恋は軍隊より強し!

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地下鉄ハイジャック事件・2・

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熊岡「開けろって言ってるだろうが!!!」

???「誰が「はい!どうぞ!」って開けるかよ!」

熊岡「こんなことをしてお前たちは何がしたいんだ!」

???「俺はな・・・この仕事を20年もやってきたんだ。なのに・・・なのに・・・」

電車のスピードが更に速くなる

???「なんで俺が解雇なんだよ!!あのガキ・・・人間のガキが入って来なければ・・・俺は・・・俺は!!!」

人間の・・・ガキ?
人間の駅員が新しく入って来て・・・解雇されたってこと?

???「いいよな・・・人間は・・・。小柄で可愛いから可愛がられて・・・それに比べて俺は・・・不愛想で可愛げなんかない・・・暑苦しくて・・・」

熊岡「・・・お前・・・熊獣人か?」

???「・・・ああ」

今の会話でなんでわかるの?

熊岡「不愛想・・・可愛げなんかない・・・暑苦しい・・・俺も学生の頃よく言われていた」

「・・・」

???「・・・」

熊岡「同じ熊獣人だから言える。そんな俺たちでも愛してくれる奴がいる!すべてを受け入れてくれる奴が必ずいる!だから、こんな事やめるんだ!こんなことをしてもなにも変えられない!罪が重くなるだけだ!」

???「もう・・・手遅れだ」

そういうと扉を開けてくれた
中に入ると熊獣人の駅員は隅っこにうずくまっていた
運転モニターは壊されている

熊獣人「・・・」

熊岡「・・・」

「・・・」

熊獣人は俯き泣いている

熊岡「なんでこんなことを・・・」

熊獣人「俺・・・頑張ったんだ・・・憧れの人に追いつくために・・・」

「憧れの人・・・。その人は?」

熊獣人「立派な駅員だよ・・・俺が学生の頃からずっとやっていて笑顔が素敵で・・・だから俺は駅員になったんだ。でも・・・俺が入った頃にはもうその人はやめていた・・・。でも、その人の代わりに頑張ろうと思ったんだ・・・でも・・・うまくいかなくて・・・『笑顔が不気味』『暑苦しい』・・・いくら頑張っても誰も認めてくれない・・・なら・・・全部・・・壊してやるんだ!!」

「だからって・・・こんなテロ行為を・・・」

熊獣人「持ちかけられたんだ・・・世界を一緒に変えようって・・・」

熊岡「持ちかけられた?誰に?どんな奴だった?」

熊獣人「・・・もう終わるんだ。最後に聞かせてやるよ」

熊獣人は小声で

熊獣人「『豹原 智樹』(ひょうはら ともき)」

熊岡・僕「!?」

豹原 智樹・・・
国会議員の一人だ
人間を保護という名の奴隷化をしようとしていると噂されている
お父さんの天敵・・・とも言える存在だ

熊岡「・・・そうか」

熊獣人「うぅ・・・」

「豹原議員が・・・ここまでやるとは・・・」

熊岡「・・・・情報は聞けた。後は電車を止めるだけだな」

熊獣人「無理だ・・・操作パネルはすべて破壊した。もう・・・止められない」

「・・・いえ、可能です」

熊獣人は驚いた顔で僕を見る

「パネルは壊れて使えなくてもレバーがあるはずです。それを使えば止められます」

熊獣人「む、無理だ!もう何十年も使ってないんだぞ!?」

「無理でもやるんです。諦めたらそこまでです」

僕はレバーを探した

熊獣人「なんで・・・お前は・・・諦めないんだよ・・・」

「僕にも憧れの人がいます。その人なら絶対に諦めないからです」

熊獣人「・・・」

「あなたの憧れの人はこんなことをする人なんですか?」

熊獣人「・・・」

「あなたの憧れの人は乗客を危険にさらすような人だったんですか?」

熊獣人「・・・」

「その人が今のあなたを見たらどう思うでしょうね」

熊獣人は俯き

熊獣人「・・・右下・・・」

「え?」

熊獣人「右下にあるレバーが・・・止める装置だ」

僕はレバーを見つけた
そして引いた・・・けど・・・

「か、固い・・・」

長年使われていなかっただけのことはある
錆びていて動かない

熊岡「一緒に引くぞ!」

晴臣さんと一緒に引くがビクともしない

熊岡「固いな・・・」

「動いて・・・」

二人でレバーを引いている時、そっと上から手が差し伸べられら

「!」

その相手は熊獣人の駅員さんだ

熊獣人「一緒に・・・」

「・・・はい!」

三人で全力でレバーを引く

熊岡「この・・・」

熊獣人「動け・・・」

「・・・!?」

バキンッ!

三人で引いていたレバーが折れてしまった
錆びによる劣化だと思う

熊岡「お、折れた・・・」

熊獣人「ど、どうしよう・・・」

「・・・」

レバーが使えない今、取れる手段はもう一つしかない

「隊長」

熊岡「なんだ?」

「乗客とこの車両から隣の車両に移動させてください」

熊岡「え?なんでだ?」

「時間がありません!早く!」

熊岡「え、あ、ああ!」

晴臣さんは運転席を出て乗客を誘導する

熊獣人「何を・・・するつもりなんだ?」

「この先は終点ですよね?」

熊獣人「え?ああ。行き止まりの駅だな」

「わかりました。一緒に来てください」

僕は熊獣人を連れて運転席を出た

熊岡「市原!全員移動させたぞ!」

「では、あなたも移動してください」

熊獣人「え?でも・・・」

「罪を償ってください。憧れの人に顔向けできるように」

熊獣人「・・・」

熊獣人は俯き車両を移動した

熊岡「次は何をすればいい?」

「僕たちも移動しましょう」

僕は晴臣さんを押し車両を移動し

「愛しています・・・晴臣さん」

熊岡「え?っ!?」

僕は晴臣さんを押し扉を閉めドアノブを破壊した

熊岡「陽翔!?!?」

「・・・」

一番車両と二番車両の結合部分を切り離した
乗客、熊獣人・・・晴臣さんを乗せた車両はゆっくり離れていく

熊岡『陽翔!!』

晴臣さんから通信が入る

「これで被害は最小限にできます。司令」

司令『どうしたんだい?』

「終点の駅付近はどうなってますか?」

司令『安全のため避難は完了している』

「では、失敗しても犠牲は僕だけか・・・よかった・・・」

司令『犠牲・・・?』

熊岡『司令!!陽翔が車両を切り離した!!一人残って!!』

司令『なんでそんなことを!!』

「考えられる手段はもう一つしかありません。それも失敗する可能性が高いです。だから被害を最小限にしただけです」

熊岡『隊長命令だ!!今すぐ脱出しろ!!』

司令『司令としても命令する!!脱出するんだ!!』

「・・・」

熊岡『市原・・・?』

「・・・」

熊岡『陽・・・』

僕は通信機の電源を切った

「ふぅ・・・」

命令違反・・・
晴臣さんの命令は違反したことあるけど・・・

「ハハハ・・・最高指揮官の命令違反・・・除隊もある得るかもw」

まぁ助かったらの話だけど・・・

「さて・・・時間がない」

運転席に向かい操作パネルの下を開けた

「へ~こんな感じなんだ・・・」

パネルの中は配線がたくさんあり訳が分からない状態だった・・・
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