに」
俺まだ勉強ばかりで辺境伯家のためになるようなことは何もしてない。やらかしは色々やっちゃってるけど。早く力になりたいのだ、などと殊勝な態度を取って揺さぶろうとしてみるがそれでも2人の反応は芳しくはなかった。
困った表情のカミッロ。対するルキーノは俺のネックガードを着けた首元に大きな手で触れて、その鋭利な青い瞳で真っ直ぐに見下ろした。
「いずれお前にも話す時は来るだろう。だから今は大人しくしておけ」
「ルキーノ様……」
今はまだ時じゃないとルキーノは言う。もっと信頼を深めていけばいつかは色々教えてくれるということだろうか。
もしかしたら今を逃れるための口先だけの言葉かもしれないが、これ以上食い下がるのは下策だろう。怪しまれては元も子もないので俺は丸め込まれてやることにした。
「仕方ないなぁ。今日のところはこのくらいにしておいてあげます」
譲歩しているんだぞ、と言ったていで頷くとルキーノもゆっくりと頷いた。カミッロもどことなくホッとした顔をしている。すみませんね、わがままなご夫君様で。
「ではネロ様、お部屋へ参りましょう。明日は本邸に入りますので今夜はしっかりお身体のお手入れをしてお休みいただきますよ」
「は?手入れ?」
「ええ!夜更かしなんて以ての外でしたもの。諦めてくださってようございましたわ。ささ、参りましょう。準備は整えてありますわ」
「え何、何するの一体?!」
待ってましたとばかりに控えていたブリジッタとアンジェラがずずいと前に出てきた。彼女たちはやんわりと、だがしかし有無を言わせぬ勢いで俺の手を取り立たせ、俺は逆らえないままするすると部屋の外へと誘導されていく。
ブリジッタは無表情だがアンジェラは実に楽しそうに笑っている。この感じ、いつもの寝る前のお手入れではなさそうだ。一体何をされるんだ。
「さあさあ、ピッカピカにいたしましょうね~」
「待って待って、もしかしてアレ?フルコースされんの?」
「当然です。明日は家臣や領民の目に触れることになるですよ?手抜かりがあってはなりません」
ブリジッタの言葉に初夜の時や大夜会の時、隅々まで風呂で体を洗われ、ムダ毛処理やら涙が出るほどの全身のリンパマッサージとフェイシャルエステ、頭皮マッサージにやれパックやれヘアケアだと受けた記憶が甦る。これだけ聞けばスペシャルなリラックス体験にも聞こえるだろうが、彼女たちだけでなく他のメイドも一緒になってあっちこっちから手を変え品を変え色々されるのは俺にはちょっとした恐怖体験でもあるのだ。
第一印象が大事なのはわかる。わかるけどそこまでしなくてもいいんじゃないだろうか。絶対ルキーノにはやってないよね?俺もルキーノと同じくらいの手入れでいいんだけど?助けを求めてルキーノを見るが彼は無情にも俺から視線を逸らした。
今絶対面倒だと思ったな?!自分関係ないから首突っ込みたくないんだ~!薄情者~!
「では旦那様、御前を失礼致します」
「ああ、任せた」
アンジェラに背中を押されて廊下に出された俺。そして無情にもサロンの扉は閉められてしまった。
「ネロ様、ファイトです。俺はお部屋の前で御身をお守りしますのでご安心ください!」
そして追い打ちをかけるように廊下で控えていたエヴァンドロがサムズアップしてくる。お前も他人事か。ってそりゃそうか。爽やかな笑顔を憎らしく思いながら俺はブリジッタたちと共に寝室の扉を潜ったのだった。
しかしルキーノとカミッロ親子は遅くまで何かしらを酒の席で話すようだ。食後の一服にサロンでくつろいでいる時にそう言われ、これはチャンスと情報収集したさに同席したいと言ったが素気無く断られてしまった。
「娼館では一緒に飲ませてくれたじゃないですか。なんでダメなんです?お酌ぐらいならしますよ」
「もうお前は私の伴侶だぞ。わざわざ酒の席で男娼のように振る舞う必要はないだろう。明日も早いのだから休んでいればいい」
「そうですよネロ様。それに、貴方様にとってはつまらない話かもしれませんし」
「つまるかつまらないかは俺が決めることじゃん」
ルキーノとカミッロ、2人がかりでダメと言われてむっつりと唇を尖らせた。
「紳士クラブもですけど、俺も男なんだから酒の席に参加してもいいじゃないですか。それともオメガは男じゃないとでも言うんですか?」
「そうは言わないが」
俺の言葉にきゅっと眉を寄せるルキーノ。俺のこの発言は不服だったようだ。
