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襲来する紅蓮の女王
炎と風の反逆者 13
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「ちょっと! 私も一緒に助けなさいよ!」
蔓に拘束された茜音の声だった。
でも、そう言われても、助けられないものは助けられない。
「すまないな。店員は2名までなんだ」
「俺のは、1名までなんだよな」
俺が答えるのに続いて、紀彦もそう答えた。
俺の飛行は加減が難しいので2人までしか浮かせられない。紀彦も中のスペースは1人分しかない。まあ、紀彦は身を挺して守ってやれと思うのだが……
「どうでもいいから、早く助けろ!」
茜音は叫びながらもがいているが、一人では抜け出せないようだ。仕方ない、手を貸してやるか。
「紀彦、ちゃんと受け止めるんだぞ」
「任せろ!」
紀彦も応答したので行動に移すとしよう。
「キーンガスト」
その言葉を叫び、俺は腕を強く薙ぎ払った。
すると、薙ぎ払った軌道上にある蔓が一瞬にして切断されていく。
この技は、風を糸のように細く調節して飛ばすものだ。ある程度の物なら簡単に両断できる。
蔓が両断されたことにより、支えを失った茜音の体は、重力に逆らえずに落ちていく。落下地点には、体格のいい紀彦が待機しているので心配はない。
「オーラーイ、オーラーイっと」
無駄な掛け声を出しながらも、紀彦はしっかり茜音をキャッチすることに成功した。
「サンキュー」
それだけ告げて、茜音は紀彦の腕から飛び降りた。
「ど、どういたしまして」
名残惜しそうな顔をしている。無駄な掛け声を出しながらはしゃいでいた紀彦は見る影もない。
親友であるなら慰めるべきなのだろうが、今はそれよりも重大な問題が辺りに散らばっている。
「それにしても、これ、どうするんだよ」
これというのはもちろん、生い茂った蔓のことだ。よくもまあ制御もされずにここまで成長できたものだ。
「誰も怪我をしなかったことはよかったんですけど、流石にこれは手に負えないですね」
「そうだな。炎で一気に燃やせればいいんだけど……」
「それだと大火事になってしまいます」
透真さんの言う通り、ここは室内なので、この量の植物を燃やしていたら大火事になってしまう。俺の意見は却下と言うことだ。
「でも、それのほうが手っ取り早いかも……あ~あ、忍海ちゃんのサクセサーが水じゃなくて炎だったらよかったのにな」
「そ、そりゃないぜ……」
茜音にあんなことを言われて、紀彦が本当にかわいそうに思えてくる。だが、確かに紀彦のサクセサーが炎だったら、こんな問題はすぐに解決するだろう。
そんなことを考えても、問題が解決するわけではないので方法を真面目に考えるしかない。
「ここまで成長すると俺の風じゃあ運べなさだから、細かく刻んでくれる人を探さないとな」
「自分で刻めばいいじゃないか」
「荒っぽいことは専門外なんだよ」
紀彦の言葉に俺は冷たく返した。
「あと、外に出した蔓を焼く係りも必要だな……はぁ、面倒事が多い……」
「私で良ければ手伝います」
「ありがとう。助かるよ」
透真さんの優しさに感謝すると、後ろから紀彦が肩を叩いてくる。
「俺も手伝うぜ」
「当たり前だ。それと、そこで他人のふりしてるお前に拒否権はないからな!」
「も、もちろん手伝うつもりだったし」
追及はしないが、本当にそうだったのか疑わしい言動だ。
とりあえず、必要な人材を探さなければならない。協力してくれる人がいればいいんだが……
探しに行こうとして、一歩目を踏み出そうとしたとき、突然、耳を劈くような音が鳴り響いた。
これは間違いなく、緊急ブザーの音だ。
蔓に拘束された茜音の声だった。
でも、そう言われても、助けられないものは助けられない。
「すまないな。店員は2名までなんだ」
「俺のは、1名までなんだよな」
俺が答えるのに続いて、紀彦もそう答えた。
俺の飛行は加減が難しいので2人までしか浮かせられない。紀彦も中のスペースは1人分しかない。まあ、紀彦は身を挺して守ってやれと思うのだが……
「どうでもいいから、早く助けろ!」
茜音は叫びながらもがいているが、一人では抜け出せないようだ。仕方ない、手を貸してやるか。
「紀彦、ちゃんと受け止めるんだぞ」
「任せろ!」
紀彦も応答したので行動に移すとしよう。
「キーンガスト」
その言葉を叫び、俺は腕を強く薙ぎ払った。
すると、薙ぎ払った軌道上にある蔓が一瞬にして切断されていく。
この技は、風を糸のように細く調節して飛ばすものだ。ある程度の物なら簡単に両断できる。
蔓が両断されたことにより、支えを失った茜音の体は、重力に逆らえずに落ちていく。落下地点には、体格のいい紀彦が待機しているので心配はない。
「オーラーイ、オーラーイっと」
無駄な掛け声を出しながらも、紀彦はしっかり茜音をキャッチすることに成功した。
「サンキュー」
それだけ告げて、茜音は紀彦の腕から飛び降りた。
「ど、どういたしまして」
名残惜しそうな顔をしている。無駄な掛け声を出しながらはしゃいでいた紀彦は見る影もない。
親友であるなら慰めるべきなのだろうが、今はそれよりも重大な問題が辺りに散らばっている。
「それにしても、これ、どうするんだよ」
これというのはもちろん、生い茂った蔓のことだ。よくもまあ制御もされずにここまで成長できたものだ。
「誰も怪我をしなかったことはよかったんですけど、流石にこれは手に負えないですね」
「そうだな。炎で一気に燃やせればいいんだけど……」
「それだと大火事になってしまいます」
透真さんの言う通り、ここは室内なので、この量の植物を燃やしていたら大火事になってしまう。俺の意見は却下と言うことだ。
「でも、それのほうが手っ取り早いかも……あ~あ、忍海ちゃんのサクセサーが水じゃなくて炎だったらよかったのにな」
「そ、そりゃないぜ……」
茜音にあんなことを言われて、紀彦が本当にかわいそうに思えてくる。だが、確かに紀彦のサクセサーが炎だったら、こんな問題はすぐに解決するだろう。
そんなことを考えても、問題が解決するわけではないので方法を真面目に考えるしかない。
「ここまで成長すると俺の風じゃあ運べなさだから、細かく刻んでくれる人を探さないとな」
「自分で刻めばいいじゃないか」
「荒っぽいことは専門外なんだよ」
紀彦の言葉に俺は冷たく返した。
「あと、外に出した蔓を焼く係りも必要だな……はぁ、面倒事が多い……」
「私で良ければ手伝います」
「ありがとう。助かるよ」
透真さんの優しさに感謝すると、後ろから紀彦が肩を叩いてくる。
「俺も手伝うぜ」
「当たり前だ。それと、そこで他人のふりしてるお前に拒否権はないからな!」
「も、もちろん手伝うつもりだったし」
追及はしないが、本当にそうだったのか疑わしい言動だ。
とりあえず、必要な人材を探さなければならない。協力してくれる人がいればいいんだが……
探しに行こうとして、一歩目を踏み出そうとしたとき、突然、耳を劈くような音が鳴り響いた。
これは間違いなく、緊急ブザーの音だ。
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