なるほど、性差を理由にしたいわけではないと。ならばこれは俺にあまり聞かせたくない話をすると見た。ならば何を遠慮るす必要があるんだ。男娼時代にあんたのちょっと後ろ暗い話はちょこちょこ聞いていただろうに。
「じゃあいいじゃないですか。なんでダメなの?あ、俺に聞かせられないような悪巧みでもしてるんですかぁ?」
むぎゅ、とルキーノの腕に腕を絡ませて上目遣いで問いかける。しかし、甘えるようなあざとい振る舞いにもルキーノが表情を変える様子は全くない。
「そうだと言ったらどうするつもりだ?」
「俺も混ぜて♡」
「混ぜるわけないだろうこの駄犬が」
渾身のおねだりも虚しく絡めた腕を引き剥がされる。まあそう言うだろうとは思ったけどね。渋々離れるものの、諦めきれない俺をカミッロが横から優しく諭してくる。
「ネロ様はまだ貴族としての生活にも慣れておられないのですから、急いで領地運営に参加する必要はないのですよ。ゆっくりで良いのです」
「ああ、その通りだ」
「でももう4ヶ月経ったのに」
俺まだ勉強ばかりで辺境伯家のためになるようなことは何もしてない。やらかしは色々やっちゃってるけど。早く力になりたいのだ、などと殊勝な態度を取って揺さぶろうとしてみるがそれでも2人の反応は芳しくはなかった。
困った表情のカミッロ。対するルキーノは俺のネックガードを着けた首元に大きな手で触れて、その鋭利な青い瞳で真っ直ぐに見下ろした。
「いずれお前にも話す時は来るだろう。だから今は大人しくしておけ」
「ルキーノ様……」
今はまだ時じゃないとルキーノは言う。もっと信頼を深めていけばいつかは色々教えてくれるということだろうか。
もしかしたら今を逃れるための口先だけの言葉かもしれないが、これ以上食い下がるのは下策だろう。怪しまれては元も子もないので俺は丸め込まれてやることにした。
「仕方ないなぁ。今日のところはこのくらいにしておいてあげます」
譲歩しているんだぞ、と言ったていで頷くとルキーノもゆっくりと頷いた。カミッロもどことなくホッとした顔をしている。すみませんね、わがままなご夫君様で。
「ではネロ様、お部屋へ参りましょう。明日は本邸に入りますので今夜はしっかりお身体のお手入れをしてお休みいただきますよ」
「は?手入れ?」
「ええ!夜更かしなんて以ての外でしたもの。諦めてくださってようございましたわ。ささ、参りましょう。準備は整えてありますわ」
「え何、何するの一体?!」
待ってましたとばかりに控えていたブリジッタとアンジェラがずずいと前に出てきた。彼女たちはやんわりと、だがしかし有無を言わせぬ勢いで俺の手を取り立たせ、俺は逆らえないままするすると部屋の外へと誘導されていく。
ブリジッタは無表情だがアンジェラは実に楽しそうに笑っている。この感じ、いつもの寝る前のお手入れではなさそうだ。一体何をされるんだ。
「さあさあ、ピッカピカにいたしましょうね~」
「待って待って、もしかしてアレ?フルコースされんの?」
「当然です。明日は家臣や領民の目に触れることになるですよ?手抜かりがあってはなりません」
ブリジッタの言葉に初夜の時や大夜会の時、隅々まで風呂で体を洗われ、ムダ毛処理やら涙が出るほどの全身のリンパマッサージとフェイシャルエステ、頭皮マッサージにやれパックやれヘアケアだと受けた記憶が甦る。これだけ聞けばスペシャルなリラックス体験にも聞こえるだろうが、彼女たちだけでなく他のメイドも一緒になってあっちこっちから手を変え品を変え色々されるのは俺にはちょっとした恐怖体験でもあるのだ。
第一印象が大事なのはわかる。わかるけどそこまでしなくてもいいんじゃないだろうか。絶対ルキーノにはやってないよね?俺もルキーノと同じくらいの手入れでいいんだけど?助けを求めてルキーノを見るが彼は無情にも俺から視線を逸らした。
今絶対面倒だと思ったな?!自分関係ないから首突っ込みたくないんだ~!薄情者~!
「では旦那様、御前を失礼致します」
「ああ、任せた」
アンジェラに背中を押されて廊下に出された俺。そして無情にもサロンの扉は閉められてしまった。
「ネロ様、ファイトです。俺はお部屋の前で御身をお守りしますのでご安心ください!」
そして追い打ちをかけるように廊下で控えていたエヴァンドロがサムズアップしてくる。お前も他人事か。ってそりゃそうか。爽やかな笑顔を憎らしく思いながら俺はブリジッタたちと共に寝室の扉を潜ったのだった。
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